まことに不勉強で恥ずかしいのだが、毎日新聞11月17日の記事で、火山について研究している方の研究成果よって、長門本の成立が1235年をあまり下らない時期とする発表があったらしい。となるとそれに先行する原『平家物語』は当然それ以前ということになる。
……というような問い合わせを受けた。某地方新聞社の文化部の方からであった。多分、私の研究室の隣人さんは席を外していたのだろう。見つけていたらそっちに回したのに。
『平家物語』としては長門本独自本文になる性空上人の霧島山噴火に関する記事(平安時代のエピソード)が、実際に霧島山の噴火を目にした者でなければ書けないリアルさだそうで、それに該当する噴火は1235年の出来事だという。
こういう他分野の研究成果が文芸の研究に活かされるのはとても興味深いし、これまでにも日本文学の研究領域はそうした成果の恩恵を受けている。ただし、『平家物語』、狭めて言えば長門本と称される伝本群の元締め的改作者が、長門本すべての独自本文について、完全に本人の創作とするのは無理というもので、たとえ霧島山の噴火が1235年と確定したとしても、長門本がそれに近い時期に成立したと結論づけるのは無茶というものだ。
この話題は後日改めてここで紹介したいと思うが、何がショックって「あのぉ、私の専門は日記文芸なのですが……」「えっ、そうなんですか?」という短い会話が(絶句)。