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テーマ:徒然日記(23479)
カテゴリ:失われた時を求めて
その昔、横浜の豪邸を売りに出して、
一家は一路、安くて汚い集合住宅(コーポラス)に移った。 豪邸にあった家具やら財物を運びこんだわけだから狭くてしょーがない。 家族4人「狭い」ストレスを抱え込んで不機嫌そうに過ごしていたあの頃。 じめじめと暑い季節だった…。 そんな状況でも、年頃だった私は1人部屋を与えてもらって、 それなりに快適(?)に暮らすことは出来ていたのだが…。 ある日のことじゃった~。 夕暮れ時、ふと、部屋の壁を見ると、青色の小さなムカデが張付いていた。 ムカデというと赤いイメージがあるのだが、 そいつは青くて、まだ子供のようだった。 ううむ~、どう見てもムカデだ。 どうしよう。 ゴキブリもイヤだけどムカデもイヤだ。 どうやって退治するか…。 対応策を高速回転で考えつつ、固まっていたら、 もう一匹あらわれた。 「え?!」 よく見ると、カーテンにも同じ青いムカデがいるではないか! 「え?え?え?」 そうです。大量発生とでも言いましょうか。 部屋中に青いムカデがいる事に気が付いてしまいました。 我が家族が住んだのは1階で、私の部屋は草むらのような庭もどきに 面していて、窓の隙間から這い上がって侵入したのだと思われました。 奴らは、上へ上へと向かっていく習性があるようで、 こちらが苦悩している間にもゆるゆると壁をよじ登っている。 私は、百科事典を取出し「ムカデ」の項目を見た。 そこには、ムカデが南国生まれの肉食虫であること、 毒を持っていて、人を刺す(噛む)こと、 穴があると侵入する性質を持つことなどが書かれていた。 そして驚愕なのが、19××年に、寝ている乳児の鼻の穴か口から侵入した ムカデが乳児の内臓を喰い荒らし死亡の例がある、と、書かれていたことだった。 恐ろしい!なんて恐ろしいんだ!(冷や汗) 壁にはベッドが横付けされている。 本日、このムカデ達を一匹残らず退治しなければ、取り逃がした奴が 寝ている間に…あ・あ・あ…ぎゃ~!(苦悩絶頂!) そんなわけで、まずは殺虫剤を部屋の下部に撒き、上に追い上げることにした。 壁にはりついているのを叩くのは、壁がよごれるし、はずした時に どこかに飛んでいってしまうことも考えられるので、良い考えとはいえない。 そうだ奴らが天井に来た時に捕獲しよう! そう考えて、ビニール袋を用意した。 幸い、大ムカデのようにやたら速い動きをしない。 天井で捕獲するために、ベッドの上に仁王立ちになり、 壁を登るムカデをじっと見守るフリフリ13号。 天井に来た。 最初は、チャレンジだった。 ビニールをかぶせて、無理矢理天井から剥がせば、 なんとか生け捕りできるだろうと考えていたのだが、 壁から剥がす際のバトルが心配だった。 (へたすると噛まれるからな) しかし、安心して眠るためには、やらねばならん。 「ほい!」っと、ビニールをかぶせたところ、 あっさり、簡単に、自分からビニール袋にダイブしてきた。 周囲の空気が遮断されたことによって、 何らかのパニックが起こるのかもしれない。 案外簡単。(これならイケル) さらに這い上がるムカデを待つ。 今夜は仁王立ち…。 家族が、何事か?と覗きにくる。 私が稀なる虫害に面して必死であることを訴えると、 なんと、家族は「バカ受け」して笑っていた。 我が家族は、どうも他人の不幸を面白がる傾向があって、よろしくない。 個人主義が徹底しているというか、 この場合、私のみが問題に直面しているのであって、彼等は関係がないらしい。 同じ屋根の下にいながら「対岸の火事」って構えだ。 ムカデの捕獲は、夜中の2時まで続いた。 何時間、仁王立ちだったろう。 ようやく(もう、いないな)という確信を持ってから眠りについた。 家族はというと、 「お前、まだやってんの?」という言葉を残して、 すでに就寝していた。 あれは、孤独な戦いだったなぁ…。 今でも時々思いだす。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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