「わたしが少女であったころ、
わたしたちは灰色の海に浮かぶ果実だった。」
久しぶりに、恩田陸の作品を読んだ。
「麦の海に沈む果実」(講談社)である。相変わらず、タイトルの付け方がうまい。
主人公の理瀬は二月最後の日に外界と遮断された全寮制の学校に転入してくる。その学園は、三月から1年が始まる
「三月の国」であった。そして
三月以外の転入生は学園に破滅をもたらすというのだ。この学園は現校長の父が設立したが、その際に大きな影響を受けたのが
「三月は深き紅の淵に」という本である。実際に恩田陸による同名の作品がり、その第4部「回天木馬」にどうも理瀬が登場するらしい。この本は私も読んだが、どうも肝心の第4部は、話が入り組んで分かりにくかったことしか記憶に残っていないのだが。
この学校の生徒は、3種類に分けられると言う。環境の整ったところで教育を受けさせたいという
「ゆりかご」。特殊な職業につきたくって入学した
「養成所」。家庭の事情で存在を望まれず入学させられた
「墓場」。しかし理瀬は自分がどうしてこの学校に入れられたのか分からない。それも二月最後の日にである。
そして、理瀬の周りで次々と人が死んでいく。どうもこの学校には大きな秘密があるようである。
最後には、理瀬の意外な秘密がすべてあきらかになる。恩田陸の作品は、なんとなくノスタルジーを感じさせるところがある。この作品も、いかにも恩田陸らしい作品である。
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Last updated
2008年06月01日 15時25分18秒