地球はもう温暖化していない
●私は宇宙、地球、生命などの自然科学にも興味があって、放送大学でこれらに関する番組をよく観ている。このなかに「地球史を読み解く」という講座があり、丸山茂徳という人の講義の新しい進化論を感心して視聴していた。●その彼が、「地球は温暖化していない、今後はむしろ寒冷化に向かうだろう。観測データは私の説を裏付けている」といったような趣旨の説明をした。IPCCの温室効果ガスによる地球温暖化と真逆のことを言い出したのでびっくりした。●放送大学のその筋の高名な学者がいい加減なことを言うはずがないと思って、WEBで、いろいろ検索してみると、「地球温暖化は嘘です」というサイトが多数あり、反環境主義的見地からではなく科学的根拠に基づものであると説明され、データも掲載されている。●これは事実を知っておく必要があると考え、「地球はもう温暖化していない」(著者:深井有)を購入して読んでみた。著者はその筋の学術的権威でもあるようだ。●読み進うちに、地球温暖化論の真相、IPCCの驚くべき実態が分かってきた。これは科学の仮面を被った政治である。 地球はもう温暖化していない /深井有(著者) ●IPCCはそもそもの設立目的が「CO2による温暖化ありき」でスタートした組織のようだ。地球の気温はCO2だけで決まるのではなく、太陽活動などの影響に依存していることが克明に論じられている。ところがIPCCはこれらのことはニグレクトして「人為的温暖化」が全てであるかの如くにCO2削減の必要性を訴えている。確かにCO2は人間活動による影響で増えてはいるが、ここ20年はそれにも関わらず気温が横ばいから低下にシフトしてきているようだ。CO2による温暖化が太陽活動の非活発化によって相殺されているらしい。●それとCO2というと温暖化の元凶の悪玉のようにみなされている風潮があるが、CO2はむしろ善玉であるようだ。CO2が少なければ植物の生育は悪くなる。CO2の濃度が高かった時代には動植物が繁栄した時代でもある。人間を含む生物にとって温暖化よりも寒冷化の方が深刻な事態を招くのも理解できる。●地球温暖化の影響とみられる島の水没、北極や南極の氷の融解などがしばしばニュースで報道されるが、著者はこれらの素朴な疑問にも、「事実」を逐一説明をしてくれている。●日本では政府、マスコミ、企業、国民を含めて「CO2温暖化」協奏曲を演じているが、このような国は日本だけらしい。ヨーロッパ、米国を含めてIPCCの温暖化には冷ややかな態度を示しているようだ。それというのも、IPCCのまとめ役であった英国のイーストアングリア大学気候研究所のコンピュータから1000通以上のメール記録が流出してIPCCとその主張に疑問が持たれるようになったかららしい。日本では何故かこのことはニュースにもならなかったようだ。●CO2の排出量が5%程度に過ぎず、限界まで削減している日本がIPCCの削減要請に積極的に応じて、税金から年間4兆円が温暖化対策のために投じられているという。大金を投じて真逆な馬鹿を演じているのがお目出度い日本という国のようだ。●このような簡単な紹介では多くを語れないので、時間のある方は是非この筋の本を読んで頂きたい。