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カテゴリ:実践!企業価値評価
■注目した記事(6/22 9面)
TDK、開発拠点増強 家電など向け電磁波低減部品 来週メド 千葉に新棟 ■記事への素朴な疑問 デジタル機器などが発する電磁波を低減する ノイズ対策向け電子部品の開発拠点を増強するようです。 千葉県に新設する施設の総工費は17億円で、 今年10月に完成、10年4月に稼動予定となり、 電波の反射を抑える電波吸収材や広域帯の電磁波に対応できる アンテナなど世界最高水準の部材を設置します。 デジタル機器や自動車メーカーなどの製品開発を支援する 体制を整え、メーカーの試作品のノイズ測定を請け負い、 ノイズ対策部品の採用を働きかける狙いです。 本日は、電子部品大手のTDKを取り上げます。 これまでの同社の経営状況はどうだったのでしょうか? それでは、08年度まで直近5年間の財務状況を基に分析を行います。 ティーディーケイ株式会社(TDK)の決算・財務分析はこちらから ■TDKの損益計算書KP/Lの視点 08年の伸びは小さいですが、堅調に増収増益を続けています。 08年の各指標と伸び率は以下の通りです。 08年 売上高 8700億円 (1%増) 営業利益 870億円 (10%増) 純利益 710億円 (2%増) 有報でさっと確認すると、 08年の売上の微増は、資材価格の高騰、競争激化による価格下落に因る、 という一般的な記載にとどまっていました。 08年の地域別の業績をみると、 当社はアジアの売上が6400億と最も大きく、前年比11%の伸びを示していますが、 次いで日本では売上3900億、前年比2%の減少となっています。 既に03年からアジアの売上・利益が、日本を上回っており、 アジアを中心に展開していることが分かりますね。 ティーディーケイ株式会社(TDK)の決算・財務分析はこちらから 次に、実際のキャッシュの流れを見てみましょう。 ■TDKのキャッシュフロー計算書C/Sの視点 年によってFCFがプラス・マイナスとなり、投資CFは順調に伸びていますが、 営業CFは年によって上下しています。 財務CFは常にマイナスで、返済・配当・自社株買いを行っています。 08年の営業CFは1200億、投資CFはマイナス1600億円、財務CFはマイナス600億でした。 08年の投資額は例年の2倍~3倍大きいですが、 アジア企業の買収や、設備投資等に因るものです。 ティーディーケイ株式会社(TDK)の決算・財務分析はこちらから それでは、B/Sを見てみましょう。 ■TDKの貸借対象表B/Sの視点 総資産は07年の9900億から5%減少し、08年は9400億円でした。 内訳の変化として、 運用面では現金が3000億から1700億円へと40%以上減少したこと、 無形固定資産が1000億へと2倍に増加したこと、 調達面では株主資本が7600億から7200億円へと5%減少したこと、が目立ちます。 投資CFで見たとおり、アジア企業の買収によって現金・資本が減少し、 のれんや特許等の無形固定資産が増加したことが分かりますね。 ティーディーケイ株式会社(TDK)の決算・財務分析はこちらから ■TDKの分析まとめ 増収増益を続けており、アジアの売上が額・伸び共に最も大きく、 日本の約1.5倍以上になっています。 (損益計算書P/Lの視点) 年によってFCFがプラス・マイナスに転じていますが、 08年は買収や設備投資で特に投資額が1600億と大きく、 例年の2~3倍もの投資を行っています。 (キャッシュフロー計算書C/Sの視点) 買収・設備投資によって現金・資本が減少し、のれんや特許が増加しています。 (貸借対象表B/Sの視点) 当社は平成20年3月期を初年度とする、新中期3ヵ年計画を実行中です。 平成21年3月期は、下記の通りです。 1.コンデンサ事業の新工場稼動開始 2.デンセイ・ラムダを取り込んだ新体制による電源事業の展開 3.アルプス電気からの資産・HDD用サスペンションメーカーの買収に 因る磁気ヘッド事業の強化 全てにおいて、08年の買収・設備投資に関係しており、 将来の布石上、同年の投資がいかに重要であったかが分かります。 本日の記事でも開発拠点を増強するとあり、 この積極投資が今後どのように回収されるのか、 特に営業CFの伸びどう繋がるのか、に注目ですね。 ティーディーケイ株式会社(TDK)の決算・財務分析はこちらから 以上の分析でご不明な点等ございましたら、 是非シェアーズまでご連絡ください。 感想もお待ちしております! support@shares.ne.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月29日 16時16分38秒
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