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カテゴリ:ゲームブック
アロウェン姫を救い出せ!! この単純な目的のゲーム作品ではあるのですが...本書は物語性が希薄です。 例えばアロウェン姫を救い出したらニセモノだったとか、宿に泊まったら夕べはお楽しみでしたねとか、そういうシーンは全くありません。 まぁ、姫を救い出した際には紳士的な対応を見せたりして数少ない台詞を話したりする主人公さんでありますが、全般的には台詞は殆どありません。 もっと言えば、女性を救い出す作品ですが萌え要素はあまりありません(笑)。 姫は単に浚われた貴族の花嫁に過ぎません。感謝されたりはしますが、貴方の女性には鳴ったりしません(笑)。 エピローグでは貴族連中にいいように次の任務を言いつけられるという...まぁ何となく情けなくなってくるエピソードが待っているのです。まぁ、普通はそんなところだよなぁ。 前回書いたことですが、マップ単位のゲームになっている本作、物語としては盛り上がりには欠ける傾向があります。淡々とどんな構造のどんな場所かとあり、戦闘になったら呪文を使うか殴りつけるか決める程度です。印象的な登場人物自体殆どいませんし、選択肢的にも変わったものはありません。 ですが、ソロアドベンチャー要素としてみるならば目的達成のために努力し続ける人物の行動としてならば...アリなのではないでしょうか。広い野山からダンジョンを捜しつつ、そして姫を探索するというゲーム展開は、淡々としているものの...まぁ、リアルに考えれば現実的な要素を持っているのかもしれません。 主人公は、その目的の為には必要最小限の冒険行動しかしない、と捉えるならば無駄が無いわけです。遊びがもう少し欲しいとかの意見は兎も角本書を遊びなれたりしても、能力値を下げて挑んでみたり、全てのマップを記入しようと頑張ってみるのも楽しいですね。クリアする為のマップルートは1つではありませんし。 本書を読むと、同じ傾向の作品であるブラッドソードとの違いが興味深いように思われます。あちらはロールプレイングゲームを名乗っている作品で、厳密に言うとゲームブックだけの作品では有りません。 魔王の地下要塞はソロアド風味のゲームブックです。 微妙に立場の違う似た傾向の作品ですが、魔王の地下要塞は全く物語りに抑揚が無く、主人公というのもが完全に無色透明になっています。ブラッドソードの主人公も無色透明風味ではあるのですが、幾つかの選択肢で物凄く個性的なキャラクターぶりを見せてくれる事があります。しかもブラッドソードの方は物語的にも各巻で大きく盛り上がります。 同じロールプレイング嗜好の作品ではあるのですが、その内容は随分と異なるものなのです。むしろ、本書のようにロールプレイング嗜好な割にマッピングを最重視している作品の方が少ないかもとは思いますが、色々なアプローチ方法があるということでしょう。 本書は本書でゲームとして成立していて中々楽しいです。主人公のイメージを自由に決められるという点ではブラッドソードよりも優れていると思います(ブラッドソードの主人公は全員無頼漢ですw)。 本書はマッピングが楽しく、冒険に必要な行動としてみれば無駄の無い選択肢で構成された作品です。主人公の置かれた立場は微妙にリアルな感じもします。立身出世の為に姫を救い出し、見事悪漢を斃す事ができるでしょうか。ちなみに見事斃した場合でも、次のファイアーロードの砦に物語は続きます。この時、主人公は完全に貴族達のいいように操られ、道を流されてしまうのですが(笑)それも冒険者らしい一幕といえるかもしれませんね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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