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2007年03月24日
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カテゴリ:外国映画 あ行
木を隠すなら森の中に。

この話の一番面白いところは、銀行強盗の犯人が事件後に逃亡せずに、自分たちと同じ服を着せた50人の人質の中にもぐりこんでしまったところでしょう。そのために、警察側が犯人を特定できずに、結局犯人を捕まえることが出来ずに捕まえた人質全員(犯人込み)を開放するしかなかった。銀行強盗ではない別のことが狙いのように見せかけて実はやっぱり銀行強盗が狙いだったようにもみえます。犯人たちはうまく目的のものとダイヤを盗み出す。

今までにない設定の面白さに思わずびっくりしたんだけれど、でもよく考えてみれば『ルパン三世』のアニメでも、ルパンは、たくさんのルパンの顔に変装した群集を用意して、その中にもぐりこむことで銭型警部の追跡を逃げ切っていた。このルパンとやってることは同じ。
もっと古いところでは分身の術を使う忍者漫画と同じ。必ずしも独創的とはいえないかも。それでも、銀行強盗にこのアイデアを使ったのは初めてなのですごく斬新なアイデアに見える。

なんだ、よく考えるとこんな設定は日本ではとっくに考えてあるんだから、日本の方がよっぽど独創的でオリジナリティがあるんじゃないか。そもそもオリジナリティなんて言葉や考え方自体西洋のもので、オリジナリティをもたないからこそ西洋はオリジナリティにこだわるのかもしれない。日本の方がよっぽどオリジナリティがあるのかもしれません。だって日本の漫画文化は日本独自のもので世界のどこにもほかにない。コミックはあっても小説や映画並みのストーリー展開をするような漫画なんてものは世界にはないもの。

日本人が無個性でみんな同じに見えるのは、西洋から見ると、アジア人はみんなちっちゃくて異人種だから見分けがつきにくいだけに過ぎない。見かけが貧相だから、個性もないように見えるだけだ。でも、オリジナリティは、見かけじゃないもの。

全員に同じ制服を着せ、同じ勉強をさせ、同じ行動を取らせる。個性をつぶす教育に見えるけれど、本物の個性は決してつぶそうとしてつぶせるものではなくて、みんなが同じだからこそ浮き立って見えてくるもの。みんなが青い服を着ている中で赤い服の人は目立つ。個性を尊重しようという教育はみんなが違う色の服を着ているようなもので、みんなが違う色の服を着ているのだから、誰か一人が目立つこともない。
個性尊重の教育は個性を育てるわけではなく、個性をつぶすのをやめただけ。好きな色の服を着てもいいよと。
そして、個性なんてものは育てられるものでもない。生まれたときから個人が持っているもの。
オリジナリティってそんなものかもしれない。

さて、本題に入ります。

強盗に入られた銀行の会長ケイスはその銀行の貸し金庫にある重要なものを隠していたので大慌てである。そこで、ジョディ・フォスターの登場となる。銀行の会長ケイスは第二次大戦下にナチスがらみで不法なことをして儲けた金で今の銀行を作ったらしい。その上、ストーリーの時間軸を交差させているためにますます話がわかりにくくなっているように見える。でも何のことはない。成功した銀行強盗の話だ。


よく見ていると、自分たちが最後に人質の中に隠れこむために途中でいろいろな仕込をしている。途中犯人の一人が人質のなかにもぐりこんだりとかしてるし。そのあたりを見抜くために二回ないしは三回見ないとわからなそうだ。何度も楽しめる面白い映画だ。

銀行強盗の物語である。しかもこの物語は最後まで犯人はつかまらず、銀行強盗は成功している。成功した銀行強盗の話は珍しい。
しかし、この物語は銀行強盗が成功しないと意味がなさそうだ。
なぜなら、金銭を盗むことが目的なのではなくて、不正な行為によって財産を築いたケイスへのあだ討ちの物語だからだ。

第二次大戦下にナチスに絡んで金儲けをした男がいた。その男というのが強盗の入った銀行の会長ケイスのようなのだ。彼は自分が助けることが出来たかもしれないユダヤ人銀行家を私利私欲のために見過ごした。その後彼はそのことを悔いて、善行を行い、罪を償おうとした。けれどそれはそんなことくらいでは許されないものらしい。

非常に複雑でわかりにくい上に、強盗のシーンと逮捕後の尋問のシーンが交互して流されるためにさらにわかりにくくなっている。私は二度見ました。二回目に見てみると、一度目に見落としたシーンが結構あることがわかった。劇場だと一度しか見られないので苦しいけれど、そのぶん集中もしているだろうな。

さて、ケイスはその時の書類を自分の銀行の貸し金庫にしまっていたらしい。「その貸金庫を開けてその書類を盗み出してほしい。」これが今回ユダヤ人から強盗のリーダーに「盗んでほしいと依頼されてもの」らしい。ただの銀行強盗の話ではないらしいことは大体中盤くらいでわかってくるけれど、じゃ話の黒幕がいるんじゃないのか。と想像してみるけれど、黒幕らしい人物は最後まで出てこない。しかし、最後に犯人たちが乗っている車に乗っている高齢の男。

実際の犯行は四人なのに、ラスト近くで車に乗っているのは五人。この五人目の男がたぶんユダヤ人で、ケイスによって財産を没収され死に追いやられたユダヤ人銀行家と何らかの関係のある人物なのだと思う。あるいは唯一生き残ったその本人なのかもしれない。

ただ、この映画、本当にいろんな人種が出てくる。白人に始まって、黒人、ポーランド人、アルメニア人、アルバニア人、シーク教徒、日系人、アジア人なんかが怒涛のようにでてくる。明らかに意図的だ。アメリカの映画を見ていてこれだけ多彩にいろいろな人種がでてくる映画は確かにめずらしい。だから、最後にユダヤ人がいかにもユダヤ人な格好をして出てきても違和感なしなのだ。

でもってこのいろんな民族の人たち。よく聞いてるとみんなアメリカ人なんだよ。日系アメリカ人、中国系アメリカ人。アルメニア人だって言ってる人もアメリカで生まれてアメリカで育ってアルメニア系アメリカ人だ。それから、アフリカ系アメリカ人ももちろんだし。よくよく考えれば、白人だってイギリス系アメリカ人だし、ヨーロッパ系アメリカ人なのだ。
つくづく人種差別や民族の違いなんてあほらしい。

ジョディ・フォスター演じる敏腕の女弁護士マデリーン・ホワイトが、かなり重要な役どころのようなのだが、ただ、漠然と見ているとたいしたこともしないで終わっているように見える。しかし、そんなたいした役でないなら、ジョディ・フォスターのはずはない。彼女はかなり重要な役どころであるはずだ。

銀行の隠し金庫から書類を盗むように依頼したのは、 最後にでてくるこのユダヤ人だ。ナチスのユダユ人迫害という人種差別への問題提議。が含まれる。しかも、作品中ものすごく多くの人種が出てくる。そうやって人種を差別している割には、アルバニアとアルメニア、アラブとシークの区別もつかない。そんなものなんだろうね。世界は白人中心に出来ているけれど、実際にはそれ以外の人種の方がずっとずっと多いのだ。

マデリーンは最初は事件の実情を知らないのだが、強盗のリーダーダルトンから話を聞いている。そのあと彼女はコネを使って市長に頼み込み、今回の事件の捜査を終らせたり、刑事フレイサーの疑惑の14万ドル横領の事件を帳消しにしたり、彼を出世させたりしてあげているのだと想像できる。そしてさらに、会長のケイスに脅しをかけて、正規の報酬以上の報酬を受け取っていたり、「今後もこんな表ざたに出来ないような事件がありましたら請け負いますよ」と言っている。これと同じような手で、市長も自分の仕事にうまく使えるように弱みをにぎっているのかもしれない。たぶん、マデリーンは、普通の弁護士の仕事ではなく、この手の公に出来ないような事件を請け負っている仕事人なのだろう。最初に出てくる時は白に近いスーツなのに、ケイスを脅す時は黒のパンツスーツなのだ。彼女が裏世界に通じていることをいかにも暗示しているではないか。この物語の主人公は実はマデリーンなのではないかとも思う。

この話で事件にかかわる二人の刑事が黒人だったのも、もし、白人であれば、ケイスに対してあんな断罪の仕方はしないからだ。指輪を手に入れて二人は果たしてこの後事件の真相をどこまで追えるのだろう。

この話は銀行強盗の爽快な成功物語であるとともに、人種差別や、人の弱みに付け込んで金儲けをしていく社会の上層部にいる人間たちを非難している物語でもあるわけで、まるでねずみ小僧のような女弁護士マデリーン・ホワイトシリーズなんて出来たら面白そうだね。


              

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最終更新日  2010年05月20日 08時26分08秒
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