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テーマ:徒然なるままに(1486)
カテゴリ:失われた時を求めて
私は美術系なんですよ。
えぇ、週末にはアトリエにも出向いて絵を描いたりしちゃうわけですよ。 大学は美術系でした、ま、当然でしょ。 本当は6大学のどれかに行こうと思ってたんですがね、 バカでね、無理だもん、って、親に言ったわけ。 まぁよく4年間、学費を払えたもんだわさ。 子供の頃から「絵がじょうずね~」とオトナ達に誉められたせいで、 小学生ですでに「私は絵が上手い」というアイデンティティが出来上がっていた。 誰よりも自分が上手と、勝手に思い込んでいたね。 中学の時の美術の先生には、 「キミの作品が学年で一番よかった」などと言われ天狗になっていた。 しかし、高校の美術の教師は変なヤツだったな。 学校もちょっと変わっていた。 なんていうか、規則があまりない、自由というかね~? 進学校だったので、不良とかワルがいなかったせいもあって、 いわゆる教師陣の取り締りがなかった。 高校なのに大学みたいな雰囲気だったな~。 その美術の教師は、堅苦しくない課題を出すので、 けっこう楽しみながら制作できた。 変な先生だったけど、そういう授業は面白かった。 ある時、レコードジャケットをつくってみよう!という課題がでたのね。 まだCDとか存在しないから、大きなLPサイズのレコードジャケットを それぞれ自由に作ってみよう!ということになったわけ。 ミュージシャンも曲名も自分で勝手に考えて架空のものを設定して、 ポスターカラーで制作するのですワ。 今思うと、なかなか高度な課題だったかも。 「絵が上手い」私は、上手に水彩画とポスターカラーを使って、 こぎれいなジャケットを作成して、これはなかなかいいのではないか? なんて、心の中で自画自賛していたわけ。 でもね、別のテーブルでスゴイ作品作ってるヤツがいたんですよ。 アートのセンスがあるとは思えない、その男子の作ったジャケットは、 タイトルが『大遅刻』だった。 なんか黄色と赤のケバケバしい強烈なデザインで、 曲名もなんかすごかった。 今も覚えているのは『モンゴル人の意気地』という曲。 あるなら聴いてみたいよね。 これ、見た時に、私は負けた気がしたね。 勝てない、コイツには…。 なんか、人生最初の挫折だったかも。 提出した作品を返す時、先生が全員の前で、寸評するわけですよ。 みんなの作品を、ひとつひとつ。 この先生は滅多なことでは誉めない。 最大の賛辞は「笑い」で、先生がバカ受けしたら、 その作品は評価が高いような印象になったりしたから、当然、 その『大遅刻』は、かなり受けていて、私はちょっと悔しかったね。 私は、正統派な作品を作り、けなされなければグッド、 くらいに思っていたけど、なんかね、負けたのよね。 今日、雑誌をぺらぺらめくっていて、ふと、思い出したのね。 「遅刻」って文字みて。 あのジャケット作ってた彼は、今頃どーしてんでしょーね。 『モンゴル人の意気地』って、 今曲作って歌ったら、売れそうな気がしてならないんだけど…。 誰か歌えば~?でも、パクったら著作権侵害なんでしょうかね?やっぱ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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