カテゴリ:生活の発見会・集談会
大塚家具は2022年9月にヤマダ電機に吸収されて上場廃止となりました。
これは決して他人ごとではない。 森田理論学習の盛衰に大いに関係があるとみています。 今日はどうしてそんなことになったのか分析してみたいと思います。 元々大塚家具は富裕層に向けて高級家具をとり扱っていました。 2015年、父親から経営権を奪取した娘さんは、ファミリー層に中価格帯商品を提供する戦略に転換しました。 今振り返ってみると、この方針の転換が命取りとなりました。 でもそのときはそんなに悪い戦略ではないと考えていました。 2015年6月「おわびセール」という特売を実施しました。 前年対比でプラス70%の伸びでした。 しかしその後の売上は急激に落ち込みました。 そこで、2015年12月「売り尽くしセール」を行いました。 前年対比でプラス30%の伸びでした。でも続きませんでした。 さらに落ち込んだので、2016年5月「大感謝会」キャンペーンを行い挽回を図りました。前年比と同水準でした。 カンフル剤を打ったにもかかわらず、特売が終わった途端に売り上げが大きく落ち込むという悪循環を招いたのです。 その後は坂道を転がる雪だるまのように、前年割れが当たり前になりついに息の根を止められました。 この間、従業員には「とにかく頑張れ」「サービス残業で乗り切れ」と発破をかける。取引先には「仕入れ代金を下げてくれ」とお願いをする。 赤字覚悟で、特売セールをする。そして安さ目当てのお客さんだけが集まってくる。終いには商品の品質を下げたり、量を減らすことになる。 経営は火の車となる。昔から上得意先は離れていった。 そのつけは、従業員、取引先、会社の業績、お客様のすべての分野に及んだ。 この敗因の原因は、ニトリという競合他社の存在がありました。 ニトリも中価格帯戦略をとっていました。 店舗数でいうと大塚家具19に対し、ニトリは545店舗(2018年8月時点) ニトリは大塚家具の28倍もの規模を持っていた。 「ファミリー層に中価格帯商品を、お値打ち価格で提供する」というコストリーダーシップ戦略ではニトリの方が圧倒的に優れており、数十年の実績もあった。 さらにニトリは生産から小売りまで一気通貫のモデルを構築していた。 大塚家具のようにメーカーから仕入れた商品を販売するというやり方とは違う。 そういう競合他社の存在をどうとらえていたのか。 まさか気が付かなかったというのではあまりにもお粗末である。 大塚家具は販売対象者を絞り込む。つまり既存の上得意先を大切にする。 この顧客に対して、自分たちが提供できる最高の価値を見つけて、どんどん進化させていく。それしか生き残る道はなかったのではないか。 これは森田理論学習の盛衰にもかかわってくる考え方だと思う。 生活の発見会や集談会が神経症の克服を唯一最大の目標にしていると、大塚家具と同じような道をたどるであろう。 今現在でもその兆候が現れている。 神経症で苦しんでいる人たちは、今やすぐれた薬物療法がある。 カウンセリングや認知行動療法などの精神療法もたくさんある。 つまり神経症の克服は、森田先生の時代とは違い、克服のための選択肢は格段に増えているのである。 森田療法が、旧態依然として、それらと互角に戦えると真剣に思っているとすればきわめて危険である。 確かに集談会にやってくる人たちは、神経症からの克服を目指している。 薬物療法や他の精神療法との違いを、血眼になって探しているのである。 そういう人たちに対して、神経症を克服した人が、克服体験を伝えていくことは大切なことである。 ですから、とりかかりとして神経症の克服に関わり合うのは構わないと思う。 しかしそれを、集談会の唯一最大の目的として見間違ってしまうことが問題なのである。 生活の発見会、集談会の最終目標は、神経質者が神経質性格を活かした人生観を確立していくことにあると思う。 神経症の克服は、最終目標からみると30%か40%くらいのものである。 学習の重点は、神経症の治療モデルにあるのではなく、生き方モデルにあるのである。ここを見誤やまると、自助組織生活の発見会は、大塚家具と同様の道を突き進むことになる。 この考え方は精神科医の比嘉千賀先生も力説されていた。 逆に、最終目標を視野に入れた活動に目覚めたとき、今まで手付かずのブルーオーシャンの世界が大きく目の前に広がってくる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.08.13 12:49:17
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