ss 『僕の生きる道』『僕の生きる道』青い青い空にキラキラな太陽がボクを優しく包む。 ボクは柔らかい土と草の上でうたた寝しながらちょっと前の事を思い出した。 ボクのお家はもうボクのお家じゃなくなっちゃったんだ。 ちょっと前には古くて大きなお家とボクよりうんと、うんと、でっかい白と黒の生き物が沢山いるでっかいお家があったの。 ボクの寝床はその白と黒の大きな生き物と一緒。 『牛』って言うんだって。 牛のおばちゃんがボクに暖かい藁を分けてくれた。 そしてボクにご飯をくれる生き物、ボクの頭を優しく撫でてくれる生き物。 おばちゃんは「あの人達は『人間』って言う生き物なのよ」って教えてくれた。 ボクはおばちゃん達もあの『人間』って言う人達も大好きだった。 おばちゃん達は人間にミルクをあげてご飯をもらってるんだって。 ボクはおばちゃんのミルクも大好きなの。 おばちゃんはニコニコしながら色々教えてくれた。 美味しいご飯をくれる人は『お母さん』頭を撫でてくれる人は『お父さん』って言うんだって。 ずっとね、ずっとみんなで一緒にいられると思ったの。 ある日ね『お父さん』が凄く寂しそうな悲しそうな顔をして「ごめんな?」ってボク達に言ったの。 おばちゃんは「仕方がないのよ。これが運命なんだわ、きっと・・・。」とやっぱり寂しそうに言ったの。 「どうしてそんなに悲しそうなの?」 ボクは聞いたけどおばちゃんは「あんただけでも連れて行ってもらえると良いんだけどね・・・。」 色々教えてくれるおばちゃん達だけどどうして寂しそうなのかは教えてくれなかった。 ボクは自分で考えたんだ。 でもやっぱり全然わからなかったの、でも暫くしたらおばちゃん達がどこかへ連れてかれちゃった。 最後まで残ったのはいつも藁をくれたおばちゃんだった。 「おばちゃんもどっか行っちゃうの?」 ボクは寂しかった。 「そうね。でも仕方なかったのよ。お父さんもお母さんも沢山頑張ったんだもの。でも頑張りすぎちゃったみたいね・・・。」 やっぱりおばちゃんの言ってる事はボクにはちょっと難しかった。 でもその意味がすぐに解った。 最後までいたおばちゃんもどこかに連れて行かれちゃった。 お父さんは泣きながら「ごめんな、ごめんな」って言ってた。 お母さんもずっと泣いてた。 そしてボクはお父さん達が泣くのはおばちゃん達がいないからだって思ったの。 だからおばちゃん達を探しに行ったんだ。 でもどこにもいなくて疲れてお家に帰ってきたら今度はお父さんもお母さんもいなくなっちゃったの。 お父さんがお仕事で使う『車』ってやつもお母さんがいつもお買い物に行くのに乗ってた『自転車』ってやつもどこにもなかったの。 夜になったら帰ってくるのかな? お腹空いたけど・・・・喉が乾いたけど・・・・ずっと待ってた。 でも帰ってこなかったの。 だからね、ボクは探しに行ったの、きっとお父さんもお母さんもおばちゃん達も「どっかで迷子になってるんだ」って思ったから。 ずっと歩いて歩いて匂いかいでウロウロウロ・・・・・。 だんだん匂いが薄くなってきて凄く不安になってきちゃった。 だからね、ボクまたお家に戻ってきたの。 きっとボクが探しに出た後に帰ってきたのかもしれないって思って。 もし帰ってきてなくても、僕はお家で良い子にお留守番してようと思って。 そしたらね。 おばちゃんとボクのお家が無くなってたの。 お父さんとお母さんのお家は有ったけど全然知らない人がいたの。 「貴方たちは誰ですか?そこはボクのお父さんのお家だよ」って言ったけどその人達は「シッシッ!!どっか行きなさい!」って言ったの。 ボクのお家なのに・・・。 ボクはここでみんなを待ってなきゃいけないのに・・・。 ボクの家族をどこにやったんですか? でもボクは諦めないの。きっとみんな帰ってくるから。僕がお家を守るんだよ。 おばちゃんが言ってたの。 「おばちゃんはミルクをお父さんにあげて代わりに美味しいご飯と暖かい寝床を貰ってるのよ。それがおばちゃんのお仕事なの。 だからね、貴方はお父さんとお母さんを、お家を守る替わりに美味しいご飯を貰うのよ?それが貴方のお仕事なの」って。 だからね、お家をボクが守るの。 ボクの寝床がなくなっちゃったのはきっとあの人達が意地悪したんだと思うんだ。 だからお父さんたちが帰ってきたら絶対あの人達を追い出すんだから! ボクはお家の近くの『畑』って所からいつもお家を見守ってるの。 お父さん達が帰ってきてもすぐ解るところに隠れてるの。 畑の隣にお家があるの、そこの人間がご飯をくれる。「可哀相にね~」って言いながら。 本当はお母さんの味じゃないから食べたくないの、でもお家を守らなきゃいけないから、食べないと死んじゃうから、畑のおばさんに「ありがとう」って言いながら食べるの。 おばさんは「お前のお父さんはもう帰ってこないよ?お仕事が上手くいかなかったから遠くへ引越ししたんだよ。だからねウチの子になるかい?」って頭を撫でようとしたけど、ボクはちょっと逃げたの。 だって頭を撫でるのはお父さんとお母さんだけで良いんだもの。 ほかの人のはいらないの。 ほかの人に頭を撫でてもらったら、お父さんたち帰ってこない気がするから。 だからボクは人にあまり近づかないの。 本当はとっても寂しくて、頭ナデナデして欲しいけど・・・。 ずっと長い事そこにいたの、おばさんが「お父さんは帰ってこない」って言ってた。 でもボクは信じられないの。 最近の日課はお母さんやお父さんに連れられてお散歩する友達に「ボクのお父さん見なかった?」って聞く事なの。 でもみんな知らないんだって。 ボクのお家だったところは綺麗に平になって沢山のお花が咲いてた。 『車』ってやつが何台か止まってた。 本当にもうお父さんたちは帰ってこないのかな・・・・・。 今日も良い天気だよ。 早く帰ってきて、僕寂しいよ。 ボクここでずっと待ってるからね。 ちゃんとお家守ってるからね。 良い子にしてるからね。 ずっとずっと待ってるから・・・。 あとがき ・・・・・色々痛いです(T△T)・・・・・ 実話を元に作ったショートストーリーですが、もう脚色しまくりですorz いまだにこのワンコは近所にいますが、全く人に懐かないのでつかまりません。 そう言えばこの前見かけた時やっぱりその辺をフラフラしてたんですが、身体にブラシをかけた跡が残ってました。 やっぱりどこかで可愛がられているのかもしれませんね~。 (でもそれならなお更放し飼いは駄目ですよ!!車の通りも少なくないんだから!!) ジャンル別一覧
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