4.語彙を豊富にすること(1)

4.語彙(ごい)を豊富にすること(1)


 語彙(ボキャブラリー)は,考える学習の4本柱の中で最も重要なものです。そのため,他の項目よりも多くのページを割(さ)きますので,頑張って読んでくださいね。

 語彙を豊かにするということは,意味が分かって,会話や文章の中で使える言葉を増やすということです。そうすることで,自分が書く文章に広がりが生まれるとともに,書かれている文章を読む(読み取る)ということがスムーズに行えるようになります。ただし,そこまで到達するには,いくつかの段階を経なければなりません。


・Step1…言葉に敏感になる。

 日常生活では,あらゆる場面で言葉が飛び交っています。会話,テレビ,活字など…。これらを何となくやり過ごしてきた人は,今日から少し意識してみましょう。その中に,難しいなと感じた言葉,すなわち,「意味の分からない言葉はないか?」ということを。漢字として読めないものも同様です。これらに対して,敏感に反応して下さい。常に言葉に対するアンテナを張りめぐらせておくとでも言うんでしょうか…。人の話をよく聞く,文章をよく読むという姿勢が大切になってきます。

 素材は,いたるところにあります。マンガのセリフにさえ,難しい言葉が使われています。
含蓄のあるお言葉~っ!」
「あの攻撃は両刃の剣だ」
罵詈雑言を浴びせる」
上の3行の太字の部分,読めますか? 意味が分かりますか?

 意味が分からない言葉に出会ったら,まず,文章の流れから,「こんな意味なのではないか?」と推理・イメージしてみて下さい。その後で,人に聞くなり辞書で調べるなりしてみましょう。ただし,用語の意味のところでも述べたように,辞書的な説明は,その言葉の漢字がもつオリジナルの意味から,かけ離れたものがしばしば見られます。ですから,その前に,漢字の意味から推理するのです。

 前の3つの例のうち,「『含蓄』のある言葉」とは「『意味が深く,味わいのある』言葉」(辞書的な意味)。「含蓄」を「含む」と「蓄える」に分けると,「言葉の中に,他の意味を含み,蓄えている」(漢字からイメージした意味)になります。

 このように,まずは,その言葉が持つ,一般的に用いられる意味を,1つ1つ身に付けていきましょう。


・Step2…言葉を活用する

 今まで意味が分からなかった言葉が,自分なりに消化・吸収できたら,今度は身につけた言葉を「武器」として使ってみましょう。ふだんの会話の中で,自分が書く文章の中で。表現は悪いのですが,「カッコつけてみる」のです。
 例えば,「熟知する」という言葉を新たな武器として使うとき,今までなら「彼の性格をよく知っている」と言って(書いて)いたところを,
「彼のクセを熟知している」とした方が,より引き締まった,大人っぽい表現になります。


4の(2)へ続く


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