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カテゴリ:洋画
本日、熱発中にて、
「仲野マリの気ままにシネマナビ」に掲載した文を転載します。 「オーケストラ!」は、東京・渋谷のbunkamuraル・シネマで 3ヵ月のロングランを記録したヒット作品です。 音楽も良心も、忘れてはいなかった 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ 配給:ギャガGAGA ストーリー● ボリショイオーケストラで天才指揮者と謳われたアンドレイは、 ソ連共産党時代にユダヤ人楽団員の一斉解雇に異議を唱えて立場を追われ、 以来30年、劇場清掃員として不遇の日々を送っていた。 ある日、パリ・シャトレ劇場からボリショイへの出演依頼FAXを 支配人より先に目にした彼は、 当時解雇された仲間を引き連れてボリショイになりすまし、 パリに行くことを思いつく。 シャトレ劇場とのニセ交渉で、 彼は共演ソリストにパリ在住のアンヌ・マリー=ジャケを指名。 彼女でなければならない理由が、アンドレイにはあった。 (4月GW、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー) 基本、コメディである。非現実的である。 そもそも音楽家に練習は不可欠で、 楽団を追われ、底辺の仕事しか与えられず貧窮した生活を30年も送ってきた人が、 かつての音色をすぐに出せるはずがない。 しかし「お前はこれまでに、いったい何百回、何千回、 頭の中でチャイコフスキーを演奏した?」というセリフに象徴されるように、 彼らは決して音楽を忘れていなかった。 そこを丁寧に描いているから、多少のご都合主義は、かえって痛快に思える。 それがこの映画の幸せなところだ。 根底に流れるのは、 生きるために無理やり封印してしまった過去を、取り戻す勇気である。 終盤に流れるチャイコフスキーのバイオリン協奏曲演奏は圧巻。 登場人物のみならず、観客の心まで浄化してくれる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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