日本、韓国、インドネシア、フィリピン、インド、豪州などがネットワークを作り、米国とともに中国に関与するいわゆる中国包囲網を形勢し、中国に猛省を促すような白石さんのオピニオンを拝聴しましょうね。
(これぐらいの多数意見でないと、奢る中華は聞く耳を持たないだろう)
しかし、白石さんは、中国には、「だましだまし」対処していくしかないとおっしゃっています。
白石隆さんへのインタビュー
(これもデジタル朝日が見えないので、1/5朝日から転記しました)
<東アジアは壊れるか>
中国を巻き込んだ国際ルール作り 日本も積極参加を。
「だましだまし」で不安定化を封じるプロの芸が必要。
Q:北朝鮮の指導者交代が東アジアにもたらす影響をどう見ますか
A:まず理解しておくべきなのは、東アジアは、構造的に安全保障上の緊張を抱えているということです。その中で、北朝鮮の指導者交代がどういう意味を持つのかという問題の立て方をする必要がある。
Q:構造的に緊張を抱えているというのは、どういうことでしょう
A:例えば欧州では、安全保障上仕組みであるNATOが冷戦後、東に拡大し、その中で政治経済の協力、統合の枠組みとしてEUがまた東に拡大した。安全保障の枠組みの方が大きいので緊張は生じません。
ところが東アジアでは、貿易の枠組みが安全保障の枠組みより大きい。米国中心の安全保障の仕組みを前提として安全保障政策を組み立てている国と、この仕組みに入っておらず、政治体制も違う中国やベトナムのような国がある。東アジアの経済統合が進んだ結果、その両方が同じ経済・貿易の仕組みに入っている。そのため中国が経済的に台頭し軍備を増強すると、どうしても安全保障の面で緊張が出てきてしまう。
Q:東アジアでも緊張を生じなくすることはできないのですか。
A:中国が米国中心の枠組みに入れば別ですが、今の体制が続くかぎり、それはありえない。我々は緊張と一緒に生きていくしかない。大事なのは、この緊張関係をどううまくマネージしていくかです。
中国は、2011年秋の尖閣諸島沖の漁船衝突事件で、東シナ海における領土紛争の問題をレアアース輸出という経済の問題と結びつけ、日本だけでなく米国やEUも非常に警戒した。安全保障の問題と経済の問題をリンクさせたからです。こういうことは避けなければいけない。
Q:マネージするのはやはり米国の役割なのでしょうか
A:米国だけではなく、東アジアのすべての国がやっていかなくてはいけません。昨年11月、オバマ米大統領は豪州議会で行った演説で「米国は太平洋国家として、この地域でより大きく長期的な役割を果たすとの計画的、戦略的な決定をした」とアジア関与を確認しました。これまで東アジアの安全保障の仕組みは、米国をハブとして、そこから日米、日韓とスポークが延びる、扇のような形になっていた。オバマ政権はこのスポークどうしを繋げてネットワーク型に変えていこうとしている。日本、韓国、インドネシア、フィリピン、インド、豪州などがネットワークを作り、米国とともに中国に関与していくべきです。
Q:北朝鮮にもネットワーク型で関与していくのですか。
A:北朝鮮には、6カ国協議の枠組みで対処していくしかない。日本、米国、韓国が、ロシア、中国と緊密にコミュニケーションをとって、お互い疑心暗鬼にならないようにするしかありません。金正恩氏はまだ若く、経験も少ない。権力者は、国内を掌握する力が弱くなると、外に対して攻撃的な態度をとりやすくなります。さらに、きわめて脆弱な支持基盤の上に立つ指導者が核を持っているという事態は、歴史上いまの北朝鮮が初めてです。一つ間違えると東アジアの安全保障を非常に不安定にする危険性があります。
安全保障について考えるときは、常に最悪の事態を考えておく必要がある。北朝鮮崩壊です。周辺の国々が何もしなければ韓国が吸収合併すると思いますが、そんなに単純ではない。中国にとって、米国の同盟国である韓国と国境を接するようになることは大きな安全保障環境の変化であり、それを避けるために介入することも十分ありうる。米国にとっても、北朝鮮崩壊後、なぜ朝鮮半島に米軍を維持しなくてはいけないか、国内政治上の問題になるでしょう。そいうったことすべてが日本の安全保障政策に響いてくる。
Q:中国は北朝鮮についてどう考えているのでしょう。
A:北朝鮮が11年3月まで続いたタン・シュエ時代のミャンマーのようになるのが一番都合がいいでしょう。経済的には中国に依存し、政治的にもそれなりに安定している。外に対して挑発はしない。そういう緩衝国になるのが中国としては望ましい。
Q:北朝鮮の問題以外に、東アジア地域が大きく不安定化するリスクがあるとすれば何でしょうか
A:中国経済が危機的状況になった場合でしょう。欧州経済がさらに悪化すると、おそらく中国にも影響が出てくる。中国政府はリーマン・ショック以降、かなり無理をして景気刺激をやった。そのひずみが国有銀行の不良債権、地方自治体の不良資産というかたちで積み上がっている。外貨準備が多いので、欧州のような危機にはならないだろうし、中国政府には対応能力があると思いますが、経済の調整はあるタイミングで起こるでしょう。それが政治にリンクすると、要注意です。
Q:どこに注意すべきですか。
A:経済が悪くなると、政治はナスティーに、つまり「たちが悪く」なりがちです。それがどう出るか。対外的に大国主義的な態度として出たり、国内的に少数民族や外国人への排外主義として出てくるかもしれない。特に今年は指導部交代の年なので、中国の指導部は外に対してあまり弱腰にはなれないでしょう。
Q:いま東アジアでは、TPPの交渉が進んでいます。
A:(省略、新聞を見てください)
Q:TPPの参加については、日本でも議論が分かれています。
A:(省略、新聞を見てください)
Q:貿易はともかく、安全保障の面で中国を巻き込んだルール作りというのは難しそうです。
A:これまで中国は、南シナ海においては法的拘束力のない「行動宣言」で十分だと言ってきました。しかし最近では、拘束力のある「行動規範」を作るための議論を始めてもよいというところまで譲歩してきた。東アジアサミットなどでずいぶん批判されたからです。1,2年でできるとは思いませんが、1世代かければできるかもしれない。
Q:日本は長期的に、東アジアの地域システムの中でどういう役割りを果たしていくべきでしょうか。
A:最も警戒すべきは、地域システムがラディカルに変ることです。それを避けるには、米軍と自衛隊の相互運用性を高めるなど、日米同盟を深化させなくてはならない。東アジアにおける米国中心の安全保障システムは歴史的には縮小している。南ベトナムが消滅し、フィリピンのスービック海軍基地とクラーク空軍基地もなくなった。その分、機軸としての日米同盟はますます重要になった。日米同盟がなくなれば、この地域はあっという間に不安定化してしまう。
これは中国封じ込めではもちろんない。中国に関与していく。経済関係をもっと密にし、安全保障でもコミュニケーションをよくして、疑心暗鬼や不測の事態が起こらないようにする。また、米国の同盟国の韓国や豪州、パートナー国のフィリピン、インドネシア、インドとの連携も深めていくべきです。
Q:それで東アジアは安定するのでしょうか。
A:この地域には緊張がある。これは封じ込められない。だから、だましだまし対処していくしかない。この「だましだまし」が重要です。政治というのは半分が科学で、半分が芸、アートです。「だましだまし」という芸を国際的にうまくやっていけるプロの政治家が日本にももっと出てほしい。
(聞き手:尾沢智史)
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白石さんのやや右より?の姿勢は、全面的に賛同できかねるが・・・・そのまま紹介します。
アジア太平洋地域に秩序の「進化」を求めるより
<TPP協定交渉参加をめぐる民主党内の対立>
11月11日、野田佳彦首相は「TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と述べ、TPP協定交渉プロセスに参加する方針を表明した。首相はまた、翌12日からハワイで開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で、オバマ大統領はじめTPPの関係各国首脳に対し、この方針を表明した。民主党中心の政権が成立して2年2カ月、これまでの首相、特に菅直人首相が消費税増税、TPP協定交渉参加についても、震災復興、福島第一原子力発電所の事故を受けたエネルギー政策についても、政権維持を最優先に自ら責任を取る形で何の意思決定も行わなかったことからすれば、野田首相が総理就任2カ月余で復興増税、TPP協定交渉参加の懸案について意思決定を行ったのは大いに結構なことである。政府はこれからも武器輸出等三原則の見直し、消費税増税、社会保障改革等、国論を二分する懸案に次々と直面する。首相の仕事はそうした懸案について自ら決定し、実行することである。これまでの首尾は上々である。首相にはぜひこれからもリーダーシップを発揮してもらいたい。それが震災以来、地に落ちた政府と国会に対する国民の信頼を回復する途でもある。
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危機感に駆られた大使は、ただいま
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