カテゴリ:子育て、しつけ、教育
学校でのいじめはどんどんエスカレートしている。
いじめをしている児童や生徒に、 「どうしていじめをするのか」と聞くと、 「ムカつくから」という返事が返ってくる。 「どうしてムカつくのか」と先生が聞くと、 「わからない」と返答する子供が多い。 そんな子供たちが頻繁に使う言葉は、 「ムカつく。イライラする。腹が立つ。別に。わからない」なのだそうだ。 これはいじめをしている子供は、普段から精神的に自分ではよくわからないストレスを抱えているということだと思う。イライラの正体が自分ではわからない。でもどうしょうもない息苦しさを感じている。 この状態は、扁桃体や海馬などの脳の神経が少なからず損傷を受けている可能性がある。 普通の人間は、他人から理不尽な言動を受けると、すぐに怒りなどのマイナス感情が湧きあがってくる。 素直な感情を受け止めることで、次に自分の対応方法を考えているのである。 しかし、ストレスを受け続けていると、脳のセンサーが十分に働かなくなる。 五感を使っての感性が弱まってくるのである。感じる力が弱くなると、現実対応が難しくなる。 不快な気分だけに左右されて、その解消のために、自分より弱い人をいじめて、イライラを発散して、精神の安定を図ろうとしているのである。 どうして五感、自分の気持ちなどを感じる力が弱くなってきたのか。 考えられる事は、周囲の者が支配者のごとく、 「自分の言うことを聞かなければ許さない。子供が黙って大人の言うこと聞いていればいいのだ」という「かくあるべし」を押し付けているのではないか。 大人の尺度で子供を判断し、子どもの気持ちや意志を無視し、その尺度から外れようとするたびに叱責すると、子供は自分の感情や意志より、大人の顔色をうかがって行動するようになる。 親などが子供に対して、暴力的な言動をとったり、体罰を与えたりして、子供を脅す事。詰問口調で、子供を真綿で締め付けるように、叱責しつづけること。 こういう状態が継続すれば、子供たちは気づかないうちに、その支配に打ちのめされて、感じる力を抑圧し、自主性を持つことを恐れて、自分の人生を諦めてしまうようになる。 このようにして、自分の意識を他者に預け、親など強者の顔色をうかがうことに精力を注いでいれば、自分の感情などを見つめる余裕はなくなってしまうだろう。 自分の気持ちを見つめる余裕がなければ、自分の気持ちや感情を表現できるはずもない。 もちろん、意志も育たない。 こうしてみるといじめる子供を作り出しているのは、周囲の者が子供の感じる力を育て上げようとしていないことにある。むしろ感性を劣化させるような育て方をしているのだ。 森田理論では感じる力をとても大切にしている。 森田先生は、物をじっと見つめていると、自然に豊富な感情がわき上がってくるといわれている。 そこから気づきや発見が生まれて、意欲が出てくるのだ。 現代は感性が豊かで、自分の気持ち、五感、身体感覚を大事に育てることが社会全体でおろそかにされているのかもしれない。 子供の感性を育てるということについて、大人は十分に配慮しなければならないのだと思う。 (もう他人に振り回されない 石原加受子 大和出版 62頁参照) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.04.07 13:31:11
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