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山口小夜の不思議遊戯

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2005年11月03日
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 大嵐がもうひとつ問題を残していったことに村人が気がついたのは、墓場での一件落着を見たその数日後のことであった。

 それは週に一度行なわれる、軽トラックでの市内への買い出しの時に発覚した。

 出発してからほどなく、運転していた人が行く手を大きな岩がさえぎっているのに気がついた。
 道を切り出した崖が先の嵐で崩れたらしく、なんと道の真ん中に岩が転がっていたのだ。

 そういうわけで、買い出しに乗り出した人々は、進退窮まって仕方なく村までとんぼ返りしてきた。
 知らせを聞いた村長(むらおさ)は、すぐに電話で市に撤去を頼んだが、大嵐の被害は市内の方もひどかったらしく、今日明日には対策をとれないとすげなく断られてしまった。

 困ったのは村の人々である。
 市内への道はでこぼこであろうが何であろうがこの道ひとつだった。
 村には老人はもちろん生後間もない赤ん坊もいたので、嵐の後の家屋の修理用品や生活必需品などの補給は欠かせないことであった。
 さらにこの時期は、山の人と呼ばれる漂泊(ワタリ)の民が村に居つく時分に当たっており、半年に一度行なわれる彼らとの物々交換のための物資の供給のこともあって、この買出しを大幅に遅らせることはできなかった。

 邪魔をしている岩こそはそれほど大きいものではなかったが、今や道の真ん中にできたぬかるみにのめり込んでいて、大人が集まって動かそうにもびくともしなかった。

 人々は岩のまわりに集まって、ああでもないこうでもないと日がな一日知恵をふりしぼったが、なかなかいい考えが浮かばないでいた。

 さて、里で遊んでいた子供たちは、大岩出現の噂を聞いて、われ先にと見物しに走りだした。
 しかし、小夜はひとり、仲間たちの一群から思うところあって抜けだした。

 果たして、小夜の思うところの探しものは、そこからほど近い雑木林の中ですぐに見つかった。

  

 本日の日記---------------------------------------------------------

 【山窩】遊行する半神
 
 山窩(サンカ)という山の民をご存じですか?

 サンカは別の名をワタリともいい、いずれもわが国に実在する漂泊の民を指します。

 サンカという名については差別的な意図もあるような気が致しますが、この実在した漂泊の人々が、その生活をよしとしていたのであればこの期に及んで名称などの意を勘繰るのは控えます。

 サンカについては諸説ありますが、本編の第二章でも申し上げたとおり、ヤマト民族は本来は‘山人’と書いたともいい、こうした山渡る人々は、特別に崇敬されていた時期もあったことでしょう。

 97年のことでしたか──私は北京留学をゴリ押しして、13回のビザの延長の末、修学ビザを取得するために一時帰国した際、トウキョウの街を徘徊していた折に、ちょうど‘もののけ姫’を上映している映画館に吸い寄せられるようにしてひとり、入ってしまったことがあります。

 そして、この「もののけ姫」という映画──宮崎駿監督は、サンカをはじめとする人々を描いたとしか、私には思えませんでした。

 もののけ姫の名前が「サン」ということと「アシタ」「カ」という名から連想される「サン」「カ」と呼ばれる古来よりの民族──これは彼らサンカとタタラ族と深いつながりを描いた物語。

 タタラの民が一般の農村の規格から外れた社会を作っていることからも、彼らも源流をただせばサンカであったことが気づかれます。
 ‘もののけ姫’の映画にかたられるように、彼らがいつしか深山に独自のポリスを作り出し、ハンセン病患者達を助けたという物語は、歴史上の事実です。サンカと呼ばれる人々は、ハンセン病や事情あって山に逃げてきた人たちの面倒をとてもよくみる民でした。

 いずれにしても、今の破壊された地球において、自然を愛し共生する自発的貧困とも言える質素、簡素、素朴な生活を送り、真の豊かさを知り、自由で誇り高く、弱きものを愛する事のできるサンカにこそ、今の日本に一筋の光を差す、見習うべき真の生を垣間見ることができるのかもしれません。

 あなたが街に日暮らし眠りにつく今も、山渡る人がいるのです。

 
 明日は●つないだ手と手●です。
 今日はネタバレ注意報!
 午前7時までに来て下さった方、本日の本文の後半はトーンが違うので明日に回しました。すでに五十人ほどの方がいらしていたので、変更するのは迷ったのですが、ほんとうにごめんなさい。明日、また違ったテイストで書きなおしますので、もう一度よろしくお願い致します。

 タイムスリップして、小夜の行方にほっと一息つきにきなんせ。






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最終更新日  2005年11月04日 06時09分03秒
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