オーケストラの指揮者 その2
ミスを放置すると、プロの演奏家というのは、能力のない指揮者と決めつけて、極めて厳しい態度をとるのだそうです。「あの指揮者はミスも分からない。耳が悪い。指揮者としての適性に欠ける。」などといわれだすともうだめです。能力のない指揮者はすぐに消えてなくなります。高木さんは、どうしたらよいのか正解はよく知らないといいます。高木さんの場合は、アイコンタクトで、間違えた人をちらっと見て、「違うよ」と心の中で声をかけるのだそうです。相手はプロですから、誤りは自分で分かります。相手も目礼して、「すいません。次は注意します」と心の中で返事をします。その間ほんの一秒です。ミスは指摘ではなく、この確認が大切なのです。そしてアイコンタクトがうまくいったとき、そのミスを忘れることが大切です。相手を許してあげることです。何回か練習をしていると間違いがなくなります。最後まで間違う人は、休憩時間などに「ちょっとこちらへ来てください」と軽く声をかけて、さりげなく「ここの音どうでしたか」と声をかけます。ほとんどの場合、「間違ってました」とか「勘違いしてました」となるそうです。これは私たちも応用できそうですね。他人を「かくあるべし」で誤りを指摘したくなったとき、ストレートにこうしなさい、ああしなさいと指示命令してはいけないということです。自分の意見はしっかりと持つことは大切ですが、相手の気持ちや事情を無視してはいけません。双方の落としどころはその中間あたりにあるんだということを認識して、調整を図るということが大切だということです。