7.素因数分解の利用(1)

【前説】

ある数の2乗(平方),すなわち,1,4,9,16,25,36,…には大きな特徴がある。
それは,1以外,素数の偶数乗(の積)であるということ。

例えば,324(182)を素因数分解すると,324=22×34
となり,素数(2,3)の偶数乗(2乗,4乗)の積になる。

「自然数△に(を),できるだけ小さい自然数□をかけて(で割って),別の自然数の2乗(平方)になるようにしたい…」
というタイプの問題では,この考え方を使う。


              2000
【例題】nは正の数で―――が整数の平方になるとき,
               n
 (1)整数nのうちで最も小さいもの

 (2)整数nをすべてかけあわせると何桁の整数になるか

 を求めなさい。

      2000
【考え方】――=2000÷nとし,2000を自然数nで割り,それが別の自然数
       n
の平方になると考える。


【解】
 (1)2000を素因数分解すると,2000=24×53
                       =2×2×2×2×5×5×5
   2が4個と,5が3個掛け合わされている。素数の偶数乗の積にするには,5が1個余計だ。
   ここから,5を1個取ってしまえば(5で割ってしまえば),何かの平方24×52=(22×5)2になる。
   これによって,手持ちの2と5を最大限生かせるので,5がnを満たす最小の数となる。
   
(答え)5



 (2)問題の条件を満たすnは5の他にもいくつかあるので,それらをすべて見つけて,掛ける。
    見つけ方…2が4個,5が3個あるので,その中から,
     ア.単独の,素数の偶数乗(22など)
     イ.アの積
     ウ.1
   と場合分けをする。それらを引き抜いた後,残ったものが,割る数nになる。

   例 24×53(2が4個,5が3個)から,
     22(2を2個)引き抜くと,
     22×53(2が2個,5が3個)残る。

   24×53を使って,素数の偶数乗の積をもれなく作ってみると,(「1」をお忘れなく!)

    素数の偶数乗(の積)         残ったもの(割る数n)

    ア.22(2が2個)         ・・・22×53(2が2個,5が3個)
      24(2が4個)         ・・・53(5が3個)
      52(5が2個)         ・・・24×5(2が4個,5が1個)

    イ.22×52(2が2個と5が2個)・・・22×5(2が2個と5が1個)
      22×52(2が4個と5が2個)・・・5(5が1個)

    ウ.1               ・・・24×53(2が4個と5が3個)


となるので,・・・の右に並んだ,nをすべて掛け合わせる。
ただし,このまま全部掛けたのでは「芸がない」。2と5を上手に組み合わせて,10をたっくさん作ってみよう。


 (22×53)×(53)×(24×5)×(22×5)×5×(24×53) ←a

=212×512 となる。

2×5で「10」が作れ,それが12個できるから,
 212×512=(2×5)12=1012 ←b

aの式からbの式への変形がよく分からん人は,面倒でも,指数をすべて掛け算に直し,2や5を掛け合わせた個数を数える。
 
1012とは,10に0(ゼロ)を11個くっつけたもの
(10は,10に0をa-1個つけたもの。例えば,
103=1000は,10に0を2個つける)
10に0(ゼロ)を11個くっつけると,13桁の数になる。

(答え)13桁


To:沙羽
監修:Mr.Hot Cake


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