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カテゴリ: ピアノ練習あれこれ
ここ数週間の日記のなかで、一体何度登場したことか、今更ながら「バッハの装飾符に戸惑う」苦悩の叫び。昨日の日記にも掲載したのだが、私は学生の頃、春秋社版にてバッハのインヴェンションとシンフォニアを学んできた。だから、ピアノを再開しても、結局同じ楽譜を使用してインヴェンションとシンフォニア全曲の復習をしてきたのである。
ご存じの方も多いと思うが、春秋社の井口版の場合、譜面の下部に難解な解釈と思える装飾符については、細かく奏法が指示されていた。だから、他の解釈版のようにその都度別ページの解説を読まなくとも、はたまた、原典版で1から装飾符について考えなくとも、その奏法に従って弾いてあれば、装飾符なんて怖くない!といった状態であった。 私はそれで良いと思っていた。 しかし、時が経ち、改めてバッハに関する文献などを読んだり、各所で情報を入手していると、やはり原典版はきちんと見たうえで校訂版を使用する方が良い、しかも春秋社版の解釈は既に古い、という意見が多いことに気付いてしまった。 更に、私は校訂版に書かれた装飾符の奏法を頼りにするあまり、「自分で考えて弾く」という重要な行為を放棄してしまっていたともいえる。これはまずい、まずいぞ、ということで、昨年末からとりかかっている「フランス組曲」においては、できるだけ自分で装飾符に取り組んでいこうと奮起している。 ところで、春秋社版のバッハ楽譜においては掲載されていなかったがため、長らく知らなかった基本事項があった。それが、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」に掲載された装飾音一覧表である。この装飾音表は、全音の市田儀一郎版のバッハ楽譜やウィーン原典版のバッハ楽譜にも掲載されている、まさしくバッハを弾くための基本内容だったりする。 今一度、頭を整理するために、自分の手で書いてみることにした。そして、いちいち「えっと、なんだっけ」なんていうことがないように頭に叩き込もう、複合形などの応用もきくようにしよう、と心に誓ったわけだが・・・ トリルやモルデント、上・下各音開始音付きトリルなどは、インヴェンションやシンフォニアで何度も出てきた他、既に他の楽曲を弾くうえで勿論把握はしていたのだが、私は「フランス組曲」を弾くにあたり、初めて「前打音を弧線のようなもので表現する」(上記表の4段目)ことを知るところとなった。いやはや、これまでバッハを長々と弾いていたつもりになっていたのに、まだまだ「バッハ」の「バ」の字も学んでいなかったことになるではないか。 ただ、この括弧(フックというらしい)における前打音、春秋社版のフランス組曲には登場しない。少なくとも私が現在練習している第1番においては全舞曲、フック表示は全て未掲載である。ところが、全音の市田版(つまりベーレンライター版)、そしてウィーン原典版、ヘンレ版においては、譜面の各所にちょこちょことフック表示が登場し、これがなかなか弾きづらさをアップさせているのだ。 あぁ、これも慣れるしかないのだろうか。頼みの綱である全音の市田版のフランス組曲楽譜においては、珍しく各楽曲の解説ページが少ない。つまり、解説なんて読まなくともある程度弾けて当たり前・・・ということか。 でもフランス組曲は、装飾符の問題だけ除けばそこそこ弾きやすい。しかも音楽的にもとっても魅力的。ただ、いまひとつ、どの声を浮きだたせて弾けば良いものやら、ちょっとお悩み気味でもある。どなたかが、確かバッハの独習は難しい、といった意味が、今、ようやく分かったような気がする。 まぁもうちょっとあがいてみることにしよう。弾くこと自体はとても楽しいから。 バッハのお悩み解決のような解説本やWebサイトって無いものだろうか。あれこれ探しているものの、なかなか見つからない。ショパンなどを熱く語るサイトは多数あるのに、バッハはどうして少ないのかしら。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ この日は家族がちょっと体調を崩して会社をお休みした。私も、少々腹痛気味で寝たり起きたりの1日だったが、それでもなんとかピアノには向かい、結局力尽きたような状態になってしまった。それでも、冬にしては陽気が良かったのか、指の調子だけはすこぶる良い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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