5.古文だよ~ん(1)

古文(1)

 古文は美しい。それは、絵画や彫刻、音楽が美しいのと同じである。
美術品は目で味わう。音楽は耳で味わう。では、古文は?

 目(黙読)と耳(音読)と心(鑑賞)で味わうんだ。

中高生の多くは、古文の美しさを味わう余裕がない。単なる受験の一手段として古文に接する限り、永久にその美しさを知ることはないだろう。ロクに読みもしないで、意味だけを理解しようとしてもムシがよすぎる。じゃあ、どうすればよいか?

 結論を先に。
 古文の基本は音読じゃ!! 声に出して読めないのに、内容が理解できるわけねーだろ!!

 別に、怒っているわけじゃありません。あまりにも「音読」がおろそかにされているので・・・。スラスラと音読ができるようになるまで、1つの文章をとことん読むんだ。意味? そんなもの考えなくていいよ。
下に、サンプルを示しておこう。何度も繰り返して音読してみよう。


 
 雪のいと高うはあらで、うすらかに降りたるなどは、いとこそをかしけれ。

 また、雪のいと高う降り積もりたる夕ぐれより、端近う、同じ心なる人、二、三人ばかり、火桶(ひをけ)を中にす

ゑて物語などするほどに、暗うなりぬれど、こなたには火もともさぬに、おほかたの雪の光、いと白う見えたる

に、火ばしして灰をかきすさみて、あはれなるもをかしきも、言ひあはせたるこそをかしけれ。


(注) 端近う=縁側の近くで  火ばし=炭火をはさむはし  かきすさみて=かき回しながら

 ここで問題になるのは、仮名遣いだ。個人的な意見としては、「かなづかいなど気にしなくてよろしい!!」。・・・ひらがな、そのまま読めばいいじゃん。ただし、仮名遣いの問題は必ずと言っていいほど入試には出されるので、一応、上の文中の歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直しておきます。

をかし→おかし  ひをけ→ひおけ  すゑて→すえて  おほかた→おおかた あはれ→あわれ
言ひあはせたる→いいあわせたる


それから、音読、自身がない人のために、ぜ~んぶひらがなにしときます。
(すべて現代仮名遣い)

 ゆきの いとたこうはあらで、うすらかにふりたりけるなどは、いとこそおかしけれ。

 また、ゆきの いとたこうふりつもりたるゆうぐれより、はしちこう、おなじこころなるひと、に、さんにんばかり、

ひおけをなかにすえて ものがたりなどするほどに、くろうなりぬれど、こなたにはひもともさぬに、おおかたの

ゆきのひかり、いとしろうみえたるに、ひばしして はいをかきすさみて、あわれなるも おかしきも、いいあわせ

たるこそおかしけれ。

歴史的仮名遣いを完璧にマスターしたい人は、

中学古典講座
http://www.geocities.co.jp/NeverLand-Mirai/3032/koten/koten01.html

へ行ってみてください。ググって見つけました。


 とにかく、意味など一切考えずに、何回も音読する。すると、ある奇妙な現象が起こる。内容はよく分からないのに、頭の中に景色が浮かんでくるんだ。上の文の情景がね。
 そうなるまで、何回も読み直すこと。でないと(2)へ行っちゃダメよ。


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