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カテゴリ:国内政治
通常国会開会に合わせて、永田町と宮内庁、官邸周辺に女性・女系天皇推進の小冊子がばら撒かれている。
これが男女平等論やら、開かれた皇室論というのなら、それこそ「どうということはない」代物なのだが、名だたる大学教授の筆になるものだけに、保守系議員の中でも動揺が広がっている。 冊子は「女帝・女系反対論に対する批判と私見 原則有識者会議報告に賛同し、政府案に要望す」と題されており、発行元は大阪の国民会館である。 その贈呈文の一節にこうある。 「永年、古事記・日本書紀などの古典を研究され、日本の歴史研究の第一人者として評価の高い皇學館大学名誉教授の田中卓博士が、皇室の歴史、伝統からみて現状においては、男帝・男系にこだわらず、女帝・女系の容認こそ皇統護持のため必要であると、具体的な実例を挙げて明快に論じておられます」と、社団法人国民会館館長たる武藤治太氏の弁。 執筆者は皇學館大学の学長を勤めたこともあり、神社界、歴史学会に一定の影響力を持つ田中卓氏だ。 いちいち内容についてはここでは述べないが、目次の中から気になるところを挙げておく。 二 皇室の祖神、天照大神は女神 四 側室制度の廃止を決断されたのは、昭和天皇 五 男子を生まない女性は、皇太子妃の資格なしというのか 七 初めに結論(女帝)ありきが何故悪い 八 女帝は歴史上存在し、大宝令でも認めている 九 有識者会議を素人呼ばわりするのは失礼ではないか 十 皇族の御意見をというのなら、第一に天皇陛下の御叡慮こそを 十五 神武天皇以降の後胤の男系は数え切れず、中には反逆者もいた 十六 国家の最高祭祀(神宮)の祭主にも男女あり 十八 古代・上代における女帝・皇后の御活躍 二十 後醍醐天皇の御精神を仰ぐ となっている。 一言で言ってしまえば、古代史・国史を知らない者が、知ったふりして「男系」だ「宮家復活」だというんじゃねえ、と啖呵をきって開き直り、改悪反対派を頑迷固陋の守旧派として糾弾する文書である。 こうした文書が撒かれることで、官邸、宮内官僚は小躍りして喜び、大前繁雄議員は膝を叩いて「得たり得たり」と叫び、関西の神社界・仏教界は困惑し、神社本庁は頭を抱え、保守系議員は動揺の色を隠さない。 従来の保守勢力が、この皇室典範問題で分断されて内ゲバ状態に入っているわけだが、かかる状態は、未だ国内で蠢動する反天皇勢力、中核・革マル・反帝・革労協・共産党を始め、その他外国勢力や国内のジェンフリ一派を利する、いわば利敵行為であり、一刻も早く終息させなければならない。彼らは「あと少し、もう少し」と息を潜めて天皇制の根幹である「万世一系」の伝統が、保守の内部分裂によって瓦解するのを、ひたすら待っている。 田中氏の言う、例えば「男子を生まなければ皇太子妃の資格はない」などとは、極一部の2チャンネラーらの発言であって、決して学者や国民運動レベルでの意見の主流ではない。ましてや国会議員でそのような発言をするものなどいない。 かかる「便所の落書き」程度の匿名の戯れ言を、あたかも日本会議やチャンネル桜、あるいは民間有識者グループが語っているかのごとくふれ回るのは、学者としての品性が問われることと指摘しておきたい。 それにしても、この田中卓氏を始め、所功京都産業大学教授など、平泉学派に繋がり、関西宗教界、関西言論界に影響力を持つ学者が、女帝容認を主張していることの背景は、一体何処にあるのだろうか。まことに解せないことなので、今後更に取材を続けたい。 同様に、革新勢力の牙城で土井たか子氏を破って国政に華々しく登場した大前繁雄議員についても不思議な行動を取っている。 彼は兵庫県議時代、関西を中心とした「地方議員百人の会」の会長として、教科書問題、拉致問題などに取り組み、兵教組によって換骨奪胎にされていた教育行政を立て直すことを公約として議席を得た苦労人であり、愛国者である。 当然関西の地方議員にも影響力を保持しているが、彼の発言にどんな背景があるのか。長く田中卓・所功両氏の薫陶を得たということもあるのだろうが、同氏が所属する近未来政治研究会の山崎拓会長、武部勤党幹事長との関係など注目される。 今は、大前議員が小泉総理・武部幹事長ラインによって、超党派の保守勢力に放たれた平沼赳夫つぶしの刺客でないことを願うばかりだ。 [追伸]産経新聞を購読されている方なら、超党派の日本会議国会議員懇談会などでの議員の発言の色分けについてはご存知と思う。ここであえて実名は挙げないが、自民党内での派閥上層部からの締め付けが強化されてきており、正論を述べている議員への皆様の激励の手紙、メール、ファックスをお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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