「オフィーリア」
Bunkamuraでやっているジョン・エヴァレット・ミレイ展を見てきた。画家の名前はご存知なくても、この絵を見ればぴんと来る方も多いはず。 19世紀の英国を代表する画家で、この「オフィーリア」は、シェイクスピアの『ハムレット』の一場面を描いたもの。ハムレットの恋人オフィーリアは、花の冠を作っているうちに、水に落ち、レースのドレスが水を含んで次第に重くなるなか、祈りの歌を口ずさみながら、死を迎える。口を半開きにしたオフィーリアの恍惚とも見える表情と、周囲の植物の見事なまでの写実描写。やはり、本物を見て損はないと思わせる力のある作品だった。ちなみに、この絵はロンドンのテイト・ブリテンでは最も売れるポストカードだそうだ。ロンドンにいた頃、テイト・ギャラリー(現テイト・ブリテン)はV&Aとともにお気に入りの場所だったが、今回の回顧展は昨年テイトで開催され、それがアムステルダムのゴッホ美術館を経て日本へやってきたものだという。75点が一挙に展示されている。「オフィーリア」はミレイ22歳のときの作品だが、今回の展示で最も惹きつけられたのは晩年の作品「聖ステパノ」。撲殺された若き聖ステパノの亡骸を描いたものだが、そのえも言われぬ表情に釘付けになった。今でも思い出すと身震いが。帰りには東急のデパ地下で好物のダロワイヨのマカロンを。季節限定のカシス味が美味。