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スナッパーであるという事

 
 
 
  スナッパーであるということ。
 
 
僕が一番好きな写真撮影のスタイルは、スナップである。いろいろ
理由はあるけれど、やはり写真には生活感があったほうがいいので、
けっこう人を撮る。ここのギャラリーにそう言う写真が少ないのは、
一重に「ネットでそんなものを全国に発信していいのか」という
疑問がアタマのどこかに引っかかっているせいである。

ライカの達人・木村伊兵衛の写真は、誰の目にも疑いようが無く
すばらしい。生き生きと写し出される市井の人々は、スナップ写真の
真骨頂だ。あんな写真をいつか撮りたいと、素直にそう思う。

しかし、その木村の写真をして、「写真芸術は盗み撮りに成り下がった」
と公然と批判した写真家がいる。はっきり言うと、そうなのである。
スナップ写真とはある意味、盗撮そのものだ。

根っからのスナッパーは、常にカメラを手放さず、いつ訪れるかも
しれない「これは!」と思える瞬間に備え、アンテナを張っている。
しかし、まったく見ず知らずの他人に向ってレンズを向けシャッターを
切る作業は、いくばくかの後ろめたさ無しには出来ないものだ。

だが、それでもいつの間にか、常人よりははるかに厚かましくなって
いることに、気付かされる事がある。作品のためには、肖像権など
考えもしない、それがスナッパーの性(さが)だったりする。

きちんと現実世界に身を置きながら、趣味を楽しむ。こう言うスタンスが
身に付かないと、何をやっても浮いてしまうということか。
当たり前の事のようだが、のめりこむと、本当に簡単に、「あっち側」
の世界へ入ってしまう。欲望をコントロールするのは難しい。


 



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