自分の駐輪スペースがなくなった
私の住んでいるマンションは自転車やバイクの置き場所は決まっていません。自由にどこにおいてもよいことになっています。多くの人は自分の駐輪場所はいつも同じです。私も自転車やバイクはいつも同じ場所に置いています。暗黙の了解でみんなが自分の指定席を決めているのです。問題は、転居してきた人や新しく自転車やバイクを買った人がいきなり割り込んでくることがあります。150軒もあるので頻繁に起こります。駐輪場所が指定されていないのですら、どこにとめようが自由なのです。しかし自分の指定席だと勝手に思っている人は心中穏やかではありません。自分の指定席だと思っているところに、他の自転車やバイクが置いてあると自分の権利が侵害されたように感じるのです。他の場所は他人が指定席のように使用しているわけですから、勝手に変更するといさかいになることが予想されます。その結果今度は自分の駐輪スペースがなくなるのです。結局無理やり自分のスペースを作りだしてとめることになります。でもすっきりしません。どんな嫌がらせが待っているかと不安になるのです。それは自分が長らく使用していると既得権を得たかのような錯覚に陥っているからだと思います。その権利を侵害されることは心外だという気持ちになるのです。対抗措置を取って自己主張しなければ、自分の居場所がなくなります。自分が引き下がれば、今度はその人に既得権が移ってしまう。それは承服しがたいことだと思ってしまうのです。それは既得権でも何でもないのですが、自分が勝手にそう思い込んで、その権利を主張しようとしているのです。安定した場所を一旦確保すると、今度はそれを死守することを考えるようになります。外部から侵略されることを警戒するようになります。中には自分の場所だといわんばかりに私物を置いている人もいます。そして実際に侵略されると、あからさまに対抗手段をとるようになるのです。一旦快適な生活や居場所を手に入れると、今度はそれを失うことを恐れるようになります。その権利を他人に奪取されないように、防衛することを考えるようになります。この態度は人間関係が悪化する原因を作り出しています。何か良い方法はないのでしょうか。森田理論で考えてみました。森田理論では変化を掴み、変化に素早く対応することを目指しています。一旦安定して居場所のよい状態になっても、時間の経過とともに、状況が変わり、その安定はいずれ失われてしまうということだと思います。この場合は、自転車やバイクが増えてきて、マンション全体の駐輪スペースが不足してきた。はみ出された人が、無理やり自分の駐輪スペースを作って止めようとするので、イヤな思いをする人が出てきた。つまり明らかに以前とは状況が変化してきたのです。その変化に対応する必要がでてきたということです。この問題はマンション全体の問題として、理事会や総会で議題として取り上げる必要が出てきたということだと思います。たとえば新たに駐輪スペースを増設する。その際駅の駐輪スペースを参考にする。他のマンションの事例を収集する。他のマンションでは自転車は2段にしているところもある。また駐輪スペースを自動車と同じように指定制にすることも考えられる。それ以外にもよい提案があれば、すべて出し合って、よりよい方法を検討する。結局は駐輪方法を変更するしかないと思う。変化への対応を無視して、自分の考えを頑固に他人に押し付けていると、そのうち犬猿の仲になってマンションに居づらくなる人が出てくる可能性がある。これだけは何としても避けたい。変化した状況にどう対応していくという方法をみんなで考えていけば、現在の問題は平和的に解決できると思う。