暇な大使は、わりとまめに本屋を巡っているのです。
手元不如意なので、ハードカバーの本など、半年に1冊買うかどうかという具合で・・・もっぱら、世の論調を視察するだけの本屋巡りなんですが。
しかし、出版社もさるもので、手を変え品を変え、購買意欲をそそる本を出すわけで・・・
さすがにシブチンの大使も、時として衝動買いするわけですね。
今回は、この本をめくっていて「衰退社会2.0」という造語のコピーに、みごとに食いついてしまったのです。
このようにトレンディーな題材の新書は、つい店頭のパッと見で買ってしまうのだが・・・・
時にスカを掴んで悔やむこともあります。(今回は及第かな)
【これから20年、三極化する衰退日本人】
中野雅至著、扶桑社、2012年刊
<「BOOK」データベースより>
生活保護、増税、資産フライト。2030年、日本人の生活レベルを大胆予測!“負け組”ばかりを生み出す衰退社会から抜け出すために必要なスキルとは何か。
<大使寸評>
2003年にキャリア官僚から転職し、現在は大学の準教授の著者とのこと。
三極化とは、依存する人、搾取される人、脱出する人なんだそうです。・・・
まったく夢も希望もない2030年を予想している本であるが、ほっとけばアメリカのような社会になるわけで・・・・
とりあえず、目先のTPPに反対しようではないか。
Amazonこれから20年、三極化する衰退日本人
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裏表紙
警世の書であるが・・・この本を読んでいると「お先真っ暗」で、落ち込むこと請け合いなんですね。
どつぼに落ちるにしても、知らないで落ちるより、知っていて落ちるのも意味があるのでしょう。それよりも、ポジティブに今を生きるのが肝要ではないでしょうか。
そして年寄りは若者のために職を譲り、せいぜい消費者として日本経済の後押しをするのがいいのでしょうね
(なんか、アホでんな、この本の趣旨が腑に落ちていないのかも?)
この本の一部を紹介します。
ネット世論の力、ツイッターやブロガーの匿名性に関する記事に納得。
<吹き荒れるネット世論の力>p146~149
司法の崩壊を決定つける最大の力はネット世論である。これから20年、ネット世論は益々力をつけるようになる。理由は単純である。今から20年後にはPCやネットは全国津々浦々にまで普及しているだけでなく、ネットショッピングに代表されるように生活のあらゆる場面に入り込むようになっているからだ。当然のことながら、様々なニュースもネット経由で見る人が多くなる。
ただし、日本のネット世論は必ずしも肯定的な影響だけを及ぼすのではない。その最大の理由は、日本のネット世論は匿名中心だからだ。米国のフェイスブックのように実名で意見を述べる人は少なく、匿名で意見を述べたり、世論を煽ったりするという方が多い。 このような匿名の世論は、匿名であるがために本音がネットに踊るという利点がある一方で、匿名であるがゆえに汚い言葉で相手を罵るという欠点がある。しかも、朝から晩までパソコンの前で何かを書き込んでいる人は、自分の置かれた境遇ゆえか、自暴自棄で厳しい言葉で書き込む可能性が高くなる。
そのため、ネット世論は力を持つが乱暴な世論になるのだ。実際、2ちゃんねるなどの書き込み掲示板を見ると、ものすごい表現の書き込みがしてあるのは誰でも知っている。 匿名であるがゆえに玉石混交の意見が踊る。その中から自然調和のマーケットが優れた意見を選び出すので、変な意見は最終的に駆逐されるという意見を述べる人もいるが、これはあまりにも甘すぎる。ネットに踊る意見はあまりにも多すぎて、玉石を上手く仕分けることなど不可能に近いからだ。
その一方で、ネット世論の勃興の背景には、既存の大手マスコミの凋落があることは言うまでもない。これからの20年、大手テレビ・新聞は益々凋落の一途を辿っていくことは間違いないだろう。
それでは、なぜ大手マスコミは凋落してしまのか?
1.記者クラブの存在である。今現在でさえ記者クラブは大手マスコミが情報を独占するための排他的組織だという意見が強くなっているが、これからさらにそういう議論が強まっていく。
2.記者クラブを通じて流れる大手マスコミの情報は、役所や政治家に操作されたものだという意見が益々強くなることだ。今でも記者クラブは情報操作されており、大手マスコミを通じて流れる情報は信用できないと言われる。私自身はこの意見に必ずしも与しない。しかし、ポピュリズムや陰謀史観のような見方が世の中で強まりつつあることは事実だ。おそらく、マスコミ業界が流動化して、大手マスコミに所属していた人間がフリーとして食べていける環境が整えば整うほどに、フリーが大手マスコミの内部を暴露したりという形で、徐々にネット世論が勢いを増していく可能性が高い。
もちろん、大手マスコミの力が一方的に衰えるということはあり得ない。特に、テレビは最後までネット世論に対抗する力を失わないだろう。しかし、新聞などは相当凋落傾向を辿ることは避けられないだろう。その分だけネット世論が力を持つのだ。
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折りしも、今日iPhone5が発売されるが・・・・
呟いた言葉が文字化されて、クリックすればツイッターに投稿できるんだそうです。
これで、ツイッター画面は、ますます騒がしくなるんでしょうね。
(アップル嫌いの大使は意地でも買わないけど・・・大使、先ず携帯を買ってみては?)
この本も蔵書録に追加するが、入れる範疇は「
社会関連の本」としておこう。