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わたし大学病院を相手に医療裁判しました。

◆東京女子医大

2005年12月1日

【毎日新聞】
東京女子医大 医療事故で元助手に無罪 東京地裁


東京女子医大病院(東京都新宿区)で01年、群馬県高崎市の小学6年生、平柳明香さん(当時12歳)が心臓手術の際に死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた同病院元助手、佐藤一樹被告(42)に対し、東京地裁(岡田雄一裁判長)は30日、無罪(求刑・禁固1年6月)を言い渡した。

この事故では、隠ぺいのため記録を改ざんしたとして証拠隠滅罪に問われた手術チームリーダーの元講師(49)に、岡田裁判長が言い渡した懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定しており、2人に対する判決が分かれる結果となった。

判決はまず、手術に使用された人工心肺装置の構造に欠陥があると指摘。
装置のガスフィルターに水滴などが付いて詰まったために脱血不能(体外に血を出せない)状態となり、重度の脳障害を負ったことが死因と認定した。

そのうえで、装置を操作した佐藤被告について「装置は長年事故もなく使われ、危険な構造に気付かなかったことを責めるのは酷。
脱血不能の発生を予見できたと認定することは困難」と過失責任を否定した。
また、検察側が起訴事実で指摘した、被告の操作による血液吸引ポンプの回転数上昇と死亡との因果関係は認めなかった。

佐藤被告は01年3月2日、平柳さんの手術の際、装置の血液吸引ポンプの回転数を通常1分間40回転とするところを100回転以上に上げ、血液が循環しなくなって脱血不能状態で重度の脳障害を負わせ、同5日に死亡させたとして起訴された。【佐藤敬一】

▽東間紘・東京女子医大病院長の話
 事故に対してはご遺族に改めておわび申し上げます。
さらに努力を傾け、安心して診療を受けられる体制づくりにまい進する。

▽伊藤鉄男・東京地検次席検事の話
 誠に遺憾。
判決内容を精査し、控訴するかどうか検討する。

◇「頭の中真っ白」唇をかむ両親
判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した平柳明香さんの父利明さん(55)は「無罪と言われ、頭の中が真っ白になった」と語った。
利明さんは約1時間20分にわたった判決言い渡しの間、傍聴席でじっと腕組みをしたまま。
「医療では常に予見できないことが起こり、きちんと対応するのが医師の責任。
それが全く考慮されていない」と唇をかみしめた。

母むつ美さん(45)も「手術前に『医療ミスがあっても死なないよね』と言われたのが忘れられない。
無罪になっても責任の大きさは変わらない」と涙ぐんだ。

◇佐藤一樹被告も判決後に会見。
「検察の主張は、全くの誤りだったことがはっきりした。
医師として一生忘れられない症例(手術)。
この経験を生かし、社会に何か発信をしていきたい」と語った。【江刺正嘉】

◇元助手無罪、検察側の立証にほころび=解説
東京女子医大病院の医療事故で、元助手の佐藤一樹被告に無罪判決が言い渡されたのは、検察側の立証にほころびがあったからだ。
判決は、佐藤被告によるポンプの回転数上昇が死亡の原因とする検察側主張を全面的に否定し、人工心肺装置そのものに欠陥があったと新たに認定。
被告に危険の予見可能性がなかったと結論付けた。
医療事故を巡る刑事責任追及の難しさを、改めて示したと言える。

昨年3月に有罪判決を言い渡された元講師は、起訴事実を全面的に認めた。
元講師は、佐藤被告に医療ミスがあったと思い記録を改ざんしたが、証拠隠滅罪は、実際に認定されなくても犯罪の疑いがある行為の証拠を隠した場合、罪を問うことができる。
改ざん行為自体に争いはなかったため、そもそも佐藤被告のミスが原因かどうか、元講師の裁判では認定されなかった。

一方、無罪を主張して全面対決となった佐藤被告の公判では、弁護側が検察側立証を否定する学会の報告書や論文など多数の証拠を提出。
京都大学大学院の村上光鵄教授(刑事裁判)は「裁判所は証拠によって判断するしかない。同じ裁判長であっても、公判に出されている証拠が違えばその判断は当然違ってくる」と指摘する。

無罪とはいえ、判決は「危険な装置を使用していた女子医大の責任が問題となる余地はある」とも言及。
裁判長は最後に「1人の命が失われた医療事故にかかわった医師として、今回の経験を忘れないでほしい」と付言し、医療従事者の「重い責任」を指摘した。【佐藤敬一】

(毎日新聞) - 12月1日


【朝日新聞】
人工心肺担当医に無罪 東京女子医大女児死亡事件


東京女子医科大病院(東京都新宿区)で群馬県高崎市の小学6年、平柳明香(あきか)さん(当時12)が心臓手術のミスで死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた元同病院医師、佐藤一樹被告(42)に対する判決公判が30日、東京地裁で開かれ、岡田雄一裁判長は無罪(求刑禁固1年6カ月)を言い渡した。
佐藤医師が操作していた人工心肺の機能低下が死亡につながったと認める一方、「人工心肺の回路が詰まってしまう事態は予見できなかった」として過失を否定した。

判決によると、問題の人工心肺は女子医大で経験を積んだ医師らにより開発され、それなりに有効な装置として長年使われてきたものだった。

ところが、明香さんの手術では、人工心肺に心臓と肺への血流をうまくためられない「脱血不良・不能」が生じ、血液の循環が回復するまでに時間がかかり、明香さんは脳障害に陥り、亡くなってしまった。

脱血不能に至った理由について、岡田裁判長は「人工心肺内の回路に取り付けられたフィルターが水滴で詰まり、血液を吸う力がなくなったと考えるのが合理的」と述べた。

判決の核心は、こうしたメカニズムを佐藤医師があらかじめ認識できたかどうか検討した部分だ。
岡田裁判長は「病院の他の関係者にも事態を想定した者はいなかった」ことを重視。
「当時の医療水準からみて、佐藤医師が予見できたとは言えない」と判断した。

さらに、問題の人工心肺自体に欠陥があったことにも言及。
「回路内にフィルターを取り付ける必要はなく、むしろ危険。
構造に欠陥があるというほかない」と断じた。
佐藤医師については「開発に携わったわけではなく、危険な構造だと気づかなかったとしても責めるのは酷な面がある」と述べた。

検察側は、佐藤医師が手術で用いた人工心肺の操作方法(陰圧法)では、長時間続けるとフィルターが詰まって吸引力がなくなり、血液を抜けなくなる
▽それを理解して使う注意義務があったのに、陰圧法を約2時間続けたうえ、ポンプの高速回転を続けた過失により、フィルターを詰まらせて脱血不良・不能を生じさせた
▽これにより、重度の脳障害を負わせて死亡させた――と主張していた。

佐藤医師側は「フィルターが詰まったことなどは脳障害の原因ではない。
患者の頭部を下げたまま約40分間手術を続けたことなどで脳障害が起きた」と主張。
責任は執刀医側にあるとして無罪を訴えていた。

【読売新聞】
東京女子医大の医療事故、元助手に無罪判決


東京女子医大病院(東京都新宿区)で2001年、心臓手術を受けた平柳明香さん(当時12歳)が死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた同病院元循環器小児外科助手・佐藤一樹被告(42)の判決が30日、東京地裁であった。

岡田雄一裁判長は「事故は人工心肺の不具合が原因だったが、佐藤被告には危険性を予見できなかった」と述べ、無罪(求刑・禁固1年6月)を言い渡した。

検察側は、01年3月に行われた明香さんの手術の際、人工心肺を操作していた佐藤被告が、吸引ポンプを高回転にしたため、うまく血液が抜きとれない「脱血不能」状態となり、頭部に血液が集中して脳障害を引き起こし、死亡させたとして起訴した。

これに対し判決はまず、「ポンプを高回転にしても、脱血不能にはならない」と述べ、検察側の主張を退けた。
その上で、「脱血不能となった直接の原因は、人工心肺の回路内のフィルターが水滴で詰まったため」と認定。こうした事態を「同僚の医師も含め、予見できなかった」として、佐藤被告の過失を否定した。

一方、「必要性が乏しいフィルターが取り付けられていた」とも述べ、人工心肺の構造に欠陥があったと認定。
「危険な装置を設置していた女子医大の責任は問題になる」と指摘した。

この事件では、カルテを改ざんした瀬尾和宏・同病院循環器小児外科元講師(医業停止中)が証拠隠滅罪に問われ、懲役1年、執行猶予3年の判決が確定している。

(2005年11月30日)
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