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カテゴリ:日々是好日
最後に、土壌について。
「有機農産物の日本農林規格」では、現在は、次のように規定している。 ほ場は、周辺から肥料、土壌改良資材又は農薬が飛来しないように明確に区分され ていること。また、水田にあってはその用水に使用禁止資材の混入を防止するため に必要な措置が講じられていること(以上引用) 生産開始に際しては、有機農産物の最初の収穫前2年ないし3年間は、使用禁止資材が 使われていないことが条件である。 育苗については、更に厳密になり、次のような議論が展開される。 例えば野菜の(有機でない慣行栽培の)ハウスを有効利用するため、野菜を作付していない 段階で、稲の苗をそのハウスで育てるのはどうか。 要するに、慣行栽培から厳密に「隔離」しなければならないという点から見て、どうか? 「周りから使用禁止資材が飛来及び流入しないような管理がきちんとされるのか、 どうかというところになるかと思います。そういう観点からものをみた場合、ビ ニールシートで覆うという措置で、土壌からの使用禁止資材の育苗しようとする ものに対する、飛来なり、流入を防ごうという措置を講じるということ。このビ ニールシートがどういうものかというのが一つ問題になるのかなあという気がし ます。すぐに破れてしまうようなものでありますと、そこから根が入って慣行ほ 場の使用禁止資材を吸収してしまう恐れがあるということと。それからもう一つ 細かい話ですが、前年、慣行ほ場のハウスの中で農薬を撒いているとすると、ビ ニールの表面に農薬あるいは使用禁止資材が付着している可能性があって、それ が当然、ビニールハウスですと結露して滴が落ちますので、それが育苗しようと する苗にかかってしまうということもあるかなと。そういうものもきちんと防い でいますということでこの2点をクリアーされていないと慣行ほ場を有機の育苗 施設として流用するというのは少し危険かなあと思っているところです」 (「有機農産物の日本農林規格の見直しについて(案)」から引用) さて、議論の引用は以上で切り上げて、まとめに入ろう。 ★農林規格の、基本を貫く考え方は、隔離空間を作ろうということだ。 何故、隔離空間が必要なのか。 使用禁止資材の混入・流入を防ぐためだ。 どういう立場から見ての、使用禁止資材か。 人の健康・安全にとって「危険」だから、使用禁止資材なのか。 まさか、そうは云えまい。 とすれば、結局、 ★「有機農産物」の定義から出発した使用禁止資材でしかない。 ★有機のための有機とは、そういうことだ。 たとえ民間団体であれ、認証団体を設け、有機野菜の認定を「制度化」すれば、役所の介 入を招き、本末転倒の小難しい形式論議がはびこり、更に使用禁止資材や有機の認定をめ ぐって利権がはびこり、清浄野菜をめぐる不浄な争いへと発展しないことを祈る他ない。 ★「とびらさん」のコメント(1/24、JAS有機の基準・参照)に応じて、「農林物資規格調査 会部会議事概要」を検討してきたけれど、「そもそも organic とは、何なのか?」という 点では振り出しに戻った格好だ。 もう一つ、この議事概要の中味と「統合知」との関係は如何という点では、人糞尿の取 り扱いひとつ見ても、僕には「隔離」という後ろ向きの考え方に拘泥しているようにしか 見えません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005/02/01 07:02:25 PM
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