テーマ:本と出版について(527)
カテゴリ:出版界こぼれ話
ふと見てみたら、ずっと書評ばっかり書いていたので、たまには出版界の動向と、ちょっとした私の考えを…
2004年の書籍発刊点数の上位4位は以下の通りでした。 1位 新風舎 2位 碧天社 3位 文芸社 4位 講談社 これが、何を指すかお分かりになりますか? これは、売り上げではなくで、あくまでも「出版点数」なのでご注意を。 そうです、いかに素人の「自費出版」が多いか、ということなんです。 1位~3位までの出版社は、主に自費出版で成功したといって過言ではありません。 去年一年で新刊として出された本の総数は、約7万5000点、1981年の約3万点と比べると増えまくっています。 去年やっと、書籍売り上げは8年ぶりに前年比プラスに転じましたが、点数ばかり増えて、売り上げは減るという、まさに冬の時代が続いたわけですね。 今回のプラスだって、そう楽観的にとらえちゃいけないというのが、大方の見方のようです。 そんな中、元気いっぱいなのが、素人の自費出版を大々的にやっている上記のような出版社。 個人的に、これってどうなのかなぁと思います。 最近は「自費出版」、「共同出版・協力出版」、「企画出版」とわけているようですが、「企画出版」をのぞいては、なんだかんだ言ってもいわゆる「自費出版」です。 「企画出版」といっても、『自費出版の出版社』という会社のブランドイメージはどうしてもついてまわるので、あまりプラスに作用するとは思えません。 企画の持込みがあった場合、私は一応「本を出版したことがありますか?」と聞くようにしているのですが、自費出版で有名な会社の名前が出てくると、「なんだ、自費出版か」と正直興味は薄れます。 中には「企画出版」として出している方もいるのですが、やっぱりあんまりイメージはよくないです。 (もちろん中には、文芸社から出版された山田悠介の『リアル鬼ごっこ』な大成功もあるわけですが、これは例外的と考えていいと思います。) よく、プロの編集者と一緒に相談しながら云々と書いてありますが、噂によると、その編集者たちは、次々に辞めていき、人が常時変わっているとか。 その気持ち、わかります。 だって、会社の儲けのためだけに、素人さんをいい気持ちにさせて、お金をとるんですから。身もフタもない言いようですけど。 そんなの編集者の仕事じゃないっすよ。 (もし、そうじゃない! という関係者の方の反論がありましたら、甘んじてお受けします。まわりに実際に働いている知人等がいないので、あくまでも、業界内で話題になっている内容から推察しています。) そうやって本を出している素人さんは、どれだけのことを理解しているのでしょうか? 取次ぎを通しますよ、ISBNコードもつきますよ、書店に並びますよ、という言葉に騙されていないでしょうか? でも、所詮は「自費出版」なんです。 でも、「自費出版」はその出版社にとって、ただの儲けごとなんです。 たとえ、「共同出版・協力出版」で、出版社もお金を投資していても、はっきり言ってリスクは背負っていません。 本屋に並ぶといっても、出版社によっては、本屋にお金を払って棚を買っていたりするんです。 それをすべて分かっているのならいいと思うのですが、どうも分かっていない方も多いように思えます。 当たり前のことですが、会社は儲けなければいけません。 でも、多くの出版人は、まず何よりも「いい本を出したい」「役に立つ本を出したい」「この本によって、人の心が動かしたい」という純粋な思いを持っていると、私は信じます。 「自費出版」を単純に商売として考えるなら、お金を出す依頼主が満足すればいいのかもしれませんけど、なんか、違うなぁ、と思ってしまうんですよね。 しかしながら、いわゆるメジャーな出版社でも、いま自費出版は増えているといいます。 リスクがなく、確実にお金になりますから、出版不況の今は、仕方のないことなのかもしれません。 あまり納得はできないですが。 最後に、本を出したい! と思っている人は、どうか安易に自費出版に走らないで、地道に賞に応募するとか、原稿を持ち込むとか、インターネット上で発表して話題を集めるとか、そういう努力を先にしてほしいと思います。 それでも才能がなければそれまでです。 でも、才能があれば、努力と、あとはちょっとした運を味方につければ、必ず世の中に出て行けると思います。 あと「両国の隠居」さんが書かれている「個人出版がおもしろい」も新しい考え方として参考になるかと思います。 トラックバックしましたので、合わせてどうぞ。 おっと、なんだか、ずいぶん長くなってしまったなぁ。 最後まで読んでいただいた方、どうもありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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