セバスチャン・サルガドの写真展「アフリカ」へ行き、講演会を拝聴しました。
写真展では、これまで彼の撮ってきたアフリカの写真とともに、新たに進行中のプロジェクトGENESISの写真も展示されています。
アフリカの飢餓を撮った「SAHEL」や、近代化で消えていく肉体労働者を取材した「WORKERS」、戦争、貧困、宗教弾圧などで亡命や越境を余儀なくされた人びとを記録した「EXODUS」など、
これまでの彼の作品は、人類の世界的規模の問題に目を向けながら、同時にその写真の持つ格調高さと美しさで、多くの人を魅了してきたと思います。
それは私も例外ではないのですが、一方で、その写真をみながら、いつもどこか心の片隅では、「世界には、そんなに暗くて深刻な問題ばかりなのだろうか」という気持ちもありました。
今度のプロジェクトGENESISは、これまでとスタンスが一転、地球の未来への希望を提示するものとなっているように思います。
講演の内容は以下のとおりです。
●富める国と貧しい国との格差、地球の資源の破壊など、問題は山積している。そんな今こそ、地球の素晴らしさを訴えていきたい。それが現在のプロジェクトたGENESISへと繋がった。そのためには、地球が生まれた頃の純粋な形で残っている場所を提示する。それは地球の地表面で46%ほど存在している。広大な砂漠、熱帯雨林(ペルー、コロンビア、ブラジルなど)、寒冷林(シベリア、北極)などである。
●このプロジェクトには、8年をかける予定である。プロジェクトは「自然の風景」「動物」「人類の初期のコミュニティ」「それより少し後の人類のコミュニティ」と、四つのチャプターに分けている。
●プロジェクト完成後には、写真を民主的な方法で多くの人に見てもらいたい。庭園など野外で写真を展示し、写真集は安価な形でつくりたい。
●写真を撮るとは自分の生き方を提示することである。写真を通して社会にはたらきかける。だから自分の人生の大きな部分を写真のために捧げている。自分は写真の力を信じている。なぜなら写真はユニバーサルなメディアである。翻訳もいらない。世界中に通じるものだ。
●なぜモノクロ写真を撮り続けるか。モノクロ写真は実際の現実を抽象化して、見る人に自分なりのカラーを創り出してもらう作用をする。個人個人にゆだねる部分をつくる。撮ったのは自分だが、それを見ている人の写真にもなる。そういう意味で、自分はこれからもモノクロ写真を撮り続けたい。