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2012.03.01
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カテゴリ:映画
「ブレードランナー」を越えるSF映画がなかなか現れないが・・・・
それだけ、この映画が素晴らしいことの証しなんでしょうね♪

映画もさることながら【ブレードランナーの未来世紀】という本が良くて・・・・一粒で二度おいしい思いがするのです。

【ブレードランナーの未来世紀】
ブレードランナーの未来世紀
町山智浩著、洋泉社、2006年刊

<内容(「MARC」データベース)より>
保守的で能天気な80年代ハリウッド映画の陰で、スタジオから締め出された映画作家たちは、異様な悪夢の世界を描いた映画を作っていた。その理由を、入手可能な資料と監督自身の言葉を手がかりに解きほぐす。

<大使寸評>
著者の町山智浩さんの映画の見方や、薀蓄がいいですね。特にハリウッド映画の能天気さを意識しているところが大使好みです。

Amazonブレードランナーの未来世紀


この本で、大使がほれ込むエッセンスの個所を紹介します。


<ロング・トゥモロー>p229~230
 リドリー・スコットとハンプトン・ファンチャーは80年4月、ハリウッドに合宿して脚本の練り直しに入った。
「映像においてスタイルはテーマそのものになる」
それが、CM出身のスコットのポリシーだ。彼は、まずファンチャーに尋ねた。
「窓の外はどうなっている?」
『ブレードランナー』の舞台はどんな世界か、と訊いたのだ。ファンチャーが答えられないと、スコットは言った。
「ヘヴィ・メタルだ」

 それは、フランスのコミック雑誌『メタル・ユルラン』の英語版の名で、スコットがとくに意識したのはメビウスが描いた『ロング・トゥモロー』という短編だった。メビウスはスコットの『エイリアン』に宇宙服のデザインで参加している。
『ロング・トゥモロー』はまさに「未来のフィリップ・マーロウ」だ。舞台は未来。主人公のピートは私立探偵。彼は美女の依頼で荷物の回収に行かされ、命を狙われる。ピートはその美女と恋に落ちてベッドをともにするが、彼女の正体はアメーバのように不定形の怪物だった。それは地球大統領暗殺のために異星から送り込まれたスパイだったのだ。タフな探偵の一人称の語り、依頼人の美女の誘惑、そして裏切り。『ロング・トゥモロー』はハードボイルド探偵小説のパターンを未来世界で展開する。
 メビウスは『ロング・トゥモロー』の未来都市を空にそびえる摩天楼ではなく地下に向かって何百層も続く地獄のように描写した。さらに、すべての風景にゴミやガラクタをゴチャゴチャと描きこんだ。それはそれまでのSF映画で描かれるピカピカに清潔な未来都市とは正反対だった(ただし、ゴミと手垢で薄汚れた宇宙船なら72年にソ連のタルコフスキーが『惑星ソラリス』で見せている)。

『ロング・トゥモロー』のストーリーを書いたのはダン・オバノン。スコットの『エイリアン』の最初のシナリオを書いた男だ。彼はフィリップ・K・ディックの大ファンで、『トータル・リコール』と『スクリーマーズ』でディックの原作を二回も脚色している。
 この『ロング・トゥモロー』こそが、スコットにとっての『ブレードランナー』の「原作」である。何しろ彼は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んでいないからだ!


<フィルム・ノワール>p230~231
チャイナチャイナタウン

 原作は読んでいないが、スコットはファンチャーの脚本の「未来のフィリップ・マーロウ」というアイデアに興奮した。彼はロマン・ポランスキー監督の「チャイナタウン」(74年)のようなフィルム・ノワールを撮りたいと思っていたからだ。
 フィルム・ノワールとは、おもに1930年代のハードボイルド小説を原作として、40年代にハリウッドで作られた白黒の犯罪映画を指す。最大の特徴は闇だ。夜の闇に、雨に濡れた舗道、ネオンサイン、吹き上がる蒸気、タバコの煙、ブラインドや換気扇越しの光が白く切り抜かれる。フィルム・ノワールはたいてい主人公の憂鬱な独白で始まる。彼は謎めいた美女に誘われ、愛も情けも踏みにじられる暗黒の世界へと入っていく。フィルム・ノワールは、明るく勧善懲悪のハッピーエンドを描き続けたハリウッド映画史上の異端児だ。その厭世主義の原因は二度の世界大戦で残酷な現実を体験したせいだと言われている。「フィルム・ノワール」という呼び名は、それらの映画がフランスで上映されたときにつけられたもので、「フィルム・ノワール」という言葉がアメリカに逆輸入された50年代には、ハリウッドはすでにそういった暗くネガティブな映画を作るのをやめて、明るく健全で保守的なハッピーエンドの映画が主流になっていた。

 しかし、60年代終わりから、ヴェトナム戦争を背景に、ハリウッドでは再びアンハッピーエンドの映画が作られた。いわゆるアメリカン・ニューシネマである。ハリウッド映画が描かなかったアメリカのダークサイドを描こうとしたニューシネマは、ハリウッドが闇を描いていた40年代のフィルム・ノワールを再生した。それがスコットの愛する『チャイナタウン』であり、ファンチャーが愛する『さらば愛しき女よ』なのだ。
 「『ブレードランナー』の設定は(製作時から)40年後の未来だが、映画のムードは40年前の1940年代に作られたフィルム・ノワールを模した」とスコットは言っている。当初、デッガードはフィリップ・マーロウ風にトレンチコートにソフト帽を被る予定だったが、ハリソン・フォードが「レイダース/失われたアーク」(81年)で先にソフト帽を使ったのでコートだけになった。


<アンドロイドからレプリカントへ>p231~232
 リドリー・スコットはディックの原作にある「バウンティハンター」という職業名は平凡すぎるとファンチャーに言った。ファンチャーは自宅の本棚から『映画:ブレードランナー』という本を見つけた。著者はウィリアム・バロウズ。ファンチャーはバロウズのファンで『電気羊』の前に『裸のランチ』の映画化権を買おうとしていたのだ。バロウズもディックも麻薬常習者で、現実と妄想の区別が曖昧な文体が共通している。
 Bladeは手術用メス、Runnerは「密売人」というスラングで、Blade Runnerとは医療用品の密売業者のこと(銃の場合はGun Runnerとなる)。そもそも、自身も医者だった作家アラン・E・ナースが74年に医療用品の密売人を主人公にした小説『ブレードランナー』を書いた。それを79年にバロウズが勝手にアクション風に書き直したのが『映画:ブレードランナー』だ。両者とも内容的には映画『ブレードランナー』とは関係ない。
 スコットから次々に飛び出す要求に応えようとしたファンチャーだが、ついに二人は衝突してしまう。スコットは勝手に脚本家デヴィット・ピープルズを雇ってシナリオをリライトさせた。
 スコットがまずピープルズに要求したのは、やはり呼び名の変更だった。「アンドロイド」という言葉は機械っぽい。生物学的に作られた人造人間には別の名前が必要だというのだ。そこでピープルズは生化学を学ぶ娘から教えてもらったクローン技術用語の「細胞複製(レプリケイション)」から、「レプリカント」という造語を作った。


<虚空の眼>p233~235
タイレル社タイレル社
 「21世紀初め、タイレル・コーポレーションは遺伝子工学による人造人間“レプリカント”を開発した。彼らは地球外植民地の奴隷労働に使われたが、反乱を起こしたため、地球に逃亡したレプリカントは発見され次第、ブレードランナーによって射殺されることになった。それは処刑ではない、“廃棄”である」
 映画『ブレードランナー』は暗闇の中に主要スタッフとキャスト名が浮かぶメインタイトルの後、以上のような字幕(大意)が流れる。
 そして、「ロサンジェルス 2019年11月」という字幕に続いて、眼前に巨大なロサンジェルスの風景が広がる。雨に煙る暗闇にロサンジェルス南部の製油所が炎を吹き上げている。カメラの視線はその工場の上空を飛んでゆく。屋根に回転灯をつけたエアカー(ポリス・スピナーと呼ぶ)が画面の奥から飛んできてすれ違う。画面いっぱいの眼のクローズアップがカットインされる。大きく見開かれた青い瞳には製油所の炎が映っている。カメラの視線はピラミッドのような、マヤの神殿のような形の巨大なビル、タイレル・コーポレーション本社に近づいていく。ということは、この眼の持ち主は、タイレル社に向かって飛行しているようだ。だが、これが誰の眼なのかは最後までわからない。
(中略)
 この巨大な眼を見たとき、フィリップ・K・ディックの読者なら『虚空の眼』を思い出すかも知れない。ディックは全体主義国家やファシズム、監視社会をつねに恐怖していた。リドリー・スコット自身はインタビューで「(冒頭の眼は)独裁者の視線だ」と抽象的なことを言っている。これがオーウェルの『1984年』のように「ビッグ・ブラザー」を描く物語ならば、そうかもしれない。しかし、『ブレードランナー』には政府や体制は登場しない(むしろ統制が崩壊した社会を舞台にしている)。スコット自身がそれをいちばんよく知っているはずではないか。
 
<レトロフィット>p235~236
ナイト・ホークスナイト・ホークス
 原作者ディックは完成した映画を観ずに他界したが、死の直前にダグラス・トランブルによる未来都市の映像を見せられ、原型をとどめないほど変えられた脚本を読んで立腹していたことも忘れて、すっかり機嫌をよくしたという。
 フィルム・ノワールの主役は都市の風景だ。夜のビル街やネオンサイン、自動車のヘッドライトなしには成立しない。リドリー・スコットも『ブレードランナー』にとって都市こそが最も重要だと考えていた。
 スコットは都市のデザインのため、前述の『ヘヴィ・メタル』などのコミックや画集を山ほどかき集め、使えそうなイメージを片っ端から抜き出していった。たとえばエドワード・ホッパーの絵『ナイト・ホークス』。深夜営業のコーヒー・ショップに佇む男女を描いた絵で、大都会の孤独が伝わってくる。
 その資料のなかにフォード車のデザインなどをしてきた工業デザイナー、シド・ミードの画集『センチネル』があった。スコットはミードを雇って、タイレル本社ビルや、未来のぱとかー「スピナー」、主人公の持つ拳銃など、2019年のロサンジェルスをデザインさせた。
 スコットがシド・ミードに与えたコンセプトは「レトロフィット」だった。


1エントリー文字数の関係で、これ以上書けないが、全文は左のリドリー・スコットの世界2に載せています。





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Last updated  2012.03.02 10:19:52
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