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つまずく石も縁の端くれ

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2011年04月09日
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カテゴリ:アート
江戸の人物画.jpg

桜の季節に府中で江戸絵画というのが、ここ数年来のイベントとなっている。過去の展覧会もちょうど自分の人事異動と重なって、公園の桜花とともに鮮烈に思い出として残っている。

今回は、人物画の特集。桜見物の通行人が江戸時代の人物画なんてまったく興味がないなとつぶやいていたが、一般の人々の印象はそんなものらしく、美術館の中はガラガラ。おかげでこちらは、すばらしい作品をじっくりと味わうことができた。

まず、いつもこの美術館で感じるのは、江戸絵画の中でも、西洋絵画の影響を受け、一種独特の感じのするものが多いということ。油彩、遠近法たやりはりの付いた陰影、西洋人の姿など、今の感覚でいうと単なる異国情緒というよりもっと不思議な感覚がする。この奇異な感覚がとても楽しい。

今回も、大久保一丘、太田洞玉、小田野直武、渡辺崋山、司馬江漢、亜欧堂田善など、蘭学者の周辺の画家たちの絵がとても興味深い。

例えば太田洞玉の神農図、古代ギリシャの王様のようなイメージ。渡辺崋山のヒポクラテス像は、この時代によくぞ描いたという西洋人そのままの姿。同じコーナーにあった関羽像は、暗闇の中に浮かび出る武人の姿に驚く。

その他、江戸絵画の巨人、奇想の系譜の画家たちの絵も多数出展されていて、楽しめる。

蕭白の「美人図」は、過去に何度か見たこともあるが、見るたびにこの狂気の女性の姿が脳裏に染みついてしまうのだ。

応挙の絵も多い。今回は「元旦図」。初日の出に照らされた人物の長く伸びた影が味わい深い。タイトルが無かったら夕陽に照らされた男がセンチメンタルにたたずむ姿のようにも思える。

女は命を削るという広重の「命図」。なるほどなぁと感心。
祇園井特の「観桜美人図」。やはり彼の描く女性は濃い。かさを差す次女のなんとまん丸な顔のこと。

芦雪や若冲、千がい和尚の脱力系の絵も楽しいが、今回もやはり蕭白の力強い絵に心打たれる。「東方朔・西王母図」や「太公望・登竜門図」など、これぞ蕭白という大胆にして繊細な水墨画。鯉と龍の絵も数々見ているが、蕭白のこの龍の絵は小品ながら、すばらしい出来だと思う。

その他、まだまだすばらしい絵が多数。この府中は、震災の記憶とも相まって忘れられない展覧会となるだろう。





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最終更新日  2011年04月11日 04時59分56秒
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