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●基本所得の財源に関しては、次のように述べている。
……基本所得は、おそらく、少なくとも当初は、基本レヴェルをこえる所得への累進課税と、100パーセントよりは低いVAT税率の組合せを財源とするだろう。実際の目的にとっては、これがいちばん賢明な基盤だと思われ、それにもとづいて、GBI導入の次元への、おそらくは10年くらいの過渡的期間への準備が、いまなされるべきである。 と述べたあとで、更に次のような財源にかんする提案をおこなっている。 ……基本所得を払うに必要な資金には、ほかに可能性のある2つの新しい財源があり、やがては個人所得税とVATの一部を代替するものとして導入されるだろう。第一は、新しい購買力がつくりだされる方法に関連がある。第二には土地にかける税金である。 …として、政府貨幣と地価税の導入の話に進む。 ……なぜ、選別されたカテゴリーの人びと(と組織)すなわちカネを借りたいひとで信用に値する銀行顧客へのローンのかたちで、銀行が決める基準にしたがってマネー・サプライの増大分がチャンネルされねばならないのか。……あらゆる点からみて、もしマネー・サプライの増大が政府によって直接つくりだされ、基本所得の一部として、まず第一にあらゆる市民に平等に分配するかたちで経済に注入されるのが望ましいと考えられるとすれば、そのほうがベターなのではないだろうか。 …ということで、市中銀行の信用創造による借金としてのマネー・サプライのあり方に疑問を呈し、政府が直接政府貨幣(発行益)によって、マネーを市民に配分する方がベターであるとしている。 ●ここで、同国人でもあり、歴史に埋もれた経済学者ともいえるクリフォード・ヒュー・ダグラスと、第一次大戦後の<ソーシャル・クレジット>運動によって提示された理念について紹介されている。ダグラスは、消費ギャップを埋める為の公共通貨、国民配当、正当価格など提案からなる社会信用論とA+B理論を提唱した人物である。ダグラスの説に関しては、関曠野さんがベーシックインカム・実現を探る会で詳しく紹介している 個人所得についての私たちの結論として、GBIの導入は、第一級の重要性をもつ歴史の道標になるだろう。……それが、数百年前、一般の人びとが土地と自分自身の生計を調達する手段へのアクセスを剥奪され、したがって有給労働に依存するようになった、そのときにはじまったプロセスを逆転するスタートになるだろう。 ●ロバートソンのこのくだり(政府貨幣をベースとした基本配当と同義)は、私の未来社会(新時代=エポカ)への突破口になるとの認識で一致している。 ●新しい財源のもうひとつ土地課税(地価税)は、私自身は地球税(環境・資源利用料)の一部と考えている。これについてロバートソンは、ヘンリー・ジョージの『進歩と貧困』の説を取上げている。下記の文章は引用文である。 生産および高官から土地の価値もしくは賃料への課税負担のシフトは、富の生産に新しい刺激をあたえるだけではない。それが新しい機会をひらくにちがいない。というのは、このシステムのもとでは、使用するのでなければ誰も土地を持とうとは思わないだろうし、いま使用を手控えられている土地がいたるところで、利用されるようになるだろうから。……土地の売価は下がるだろう。土地投機が致命的な打撃をうけるだろう。土地の独占化が、もはやひきあわなくなるだろう。 土地課税を支持するジョージのもっとも重要な主張が、今日、私たちに有効である。それが土地価格の下落をひきおこすだろう。それが、土地を使うためにほしいひとに、もっとも土地に近づきやすくするするだろう。それが、資本価値が騰貴する望みをいだいて使わずに保有するのとは反対の、土地使用をうながすだろう。それがまた、その周囲のコミュニティ活動おこる未利用地の価格上昇が、そのためにないもしない所有者の利益ではなく、確実にコミュニティの利益になるようにするだろう。 ●最後のほうで、経済学、社会科学、経営学の改革を再度唱えている。 経営学をふくめて経済学やそのほかの社会科学が、今日、仕事は雇用を意味するという想定にもとづいてる。雇用から<自身の仕事>へのシフトにともない、この想定は、捨てられねばならないだろう。……私たちは、これがマクロ経済学の概念に重要な変化を含意することをみた。もはや有給の仕事はすべて価値があり、無給の仕事はすべて価値がないという想定にもとづくのではない、経済的な達成と社会的な幸福の新しい指標が開発されねばならないだろう。これは「新経済学」の重要な様相として、早急に着手される必要がある。同時に、私たちは、経済学が雇用の時代と、さらに一般的には産業時代と表裏一体だったことを念頭におく必要がある。私たちは、経済学が、少なくともその現在のかたちでは、脱雇用、脱産業時代への移行に生き残らないかもしれない可能性を認識すべきである。 ●ロバートソン1985年の『未来の仕事』にはかれの思想の全貌が既に網羅されており、1998年年の『21世紀の経済システム展望』では市民所得(BI)・地域貨幣・資源・金融システムの総合構想が展開され、2000年には経済システムの核心をなす『新しい貨幣の創造』が共著として出版された。 ●翻って、日本でのベーシック・インカムの運動は彼のような体系的な思想のよるものでは決してない。社会保障制度の破綻を危惧した各方面からの危機感によるものと思われる。おそらく、日本のベーシック・インカム推進運動はいずれ財源調達のあり方をめぐって、枝分かれしていくような気がしてならない。というよりも、現行の金融・財政・通貨システムの分厚い壁の前で立ち往生する可能性もある。 ●ベーシック・インカム推進論者で、ロバートソンのように通貨改革を唱えているのはC・H・ダグラスの説の紹介している関曠野さんくらいかもしれない。 ●逆に通貨改革までいかないが、熱心な政府通貨発行論者はいる。しかし、ベーシック・インカムにはあまり関心がないように見える。政府貨幣発行論者の丹羽春喜教授、日本経済復活の会の小野盛司さん、国債発行論者の廣宮孝信さんと三橋貴明さん達は長らくデフレ経済下にある日本の経済を復活させることを目的としているので、経済成長路線の延長線にあるといえる。 ●このうち、小野盛司さんは「労働はロボットに人間は貴族に」といった未来社会の到来を予言しているが、ロバートソンの分類でのHE未来の延長線上にある未来の姿なのかもしれない。 ●私は彼らの言うことはもっともな点が多いと考えているが、思想的にはベーシック・インカム推進論者側にあって、政府貨幣発行論者とは一線を画しているつもりでいる。ピッタリ嵌っているのがロバートソンであると思っている。 ●私の考える「未来の経済システム」では、当初からこの2つ(ベーシック・インカムと通貨改革)が一体となっていたので、ロバートソンの著作に出会って、世界は広いもので自分と同じような考えを持つ先人がいるものだと感心した次第である。科学技術に関心が傾きがちな未来学者とは異なり、ロバートソンは人間社会の核心部分についての将来を見通した優れた未来学者であるといえよう。 [未来社会の構造]カテゴリの最新記事│<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |