てんごくのおきゃくさま ≪その1≫
こちら と こちら でも ご覧いただけます。放射能をあびて天使になった子どもたちげんぱつのえほん(3)てんごくのおきゃくさま宇宙はてない社 発行 1983年8月えとぶん しみずゆりこ天国で 天使たちが 星けり遊びをしているとちょっと変った 天使たちが 大勢 昇ってきました。『 きみたち どこから 来たんだい?』『 なんだって そんなに大勢で昇ってきたのさ?』と、天使たちが聞きました。『 ぼくたちは日本から来たんだよ。 お母さんのお腹の中でとっても 気持ちよく暮らしていたんだ。 だけど、ある日、とつぜん 原発で 大きな事故が おこったんだ! げんぱつ‥‥原子力発電(所)のこと。ウランをもやして電気をおこすかわりに、大量の放射性毒物をつくりだします。100万KW級の原発が1年間、稼動すると、広島型原爆1000発分の死の灰と、長崎型原爆50発分のプルトニウムがつくりだされます。1983年7月末現在、日本の原発は24基、新型転換炉『ふげん』をいれると25基、1734.2万KWです。このほかに、建設中・建設準備中のものが20基、1895.7万KWもあります。■‥運転中 25基 ◎‥建設中 13基、建設準備中 7基 高速増殖炉『もんじゅ』をいれると建設中は14基になります。 原発からは たくさんの死の灰や 悪魔のプルトニウムなど放射能が あとから あとから 飛び出してきた。 放射能がお腹に 入ってくると、ぼくたちは 苦しくなって、とうとう死んで 天使になっちゃった。 死の灰‥ウラン235がもえると、もえた量だけ、かならずできる放射性毒物のこと。原子炉の事故のとき、まっ先にとびだしてくるのがヨー素131で、甲状腺にとりこまれ、ガンなどをおこします。そのほかに、骨にたまるストロンチウム90、筋肉組織を破壊するセシウム137などがあります。プルトニウム‥もえないウラン238が、中性子を吸収するとプルトニウムにかわります。人間がつくりだした自然界にはない悪魔の元素。100万分の1gでも肺ガンをひきおこすといわれるほど、きわめて毒性がつよく、量が半減するのに2万4000年、4分の1になるのに4万8000年もかかります。放射能の 毒に やられて、もうすぐ 赤ちゃんや 子どもたち、それから おとなたちも 大勢 天使になって 昇ってくると思うの 』 と新しく来た天使が 泣きながら言いました。 原発の事故は、世界各地でたくさん、おこっています。アメリカのスリーマイル島原発では、操業をはじめて2年目位から、家畜の死産などの異常がではじめていました。そして、1979年3月、ものすごい音をさせて、大量の蒸気をふきだしました。多くの人が金属製の味を感じ、のどや鼻が熱く、ヒリヒリしたり、水ぶくれができたり、下痢・おう吐などをおこしました。その後、とくに、風下地域で新生児の死亡率が異常にふえ、死産・流産も急増しました。 人口わずか100人の村で、2年間に6人がガンで死亡。人間だけでなく、樹木は葉をつけず、犬や猫・鳥もつぎつぎと死に、ハエもいなくなった‥などの報告があります。これら放射能をあびた人たちへの影響は、これから長い年月をへて、次第にあらわれることが予想されています。 『反原発新聞 京都版』 第48号 参考『 そんな危ないもの どうして つくったのさ!放射能が 飛び出してくるなんて まるで原爆と 同じじゃないか!!』天使たちは 驚いて言いました。 もえるウラン235を100%近く集めたものがウラン原子爆弾です。原発では、瞬間的に爆発しないように、ウラン235を3%位にして、少しずつもやします。原発のように、時間をかけてもやした方が、寿命の長い放射性毒物ができるということです。太平洋から、日本の原発、何基かにミサイル攻撃をすれば、日本は亡ぼせるといわれます。『 でもね、日本には そんな恐ろしい原発が 他にも たくさん あるんだよ。 原発のないところでも 恐ろしい放射能を積んだトラックが いっぱい走っているんだ。≪原発は つくらないで! 放射能は いやだ!!≫ と、一生懸命に 叫んでいるけれど、 もっと もっと つくる 計画だ。≪その2≫ へ つづきます。