カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
5月6日のプロ野球、阪神対広島の8回戦は阪神の逆転勝ちで大いに盛り上がった。
この試合、広島は5回までに9点を取った。しかし、その後阪神に12点をとられて負けた。 広島のピッチャーは、広島の勝ち頭の岡田だった。 4回までは、速球も冴え、変化球もキレがあった。 ところが、5回に入ると、別人のような投球に変わっていた。 次の回、満塁になり、とたんに広島は完投予定だった岡田をあきらめ中田にスイッチした。 中田はこれまで首脳陣の信頼を勝ち得ていたが、勢いづいた阪神の勢いを止めることはできなかった。 6回に一挙7点をとられてしまった。 地の利を得て勢いにのった阪神は、その後も着々と点を積み重ね、逆転勝ちをした。 甲子園はお祭り騒ぎとなった。その時の球は記念として博物館に展示されるという。 これを見て私の感想である。 岡田投手は、広島が9点を取ってくれた時点で勝ちを確信したのだと思う。 プロ野球の試合で9点をとりながら、その後逆転負けをしたケースはほとんどないわけだから、そう思うのも無理はない。気持ちの面で戦闘能力がなえていた。 緊張の糸が緩んで、弛緩状態に陥ったのだと思う。 それでもノラリクラリ投げていれば、よもや負けることはないだろうと信じて疑わなかった。 今日勝てば4勝目だ。セリーグ最多勝だ。あとは試合を楽しんで投げていこう。 そう思ったのではないだろうか。 これは岡田投手のみならず、広島の首脳陣、広島のファンのみんなが思っていたことだろう。 しかし6回を終わった時点で、阪神に1点差にまで追い上げられ、これは、とんでもないことになった。 再度気を引き締めて、再び緊張感をよみがえらせた戦おう。まだ負けたわけではないのだから。 そのように思って、改めて気持ちを奮い立たせて試合を組みたてなおそうとした。 ところが、一旦弛緩状態に陥った精神状態を急いで緊張状態に切り替えることはできなかった。 阪神は地元のファンが多い甲子園球場ということもあり、ずっと緊張状態を継続していたため、両者の精神状態の差は大きく水を開けられた状態となった。 勝利の女神が阪神に味方したと言うのは、考えてみれば当然の結果であった。 その後、阪神は勢いに乗り、今やセリーグのトップにまで躍り出た。 阪神ファンは今年は優勝間違いなしという人までいる。 その原点はこの試合から始まったと言っても過言ではない。 私はこの試合を見て、森田理論のことが頭の中にひらめいた。 森田先生は、冬寒いときに風邪をひくと言うのは、寒い中野外で活動し、急に暖房の効いた部屋の中に入って、緊張状態が急に弛緩状態に変わった時に起きやすいと言われている。 特にコタツの中に潜り込んで、 うたた寝のようなことをするとすぐに風邪をひくと言われている。 緊張と弛緩状態の落差に身体がついていけないのである。 だから緊張状態から弛緩状態に移り変わる時は、徐々に移行させていく必要があるのだ。 スポーツ選手でも激しい運動した後はクールダウンと言って、すぐに運動を休んでしまうのではなく、徐々に運動量を減らしていって、最終的に弛緩状態に切り替えていく。 そのほうが病気や障害を防げるのである。 毎日の生活は緊張と弛緩状態が波のようにうねっている。 それが急に切り替わっているのではなく、山形の曲線をなして徐々に変化しているのである。 気が付いてみればいつの間にか切り替わっていたというのが普通である。 われわれは、その変化の波にうまく乗って、生活していくということが肝心なのである。 決して緊張状態を弛緩状態に乱暴に切り替えてはならないのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.05.16 18:15:55
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