カテゴリ:猫 チャンプ
「チャンにゃあ。」
猫なで声で 僕を呼ぶ。 猫が僕のはずだが。 飼い主のためなら 多少の労力を惜しまない僕は、素直にされるがままにしてやった。 体をあちこち 測られた。 「胴は長めにしてっと。」 何やら聞き捨てならない 失礼な言葉をさりげなく つぶやいている。 4つ足動物は 胴が長いと 相場は決まっている。 でなきゃ 前足と後ろ足がぶつかって うまく走れないだろ。 「やっぱ 模様ひとつくらい 入れたいよなあ。」 飼い主何やら 図面を描きだした。 10数年ぶりとかで 止め方も とじ方も忘れちゃった どうしようとか 言いながら 何やらうきうきしている。 前は編み図通りに 編んでいたらしい。 編むって 何だろう。 「猫の編み図ってないなあ。」 どうも服らしいのはわかった。 猫は滅多に 服を着ないから そりゃそうだろうと思ったけれど 飼い主思いの僕は 黙って聞いておいた。 人間の編み図さえ描いたこともない飼い主が、人間と違う体つきの猫の服を作ろうなんて 暴挙じゃないか。 それが僕の飼い主、とりあえずやってみる。 もう慣れたけどね。 優しい僕は 昨日飼い主が買った 毛糸を飼い主の所へ運んだ。 「そう、これこれ。」 飼い主、毛糸を僕の背中にくっつけて 何やらほくそ笑んでいる。 飼い主は 道具がないと買いに行った。 胸のポイントらしい。 上の編んだのに 帽子の紐みたいなのがついた。 1目でやる必要ないよなあとか呟きながら もうそのままにして直さないのも 飼い主らしい。 紐みたいのは、2目か3目でやるか いっそつけないで カーブのところだけにするほうが かっこいいと あとでやっぱり判明した。 道具は高かったらしい。 5号針。輪編み用1本で 830円。 端に止めがついていない棒針4本だと もっと安いし そのほうが使いやすいけれど つい 買ってしまったそうだ。 6号でやるほうが ザックリふわっと編めて良かったと言いながら 作図して寸法を書き変えるのが 面倒な飼い主は そのまますることにしたらしい。 10年以上ぶりだから こんなもんだろう とか言っているけれど、 ずっとやっていようがいまいが 面倒だからそのままやっちゃうのは 変わりないと 僕は思う。 棒針は4本いるらしい。 100円ショップなら 6号は置いているけれど 5号はないから 6号で編むのが 絶対お得だね。 やたら 増し目と減らし目がある。 久しぶりだから ちょっとやってみたかったそうだ。 増し目も 減らし目も 伸びないようにするやり方と 伸びるやり方があって 動きやすいように 伸びるやり方でしてあるらしい。 単純な模様だけど 模様があるから ”目”を間違ってもすぐわかるし 増やしたり 減らしたりする位置も さっと数えられて とっても楽になるのだって。 飼い主 楽への追求は相変わらずである。 前身頃と 後ろ身頃がついた。 針がついたまま 着せられた。 「いいんじゃないか。」 飼い主喜んでいるから大人しくしておいてやろう。 「袖 どれくらい編もう?」 「襟はもう このくらいクリンとしたのが 可愛いよね。」 ところがどっこい飼い主 そうはいかなかった。 (続く) この記事に関する楽天プロフィールコメントはこちら よろしければポチッとお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.10.22 01:19:53
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