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2012.03.30
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カテゴリ:歴史
ちょっと中断があったけど、あいかわらず『中国化する日本』を読み進めています。
すでに中国脅威論に染まった大使にとって、この本の読み方が、どうしても「敵の本質とは何か?」という読み方になってしまうのです。

それにしても、中国が嫌いなはずの与那覇先生は、そういう感情を表に出さず、中国を客観視して述べるところが、さすが歴史学者という感じで・・・・歯がゆいのです。


・真説明治維新p120~123
・真説自由民権p138~140
・工業化された封建制p167~169


<真説明治維新>p120~123より抜粋
 政治が混乱する時はいつもそうなんですが、最近も日本の政界では明治維新がブームのようです。まず2009年に、「官僚から国民への大政奉還」を掲げて民主党が政権交代に成功します―その後の熱気の冷めようの早さから見ると、「政権替えてもええじゃないか」をスローガンにしておいた方がよかったように思いますが。
 一方、野党転落後の自民党もなかなかうだつが上がらないというので、お次はあれやこれやの「維新の会」が雨後の筍のようにいろんな地方にできたり、国政レベルの新党のみなさんも口々に「今こそもう一度明治維新を」のような台詞を吐かれたりするので、今や全国「維新」だらけ。「明治維新も安くなったものだ」とお嘆きの近代史研究者は定めし多かろうと想像されますが、一方で私はその「安っぽさ」こそ明治維新の本領かな、と思うことがあります。
 研究者はもとより、幕末維新期も例によってファンの多い時代なので、「なんという無礼なやつだ。お前ごときが維新の志士をバカにするな!」というお叱りの声が飛んできそうですが、落ち着いてください。私が「安っぽい」というのには、「だから価値が低い」という含意はなくて、具体的にはかような点を指していうのです。

1.原因とされる現象のみみっちさ。
「明治維新ってなんで起きたの?」と学生に聞けば、10人が10人、「ペリーが来航して、開国するかしかないで混乱があって・・・・」と答えますが、そんな程度の理由で維新が起きていいのでしょうか。ここでもまた、中国史を参照するのが有益です。お隣の国・清朝では同じころ、アヘン戦争・アロー戦争と欧米の侵略が相次ぎ、一時は首都北京まで制圧される(1860)という状況になるわけですが、だからといって王朝がつぶれましたか。20世紀初頭に辛亥革命が起きる(1911)まで、その後半世紀も清朝はもったじゃありませんか。 それにもかかわらず日本だけが、「たった四杯の蒸気船」程度の小さな衝撃で「夜も眠れず」、あっさり(事実上の)王朝交代まで行ってしまった、その「安っぽさ」。
2.前後関係のつじつまの合わなさ
 最初に明治維新を気取った民主党は結局、政権交代後の公約違反を追及されて窮地に陥ったわけですが、「攘夷」を掲げて幕府を攻撃しながらその後あっさり「開国」に転向した討幕派の牛耳る維新政府などというものは、もともと史上最大の公約違反政権でしょう。
 政府を替えてはみたが結局なにをやるためだったのか、後になってみるとよくわからない、その「安っぽさ」。

3.騒ぎまわった割のスケールの小ささ
 明治維新の過程で政治的な理由で命を失った人は、安政の大獄から戊辰戦争を経て西南戦争まで含めて3万人と試算されています。これに対して、発生当時の人口規模では日本の8割しかなかったフランス革命では、内乱と処刑で65万人が死亡したとされます。
 もちろん現実的には、死者は少ないに越したことはないののですが、それにしても随分リーズナブルなコストの革命だったにもかかわらず、どういうわけか日本人だけは『ベルばら』同様、ロマンティックに没入してしまっているという、その「安っぽさ」。

・・・・要するに、明治維新とは耐用年数の切れた「日本独自の近世」という堤防が内側から決壊したことで、宋朝の時代に「中国的な近世」が成立して以降、あの手この手でどうにか堰き止めてきていた「中国化」の濁流に一気に押し流されただけだったのではないでしょうか。

いろんな地方に雨後のタケノコのようにできた「維新の会」や新党を、与那覇さんは歴史的に「安っぽい」と喝破しています。
頭のきれる与那覇さんなら橋下さんとのディベートに耐えられるはずなので、お二人の対談を企画してはどうかと思うのですが(笑)。


<真説自由民権>p138~140より抜粋
 実際、明治維新はその直後から、「江戸時代に戻せ」という反動に見舞われます。これは不平士族の反乱のみを指すのではありません。ここ30年ほどの日本近代史研究では、いわゆる自由民権運動もまた、明治政府の自由競争政策への不満と、江戸時代の不自由だが安定した社会への回帰願望によって支えられていた点を、強調する傾向が強い。
(中略)
 秩父事件(1884)をはじめとする民権運動の「激化事件」も、その実態は西洋型の議会制民主主義を要求するブルジョワ革命には程遠く、これらの市場競争で没落した貧民層の破れかぶれの暴発だったというのが、現在の通説です。
 いってみるならば、彼ら蜂起した民衆たちが戦ったのは、政治的な権利や身分の平等を求めた近代西洋的な「市民革命」ではなかった。流動性の高い競争一辺倒の社会の下、窮民蜂起や宗教反乱という形で幾度となく繰り返された近世中国風の「王朝革命」だったのです。
 もちろん福沢先生がおしゃるように「勉強しないのは自己責任」なのかもしれません。しかし、勉強ができるには文字が使えなければならない。「江戸時代の庶民は教育熱心で一般に識字率が高かった」というのは俗説で、実際には「仕事柄、文字を扱う必要がある人だけは近世から読み書きができた」のであり、全国的な識字率にはかなりの地域差・職業差・性差があったというのが最新の研究です。
(中略)
 つまり、近世のあいだからすでに密かに開いていたリテラシー能力の格差が、近代以降の市場競争に適応できる人とできない人との相違を準備していたのであって、明治の頭に突然「はい、これからは自由競争で!」といわれても、みんなが同じ条件で勝負できるわけではない。貧農出身の非識字階級が流入した明治期の工業地域のデータを見ても、結局識字率は低いままです。
 私は、この「江戸時代に準備されつつも、保護政策の存在によって顕在化していなかったのだが、明治時代の自由化によって一気に表に出た格差」こそが、日本史上最強の格差だったと思っています。これに比べたら、「日本はもともと平等の国だったのに、小泉改革の弱者切り捨てが格差社会を作った」などというのは笑い話です。

明治維新前の格差が史上最強の格差と言われるとなるほどと思いますね。日本は最近になって不平等に陥ったわけではないわけですね。


<工業化された封建制>p167~169より
 言い方を変えればこうです。19世紀後半からの世界的な労働運動の高まりのなかで、あらゆる先進国はその対応に苦慮し、結局いかなる解決策をとったかによってその国の政治体制が決まっていくことになるのですが、日本の場合はそこで「再江戸時代化」という道を選んだのです。
 あたかも各企業を「藩」に見立てたがごとき会社別組合の導入はその一例ですが、工場委員会の整備が始まった第一次大戦の前後から、主としてホワイトカラー層においてライフコースの固定化、会社の「村社会化」が顕著になっていきます。
 第一次大戦による戦争特需が、成金の続出など戦前でも未曾有の好景気を大正日本にもたらしたことは、高校の教科書でしか近代史を知らない人にもおなじみの史実でしょう。この場合、企業としては人手不足になりますから、新規労働力の青田買いが必要になってきます。その結果として定着したのが、大学卒業時の若者を一斉にホワイトカラーとして入社させる、今日と同様の「新卒定期採用」の慣行です。
 また、前後して20世紀初頭から、ホワイトカラー上層部の幹部候補生を中心に、終身雇用・年功賃金のしくみが整備されてきていました。年功賃金というのは、経済学的にいうと「若いうちは本当の労働の対価よりも安く使うかわりに、年をとってからその分を労働者に返すことで、途中で会社を移ると損をする状態を作り、長期勤続を促進する労務管理の手法」のことなので、いってみれば先祖伝来の耕作地をカタにとって(よそへ移住したら相続できない形にして)、百姓の「イエ」を居住地域に縛り付けていた村社会の近代版です。
 このような、会社の村社会化を通じた働き方の「再江戸時代化」は、しだいにブルーカラーにも及んでいきます。第一次大戦による好景気は、主として重化学工業に従事する肉体労働者の賃金を大幅に増加させ、ノンキャリアの公務員と同等の水準まで引き上げたことが知られています。これによって、大工場で働いてさえいれば、基本的には旦那の稼ぎだけで奥さんと子供を食べさせることができるという「家族賃金」の慣行が成立し、統計によっては、大正末年には日雇い労働者の家庭でも9割強が専業主婦化していたというデータもあります。
 これによって、江戸時代以来、都市部に流出して長屋住まいを強いられていた農家の次三男でも、結婚して家庭を持つことができる環境がようやく整い、彼らによる核家族の形成が進みます。戦争と軍需景気のおかげで、やっとさ「都市の蟻地獄」が緩和されたのです。


ライフコースの固定化、会社の村社会化を通じた「再江戸時代化」という切り口が鮮やかですね。
反グローバリズムの大使としては「再江戸時代化」でいいじゃないかという気もするんですが、そして・・・・
終身雇用制・年功賃金は世界中から揶揄された会社人間を生んだが・・・セーフティネットを補完するプラスの面もあるわけで、団塊の世代はノスタルジーさえ覚えるのです。


【中国化する日本】
中国化
與那覇 潤著、文藝春秋、2011年刊

<内容紹介>より
日本の「進歩」は終わったのか──ポスト「3.11」の衝撃の中で、これまで使われてきた「西洋化」・「近代化」・「民主化」の枠組を放棄し、「中国化」「再江戸時代化」という概念をキーワードに、新しいストーリーを描きなおす。ポップにして真摯、大胆にして正統的な、ライブ感あふれる「役に立つ日本史」の誕生!

<大使寸評>
歴史を今の政治経済にまで引き寄せる與那覇さんの着想が鮮やかであり・・・
それをまた、読みやすく書く文才が並の歴史学者と違うのかもしれませんね。

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Last updated  2012.03.30 18:33:14
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