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Leica MP(a la carte)

 
 
 
 
                Leica MP a la carte

 
  Leica MP a la carte + SUMMICRON35mmF2(3rd)
 
 
勝手にインプレッション

エンゾーがM7に次いで手に入れた、二台目(!)のアラカルト。
このボディは中古である。エンゾーがライカカメラジャパンに発注したものではない(だから何だ)。もう一つ言えば、実はかなり以前に手に入れていたにもかかわらず、アラカルトを二台続けて入手するというアンポンタンな行動が恥ずかしくて、今の今まで言い出せないでいた。

世の中には奇特な人がいるもので、「ライカ・ア・ラ・カルト」のサービスが始まって最初の2年くらいの間、どういうわけか、せっかく作ったオリジナルのライカを、ポンと手放す人が続出した。この一台も、そんな現象が密かに進行する中でヤフオクに出品されていたものである。

 1.MPベース。
 2.塗装はブラックペイント。
 3.各種パーツはクラシカル。
 4.軍艦部のエングレーヴはM4風。
 5.グッタペルカはオーストリッチ風の型押し。
 6.ファインダー倍率は0.72倍。
 7.出現フレームはノーマルのまま。
 8.巻き戻しはクランク方式に変更。

よく見ればもちろん違うのだが、この仕様は、パッと見M4ブラックペイントと共通する部分が多い。MP発売当時、先祖返りした事で賛否両論真っ二つに割れた巻き戻しノブが、斜めに傾いたクランクに換えられているのが最大のポイントだ。
MPやM7の軍艦部は、プレス成型だったそれ以前のM型ライカと違い、NC工作機による真鍮削り出しで作られている。つまりこのMPアラカルトの軍艦部は、M6の金型の流用などではなく、わざわざ傾斜クランクが装着できるような造形にするため、インゴットから削り出されたものなのである。

「MPが傾斜クランクだったら…」というため息をついた人が世界中に1万人くらいいたとして、エンゾーなどもその一人だったのだが、ヤフオクでこの一台を見つけた翌日には、とっておきのヘソクリを解約して軍資金を作っていた。おそらく、長いヤフオク生活の中でも、この時ほど理性を失っていたことはあるまい。
こうしてこの変り種のMPは、実際にアラカルトで注文するよりも4割ほど安い金額で、どうにか落札することが出来たのであった。もう逆さに振っても何も出ないほどの出血であったが…。


さて、オークションに出品されていたときから分かっていたことだが、手元に届いたMPは、微妙にエンゾーのストライクゾーンから外れていた。オーストリッチ風の貼り革はどことなくバブリーな香りがするし、マットブラックが大好きなエンゾーとしてはテカテカ光るペイントボディが玉に瑕なのだった。が、そういうささやかな問題を除けば、使い勝手はM6となんら変わるところはない。

傾斜クランクが付いたMPは、たったそれだけで全く別のカメラになっている。フィルムを一本消費した後に、巻き戻す動作にストレスがない恩恵は思った以上に大きい。
言い方を変えれば、これは露出計を内蔵したM4のようなものだ。事実、このライカが手元にやってきたことで、あれほど肝煎りで作り上げたM4ブラックペイントは完全に存在意義をなくしてしまい、ついに陽の目を見ることなく旅立って行った。これはM4が悪いのではなく、主人に使いこなす腕が無かったことが招いた結果で、考えるだに不憫でならない。

たいへんな遠回りをしたものだが、ともかくも、永らくエンゾーのノーミソを冒し続けてきた黒皮病は、この一台を持って終息に向かったのである。

【2010.8追記】
いまひとつ好みに合わず、長いこと喉に刺さった小骨のように気になってきたオーストリッチ風のグッタペルカを、思い切ってライカジャパンでバルカナイトへと貼り換えてもらった。これは、2009年末にライカが銀塩の生産を終了したことと無関係ではない。かろうじてアラカルトの受付だけはまだ継続されているものの、銀塩関連のサポートがいつまで続くか分からないので、手持ちのすべてのライカを売り払って資金を捻出し、新たにアラカルトでブラッククローム&傾斜クランクのMPを発注するか、いま持っているMPのグッタペルカを交換するだけで済ませるかという両極端な二者択一で、手っ取り早くて低予算で済む方を選択したわけである。

はたして結果は上々で、10日もかからず戻ってきたライカは、しっとりとした落ち着きを纏った正統派に生まれ変わっていた。MP6の発売と同時にデビューしたグッタペルカのバリエーションであるバルカナイトは、当時「異様に光沢があってきらびやか過ぎる」と一部で不評だったが、手元のMPを見る限り、そのような傾向は緩和されており、光沢が抑えられているのが分かる。

もし、全ての機材を投げ打ってライカ・アラカルトを一台作るおつもりがあれば、MPと傾斜クランクの組み合わせこそ最良(最高ではない)と申し述べておきたい。

  Leica-MP-A-la-carte

長所

○MPに傾斜クランク。鬼に金棒とはこのこと。
○長年ライカファンを悩ませてきた距離計の乱反射は、MPでようやく克服された。
○何は無くとも現行機。メンテナンスに関する心配がないのがよい。
○ちょっと見ただけでは正体不明なところがミソ。

短所

●普通に注文すると恐ろしく高価。
●自分でオーダーしていないので、35mm・50mm・90mmのフレームになっていないのが残念!
●ブラックペイントは大変デリケートで傷が付きやすい。
●NC工作機による切削はエッジが立っているので、ややソリッドに過ぎる印象。

超個人的オススメ度(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆

偏愛度(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆

Yahooオークション出現率(10点満点)
0%。こんなのもう出ません~ヽ( ̄Д ̄*)。
しかし、どうせアラカルトで作るなら、このタイプが最もオススメです。


 
 
 



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