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カテゴリ:国内政治
小泉首相が、今国会中の典範改定にはこだわらないとトーンダウンしたことで、一番割りを食ったのがYKKの山崎拓議員と加藤紘一議員。
典範改正に前のめりになる小泉首相を応援することで恩を売り、ポスト小泉に楔を打ち込んで安倍官房長官の経歴に傷をつけ、あわよくば「次」を狙っていただけに、全く当てが外れて、この一両日は狼狽していることだろう。 皇室の問題を「政局」だの「政争の具」にしていたのは、慎重派・反対派の旗頭である平沼赳夫議員などではなく、むしろこうした輩のことを言う。 「有識者会議の結論を丸呑みでよいのか」「何故男系維持の方策があるのにそれを採用しないのか」という、至極まっとうな、むしろ素朴な疑問に対して、「有識者会議には真剣にご議論いただいた」だの「現段階でのベストの案」などというのは、政治家の本分を忘れた意見であって、議会制民主主義の死滅を意味する。まして当の首相自身が「有識者会議報告」の意味内容を全く理解していないのだから、問題点を理解させようとして慎重派の声が大きくなるのは当然だ。 朝日新聞は、三笠宮寛仁殿下に「黙れ」と噛み付く前に、何故官邸の暴走をいさめないのか。何故首相の無知無理解を問題としないのか。 朝日新聞が、衣の下に「天皇制解体」という鎧を隠しているということを、勘のいい国民はとっくに気づいているのに、朝日新聞ばかりは良識ぶっている。 今回の秋篠宮妃殿下のご懐妊についても、めでたいめでたいで浮かれていてはならない。「皇太子殿下へのご遠慮」とか、「娘が弟か妹を欲しがっている」というご発言ばかりがワイドショーでクローズアップされているが、秋篠宮ご夫妻自身が、過去一年間の有識者会議から今年に至るまでの議論に対して「このままでは」というお気持ちを身をもって示されたと、受け取りたい。 これからの議論は、「有識者会議」の結論を自民党の内閣部会に報告させて、その場ですったもんだの激論を繰り返して、報告書に基づく改正案提出の白紙撤回を目指すことになる。 内閣部会では、有識者会議の出自の問題点や、立論の妥当性について、徹底的に官邸を追求してもらいたい。 自民党の各部会は、部会長、部会長代理、副部会長の十名弱の議員が特定されているが、それ以外の衆参国会議員は全て(大臣、副大臣、政務官など政府の役職にある人を除く)出席して意見を言うことが出来る。地元議員への働きかけを強めよう。 この内閣部会で、男系維持の為に万策を尽くすということが結論付けられれば、有識者会議とは全く逆の皇室典範改定をなすことも可能だ。 ことは天皇制の根幹に関わる問題である。男系であるかどうかということは、三種の神器や大嘗祭などの宮中祭祀の問題と同じく天皇という制度と皇位に不可分のものである。 社民党や、共産党といった反天皇主義を内包する政党はともかく、保守の看板を掲げ、靖国神社の参拝を運動方針に載せる自民党が、党の総意としてまっとうな政策判断をすることを期待する。 [宮家復活への危惧についての考え方] 世間には、宮家復活について、「過去に先例がない」という古代学者がいる。また「宮家復活は国民の理解を得られない」とか、「国家財政が」という人もいる。 先ず考え方の出発点として、「二千年の伝統を破壊して、女系を認めるのか」、「占領下の強制力によって降下した宮家にお戻りいただくのか」を考えた場合、天皇制の根幹を変えてまで女系を認めるというのは、後者との比較にはならないほどの制度改変となるだろう。 整形手術で言えば、プチ整形の域を超え、性転換手術とか脳髄を移植するとか(出来るかはわからないが)の類いだ。 「国民の理解が得られない」というのも変な議論だ。少なくとも占領期の国民は、強圧下での臣籍降下と理解していたのだし、時が来ればお戻りいただくということも念頭にあった。 「理解を得られない」というのは、「理解を得る努力をしてこなかった」為政者の責任を転嫁するもので、旧皇族の方々に罪はない。主権回復期や、あるいは折々にそうした啓蒙の努力をしていれば事態は異なったかもしれない。いずれにしても、「これから理解を得る努力をする」という選択肢をとった上での判断だろう。 「財政云々」については、常に適正規模、例えば今回新たに5ないし10宮家を確保した上で、臣籍降下についても許容するようにしておき、しかしながら再び今回の事態のように皇族の数が少なくなれば、男系の旧皇族に限って復帰いただくということを原則とすべきではないか。 考えるべきは、むしろ男系皇族を増やすことを最優先にしながら、規模をコントロールするということにたつ方が、伝統に則りかつ将来にも備えるということになるのではないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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