<新華僑を許容できるか?>
恒例のように本屋を巡っていたら「2013年の中国を予測する」というこの本が目に付き、パラパラとめくって拾い読みをしていたら・・・・怒りがこみ上げてきて、つい衝動買いをしてしまったのです。
その後、喫茶店やサイゼリアこもって読破したのですが・・・・
気になる新華僑のあたりを、紹介します。
宮崎正弘×石平、WAC BUNKO、2012年刊
第4章 世界中でチャイナ・バッシングが起こっている
<農村に帰っても耕す農地もない>p124~128
宮崎:中国では、農地を取り上げて経済開発に使ったなどという土地が、いままでのトータルで、アメリカのウェストバージニア州に匹敵する広さなんですよね。失われた農地ですね。
もうひとつは、農地が砂漠化しているわけなんです。ということは、成長率8%の中国で8%ぐらいづつ毎年、耕作面積が減っているんです。これは農地面積の問題ですね。
二番目に農民の問題。農民はまったく豊にならない。ジリ貧状態で、どんどん貧困化していく一方なんです。
次の問題は農薬と肥料に頼り過ぎた農業改革の結果、農作物のコストが上がったんですよね。上がったうえに、肥料と農薬で汚染されている食品を作っているということになる。
石:まったくいまの中国の農業は、もう完全に化学肥料と農薬頼りです。しかもそれを使い過ぎて、耕地の質がだんだん落ちているんですよ。というのも、農地は農民の所有じゃない。自分のものじゃないから、いまのうちだけ高い生産性があればそれでいい。あとはどうなっても知らないというわけです。
宮崎:だから、土地改良という努力がまったくない。
石:まったくない。そういう意欲がまったくない。
宮崎:農村人口も減っていますよね。いま5億くらい?
石:もう少しいますね。
宮崎:都市人口がついに51%なんです。ということは、49%が都市以外の近郊ならびに農村部でしょ。
石:基本的に7億ですね。」しかし問題は、いわゆる都市近郊に含まれている人々の多くが流民なんです。出稼ぎ労働者です。しかも、そういう人たちが労働力として吸収されてきたのは不動産、建設業、そしてもうひとつは輸出向けの加工産業だったんです。しかし、輸出と不動産という両輪がこれから衰退していくと、彼らは職場を失うことになる。
そして問題なのは、農村に帰っても土地はすでに開発に使用されていて、もう耕す農地も無いということなんです。そういう目に遭っている人々が社会問題を引き起こす。これは中国の歴史上、天下を揺るがすような大問題なんです。
宮崎:すでにその兆候はたくさんありますね。それでこういうところまで来ると、世界共通で起きてくるのは治安の悪化、雇用の減少、暴動、そして詐欺です。詐欺の流行っていうのが、いま中国ですごいでしょ。それから金融ファンドを騙って、金を集めてドロンしたりするケース。
(中略)
宮崎:もうひとつは、中国特有の問題に戸籍の問題があります。都市戸籍を取れない流民が都会に住みついている問題。住みついた夫婦が生んだ子供は都市の学校に入れないから結局、おじいちゃん、おばあちゃんのいる農村へ返すという逆流現象ですね。そのうち都市でも雇用がなくなったら、この人たちは故郷に帰らざるを得ないですよね。
いまその回帰現象がまた激しいことになっています。その一方で、今度は新疆ウィグル自治区のように、駐屯兵のような形であそこに住んでいて、根を下ろして子供ができた。子供がみんな今度は都市へ流入するわけですよね。だから片一方ではこっち、片一方ではあっちという、このアンバランスというのはすごいですよ。日本では絶対に考えられないことです。
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<イラクのクルドの街にチャイナタウン>p129~135
宮崎:中国の農村も、これからどんどん過疎化が進みますよ。
それとちょっと関連があるんですが、それが中国が世界に出て行くという話にも繋がる。中国の世界のっとり計画みたいな話で、アフリカにどんどん出て行く。そして鉱山を買う、土地を買う。あるいはヨーロッパの土地を買う、日本の土地も買う。そういう動きが、ここのところ頻繁に伝えられてきますよね。
これにはまず中国の政策的な問題があって、海外援助と外交戦略とが結びついて、援助に付帯して出て行った人たちが最初ですよね。その前の毛沢東時代には、ザンビアだのルワンダだの、医療と農業指導で出て行ったんですよね。それからタンザニアには経済支援、鉄道建設とか、全部これは外交ですよ。中国の農民が飢えて死にそうだというのに、タンザニアに鉄道を引いていた。
それが完全に変貌を遂げてこの10年、15年の中国のやり方を見ていると、第一の動機はエネルギー確保ですよね。エネルギー確保のために、アフリカと産油国とブラジルあたりの、つまり石油、ガス、鉱物資源、鉄鉱石、この確保のために出て行ったわけです。
出て行ったらヒトも付帯して出て行く。いわゆる華僑の海外移住組というのが、それに倍するぐらい出て行ったわけです。
(中略)
石:すごいですよね。
宮崎:日本全部では、いま中国語新聞が54種類出ているんですよ。アンゴラなんて国は日本人は聞いたこともないような国だけど、あそこは石油が出る。中国はいま、日量20万バレルくらいアンゴラから入れているでしょ。スーダンからは日量25万バレル入れている。そうすると、ビジネスに付帯して中国人がスーダンに出て行く、アンゴラに出て行く、ジンバブエに出て行く、そしてリビアに出て行っていた。カダフィがひっくり返ったと聞くと、いっせいに引上げる。
リビアに3万6千人の中国人がいたんですよ。あれはびっくりしましたね。まさかと思いましたよ。1万人くらいいるのかなと思ったら、3万6千人もいたんです。
ということは、次にナイジェリアで暴動があった場合、やっぱりそれくらいの数の中国人がいるということがわかると思います。
いま中国人は、それくらい世界中に散らばっている。いま申し上げましたように、第一期は外交戦略、第二期は資源の確保、三番目は新移民の時代になっているわけです。これは「新華僑」といえるかしれません。新移民というのは現地で商売をやるんです。それはイラクのサダム・フセインに反対したクルドの街があって、クルドのその街に中華門を建てて、チャイナタウンができて、という状況まで来ちゃった。
これはこれからの世界的な問題じゃないですか。だからいま、日本で騒いでいるような不法入国、偽留学生、不法移民の問題、それから水資源の乗っ取りとか、そういう問題も国際比較でみると、非常に小さな問題なんです。新潟の領事館が一等地を買ったとかいったってどれくらいかといったら、5千坪にも満たない規模です。
向こうはたとえばタンザニアの隣の国モザンビークで、何10万m2と農地を買うわけですからね。文化がまったく違うようなところに行ったら中国人は集団で行動しますから、ものすごい摩擦が起こると思いますね。現に、起きているところがあちこちにあります。石:もっとこの問題を広く捉えていきますと、将来的に経済がどうなるかは別として、人口がどんどん増えて農地が荒廃する。砂漠化が進む。水がますます足りなくなる。という状況になると、経済の善し悪しや経済が成長するかどうかとはまったく関係なく、中華人民である13億の民を養いきれなくなるわけです。
そうすると、将来的に環境難民が大発生する。そして新移民というのが何千万人、何億人単位で発生してくる。これはもう、中国にとっても世界にとっても悪夢のような現象ですよね。この問題をどういうふうにすれば解決できるのでしょう?
宮崎:もうすでに1千万人は外に出たでしょう。アフリカだけで100万人ぐらいいる。ヨーロッパでも300万人以上いるでしょう。ロシアに100から150万人。アメリカにおそらく300万人いるでしょう。日本はいま100万人を突破した。1千万どころじゃない。2千万人は出たんじゃないですか。
毛沢東のときは、国を閉じていてくれたからよかったんです。食えなくなったら4千万人くらいが餓死して、乱暴な言い方ですが、国内処理ができた。いま、そんなことはできないですよ。改革解放で世界中に散っちゃっている。ですから、これは中国だけの問題じゃない。中国の問題はすべて国際問題になる。すべてチャイナ・プロブレンですよね。
中国共産党も、実は秘めた計算をしているかもしれない。余剰人口を計画的に外に出そうとしているっていうことはあるかもしれない。
石:実際、中国政府はいま、企業の海外放出を極力奨励しているんですよ。
宮崎:それは表向きの理由はドル減らし、それから国際協調。実際はそうではないですよね。
石:人間を吐き出す。
宮崎:もう出て行けということ。水も足りない。食料も足りなくなるから、あらかじめ計算のうえで出て行って欲しい。
石:中国国内の専門家によると、中国という国の国土のサイズからすれば、産業を近代化したとしても、近代社会として維持できるいちばん理想的な人口が7億人だという。もう倍ですよ。この超えた分をどうするんです?(笑)
宮崎:どうするっていうよりは、そこには自然淘汰の原則があって、食料と水が尽きれば、やっぱり死ぬんですよね。
石:昔は一国のなかでその惨劇は完結するんですけど、これからはそうはならないんです。かならず世界的にその影響は広がっていくんです。
宮崎:ヨーロッパを中心に、もう移民排斥運動というのが起きていますね。アメリカは別にして。
日本だっていま、このナショナリズムの高まりと嫌悪感情を見てみると、どうしてもこれ以上、中国人を積極的に入れるという政策にはならないと思うんですね。
石:ロシアもすごく警戒しています。
宮崎:ロシアは隣国ですから、いちばん警戒する。ロシアはそもそもタタールの頚木以来、中国人に対する恐怖感があるのです。
石:黄禍ですか。
宮崎:中国は国土、版図の拡大に意欲的な傾向がある。それは将来的な中国経済の崩壊、人口の膨張も含めて、中国が世界にエリアを求めざるを得ないという表れなんじゃないか。でもそれは、フィーリングの問題ではそうかもしれないけど、版図拡大なんていうことを言っているのは軍の一部のタカ派と政治局で、それをいうと自分の政治的ポジションの上がる人たちで、中国の国全体としてはそんなことは考えていないと思います。中国人は、国全体のことなんかどうでもいいんです。自分さえよければいいんですよ。
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隣国の漢族の民とは、お付き合いせざるを得ないのだが・・・
これだけ論理や価値観が違うのであれば、新華僑の流入は制限して、中国とは距離を置くのがいいと思うんですけどね。
今日「2014年、中国は崩壊する」が届いたので、これから取りかかります。