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大手銀を悩ます為替デリバティブ!過払い金と同じ構図 為替デリバティブで損失を被った中小企業が、 全国銀行協会の金融ADR(裁判に頼らない紛争解決制度)機関に解決を求める件数が 増大している。 特に昨年4月以降、円高の急進もあり、 4~6月が112件、7~9月が144件と100件の大台を超えた。 しかも、契約期間が満了した過去の損失に関する案件も急増しており、 販売の多かった大手銀行にとって大きな負担となっている。 メガバンクでは損失処理額が昨年末時点で300億円を突破したところもある。 過去の案件まで応じなければならない状況は、 消費者金融の過払い金返還請求と同じ構図と言っていい。 為替デリバティブ取引に関わる金融ADR急増の背景には、ある程度無理な請求でも、 できる限り和解に応じるよう金融庁が促している側面があるようだ。 消費者保護を第一に据える同庁にとって、 中小企業金融の円滑化は最も配慮すべき留意事項ということであろう。 また、弁護士や司法書士も、為替デリバティブ取引について、 中小企業からの相談に積極的に応じるなど関与を強めていることも見逃せない。 実際、金融ADRの現場では、 「為替デリバティブ取引について、投資の認識があった中小企業でも 金融ADRに持ち込めば、損失額や中途解約に伴う違約金の半分は取り戻せる」 とメガバンクの幹部は指摘する。 中小企業のモラルハザードが懸念される部分もあるが、 斡旋(あっせん)委員会が示す和解案を受け入れるケースが大半で、 訴訟にもつれ込むケースは極めて少ない。 全銀協が公表している為替デリバティブ取引に関わる 「斡旋の申し立て事案とその結果」(2011年度第2四半期)では、 「ヘッジニーズがないにもかかわらず締結させられたデリバティブ取引の解約要求」や 「説明不十分で締結させられたデリバティブ取引の解約要求」などの申し立てが多く、 斡旋手続きの結果、銀行が応分の負担を余儀なくされるケースが大半を占めている。 斡旋委員会では、こうした事案の積み上げから、 すでに損失割合に関するマトリックス表が作成されているといわれている。 斡旋委員会による事前ヒアリングもあり、 「早ければ30分程度で損失割合が確定し、和解契約書が取り交わされる」 とメガバンク幹部は語る。 中小企業の為替デリバティブ損失は、10年11月に国会で問題視されて以降、 「これまで大きな問題となるとは予想しなかった」(メガバンク幹部) というのが正直なところであろう。 しかし、いざ蓋を開けてみれば、 為替ニーズがない中小企業に複数の銀行が一斉に取引を働きかけ、 過大なリスクを負わせた実態が次々に明らかになっていった。 しかも、本業はしっかりした優良企業が予想外の損失を被る事案が少なくない。 銀行にとって、こうした企業は優良顧客であり、 金融ADRは損失の痛み分けという一種の債権放棄により、 企業をいかす枠組みとも受け止められる。 ■もりおか・ひでき 1957年、福岡県出身。早大卒。 経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て 2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。 次は、仕組み債の訴訟ラッシュが控えています。
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