カテゴリ:治るとはどうゆうことか
今日は「ベてるの家」の活動から確認行為について考えてみました。
統合失調症の症状の一つに確認行為があります。 とにかくなにかを繰り返し確かめずにはいられない。 たとえば3時からミーティングがあるとき、ふとそれが気になると「3時ですよね」と周囲に聞いてまわる。 何回も何回も確認しないと、いてもたってもいられなくなる。 ひどいときにはそれが20回にも30回にもなる。 周囲にとってわずらわしいことこの上ない確認行為は、本人にとってもまた、逃げようのないつらさ、苦しさだった。 名古屋出身の林さんという女性は、その強迫的な確認行為がなぜ起きるのか、北海道の浦河にきてから仲間の力を借りて解明しようと努めていた。 分かったことは、そうするのは「悩んでいる」、「疲れている」、「ひまで」、「さびしい」、「お金がない」か「おなかがすいた」ときに起きることが多い。 それぞれの頭文字をとった「な・つ・ひ・さ・お」は、「ベてるの家」の名言としてたちまちメンバーのあいだに定着してしまった。 しかも、時を置かずにこの「なつひさお」は疑惑顔をしたキツネのマスコットにキャラクター化され、べてるグッズキーホルダーとして発売された。 「なつひさお」ということばがいかに迅速に、また広く浸透したかは、同じような経験をしているメンバーがどれほど多いかを端的に示している。 彼らはみな、そういえば「なつひさお」だなと、自らの被害妄想や関係妄想、自傷行為が発生するメカニズムをピタリと言いあてられた思いだったのではないだろうか。 林さんは、「ベてるの家」の仲間との交流から「いろんな応援をもらったり手助けをもらったり、いっしょに考えてもらったり」できるようになり、「病気でも、こんないいことがあるんだなと思えるようになっていった」という。 彼女は主治医の川村先生にこう言ったという。 「先生、こうこれ以上わたしの病気を治さないでくださいね。私は幻聴も聞こえます。ときに被害妄想が頭のなかにいっぱいになったりするときがあります。だけど、もうわたし、これ以上病気をなくしてほしいとは思っていませんと、むしろ病気をなくされたら困ると思っています」 真剣な顔でそういわれて、さすがの主治医の川村先生も少し驚いたという。 安易に薬を出さないことで有名な川村先生はこう返したそうだ。 「これ以上、治したりしない。私は、あなたがあなたのように生きることを邪魔したりはしない」 病気が治ったのではなく、病気があっても幸せと思えるようになってきた。 林さんは疲れると確認行為に走るだけでなく、被害妄想も出るなど、どこか脆弱性を抱えていて、自分はやっぱり健康人とは違うと、心細くなることもあるという。 そんなときはできるだけ、仲間と話すように心がけていたという。 「名古屋にいるときは99%は、もうどっぷり病気につかっていたんですよ。それが浦河に来てから・・・(みんなが)あたしを病気の世界から外の世界に連れだしてくれたんですね、誘い出してくれたんです。だから私は今幸せ感があるというか、ほんとに幸せになったと思います」 苦しさも楽しさも含めて、林さんにとって精神障害は「味わう」ものになっているのです。 (治りませんように ベてるの家のいま 斉藤道雄 みすず書房 27ページ参照) 私の確認行為は、今現在やっていることに意識が向いていないときに出てきます。ぼんやりしていた。うわの空になっていた。 心ここにあらずで、他の様々な不安などのことを考えていた。 林さんが「な・つ・ひ・さ・お」の状態になったときに、確認行為が頻発するというのはよく分かます。 今現在に注意を集中しているときは、確認したという記憶が頭に残っていますので確認恐怖は起きません。 念のために、2回3回程度の確認を繰り返せば収まります。 林さんは、病気はこれ以上治さない。 主治医の先生にこれ以上の治療はしないでくださいと言われています。 病気を持ったままの状態で生きていくと言われています。 そして仲間と助け合いながら生きていければそれで十分だと言われています。 こういう心境になると病気のほうが張り合いをなくして逃げていくということになります。神経症に陥った人がそういう気持ちになれば、確認恐怖は軽減できるのではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.03.22 06:49:28
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