子供の気分本位を森田理論で考える
子供が家で宿題をやっていると、どうしてもわからなくなるところがあります。そんな時「もう勉強するの嫌だ。遊びたい」などと言います。これは嫌だという気分に流されているのです。子供にありがちなことです。いつもこういう態度では、辛抱して耐えて頑張るという習慣を身につける事は出来ません。こんな場合、親はどんな対応をしているでしょうか。「だめだよ。できるまで頑張りなさい。簡単にあきらめてはいけません。取り残されてしまいますよ」などとハッパをかけているのではないでしょうか。森田理論でいう「かくあるべし」の押し付けです。これではますます子供は勉強に対する意欲をなくしてしまいます。こんな時、まずイヤだという子供の気持ちを汲んでやることが大切だと思います。わからないからやりたくないという気持ちを受け入れてあげるのです。決して子供を非難したり、叱責してはなりません。そして次のように聞いてみましょう。「分からないからもうやめてしまうのと、分かってできるようになるのかとどっちがいいと思う」ほとんどの子どもは、 「それはわかるようになったほうがいい」と答えるでしょう。つまり子供は、自分1人では乗り越えられないような問題に出会ったときに、すぐに諦めてしまうという面もありますが、また一方では、なんとか問題や課題を乗り越えたいという情熱も持っているということなのです。そういう相反する二つの気持ちのせめぎあいの中で生きているのです。人間は放っておけば、苦しい事は避けたい、楽をしたいという気持ちに流されてしまいます。子育てをしている親が、子供のそういう気持ちに同調するようでは、教育にはなりません。苦しい事は避けたいという気持ちは汲んでやる必要はありますが、 「嫌な事はやらない」という気持ちは、親としては受け入れてはならないと思います。気分本位な態度を助長するからです。子供自身も、本心で望んでいることではないと思います。忍耐力のない大人になったとき、親を逆恨みするようになるかもしれません。子供自身はできないことができるようになり、自信をつけて成長していきたいと考えているのと思うのです。ここで必要なのは、子供が簡単に気分本位に流されないようにすることです。そのためには、どうしたら勉強に取り組んでいけるのか、親が子供と一緒になって考えてみることです。例えば、1人では難しければ、親も一緒になって取り組んでみる。親が解いてみて、子供にやり方を教える。問題自体が難しければ、もっと易しい問題を出してみる。他の宿題などをして、気分転換を図ってみる。などなど。山本五十六の言葉に、「やってみせ、やらせて見せて、ほめてやらねば人は動かず」と言う言葉がありますが、子供がくじけそうになった時は、親が松葉杖となって、子供をサポートしてやるという気持ちが大切なのではないでしょうか。これは森田理論で言うと、子供に「かくあるべし」を押し付けずに、子供の現状に寄り添い、そこから一歩上の目標を目指していけるように、親が子供を援助していくということなのです。森田理論の事実本位の生き方は、子供のしつけや教育にとても役に立つ考え方なのです。