【フィリピン】マニラ空港の運用効率化推進:JICA、交通流管理機材を提供
NNA 12月2日(木)8時31分配信
国際協力機構(JICA)は1日、フィリピン民間航空庁(CAAP)に、航空交通流管理(ATFM)シミュレーターを正式に引き渡した。円借款事業と並行して行うJICAの技術協力プロジェクト「航空航法システム安全性・効率性向上プロジェクト」の一環。シミュレーターの活用により、マニラ首都圏のニノイ・アキノ国際空港(NAIA)上空での航空機の待機時間短縮を図る考えだ。
ATFMシミュレーターは、NAIAの離着陸状況を予測し、混雑時に到着が見込まれる航空機の出発時間を出発地側の空港で遅らせ、NAIAへの到着時間を調整するもの。出発空港での地上待機時間を増やし、上空待機時間を短縮することで、NAIAの効率的な活用のほか、安全性や燃費の向上、二酸化炭素(CO2)排出量削減といった効果が見込めるという。シミュレーターはNEC製で、コストは2,100万ペソ(約4,000万円)。
日本の国土交通省から専門家として派遣され、CAAPのチーフアドバイザーを務める岸信隆氏は、NNAの取材に対し、NAIAを利用する航空機のうち、国内線が全体の約60%を占め、残りは国際線が約35%、一般航空が約5%と説明。その上で、混雑緩和のためには国内線の効率的な運航が不可欠との考えを示した。
■上空待機を10分以内に短縮
岸氏によると、NAIAではピーク時に、1時間当たりの到着機が処理能力の上限とされる22機を超え、30機近くに達することがあり、上空での待機時間は最大30分に上る。こうした状況下、ATFMを活用することで、上空での待機時間を10分以内に短縮できるという。
シミュレーターを納入したNECの石田雅彦氏によると、ATFMシステム上は運航を1分単位で管理できるが、運用レベルでは5~20分程度の出発遅延を指示することになるとされる。石田氏によれば、日本では羽田、福岡、那覇などの空港のほか、降雪により運航スケジュールが乱れがちな冬季の新千歳空港でも、ATFMシステムが活用されているという。同社の海外でのATFMシミュレーター納入は今回が初めてとなる。
■来月から試験運用開始
JICAはシミュレーター導入に先立ち、短期専門家を招いての講習のほか、今年2月にはフィリピン人スタッフを日本に派遣し、研修を実施。ATFMの試験運用は来月から開始する予定で、2013年の本格導入を目指す。
岸氏は一方、ATFMシステムでは、インターネットを通じて民間の航空会社と情報が共有できる点に言及し、航空会社の運航スケジュールの見直しに期待を示した。さらに、運航数の上限を設けるスロット(発着枠)管理の導入を政府に提案していく考えも明かしている。
航空航法システム安全性・効率性向上プロジェクトは、「新航空管制支援システム(CNS/ATM)」導入に向けた技術協力を行うもので、協力期間は09年2月~14年2月の5年間。ATFMのほか、衛星データリンク(ADS-CPDLC)、広域航法(RNAV)などの導入支援も実施している。
最終更新:12月2日(木)8時31分
