ベッドに入って目を閉じて聞く
話は前後しますが先週の宮崎行きでは、こっちでは行けなくて気になっていたお芝居、九州では今年度ラストの公演会場の宮崎県立芸術劇場での「親指こぞう~ブケッティーニ」の公演にも寄ってきました。ホールの中に作られた小さな木の箱の劇場の、耳の絵のある入り口のカーテンを入ると、中は暗くて中央に裸電球がひとつだけ。夜の山小屋風でその周囲には木のベッドがいっぱい。床にはいい香りの木くず。ベッドの毛布の上には一枚の木の葉。ベッドに入って毛布をかけて目を閉じると、お姉さん(ともさと衣さん)のお話が始まり、お話に合わせてあちこちから臨場感ある音。一人一人が頭の中で絵をイメージしながら完成する珍しい形のお芝居で、もの作りの視点からしてもなかなか興味深いものでした。ストーリーはこれから体験する人たちのために秘密ですが、小さい子にはちょっと怖いシーンもあり、大人は「これでいいのか?」と考えることでも楽しめる作品。原作のシャルル・ペローはフランスの詩人&作家。裁判官の息子で自らも法律を学んで官職につき、ルイ14世の大臣コルベールの協力者として活躍。「親指こぞう」は「眠りの森の美女」「赤頭巾ちゃん」「青ひげ」「長靴をはいた猫」「妖精たち」「シンデレラ」「巻き毛のリケ」とともに民話をもとにまとめられ「過ぎた昔の物語またはお話集・教訓付き」という題で1697年に刊行された作品だそうです。この寝て聞くお芝居「親指こぞう~ブケッティーニ」は全国の「公共ホール演劇製作ネットワーク事業」として今年度は10カ所で上演されており、残りの会場は高知県立美術館ホールと山口情報芸術センター。入場料は会場毎で若干異なり、高知は一般前売2,500円小学生前売1,500円、山口は一般2,000円小学生1,000円。各回50床(ベッド)のみ。チケットは公演日によってはまだ若干手に入ると思います。これ、おすすめです。