日本大好き、好きです早稲田日記

　寒い。一昨日の東京は二十四度もあり、汗ばむ陽気だったというのに、今日の秩父宮はことのほか寒い。風が強い上に、特にメインスタンドは日陰のため体感温度はぐっと下がる。思わず、「この冬一番の寒さ」とコメントしたくなるほど手がかじかむ。

　早稲田対帝京の優勝をかけた大一番は、早稲田が立て続けに2本トライを先行し、これは例年とは違う展開を予想させる。しかし、早稲田は不用意なミスを連発。相手のキャッチミスでタッチラインを踏んだり、はたまたキックオフのボールがラインを割り、相手に不用意にボールを渡してリズムを作れない。結局、早稲田のミスから帝京にトライを2本献上、帝京が俄然息を吹き返した。

　帝京戦の展開は、例年二つのセオリーがある。一つは試合がけっこう荒れた展開になること。また、帝京は前半戦は健闘するが、後半になるとスタミナ切れで早稲田に突き放されるパターン。

　案の定、今年も荒れた。早稲田、帝京共にハイタックルの応酬で、ペナルティーにはならないものの、早稲田も相当数の危険なプレーを犯していた。


　写真は、ハイタックルが多いため、双方のキャプテンを呼んで桜岡レフェリーが注意しているところ。

　

　スーパースクラムハーフ矢富は、リズムを変えようとひたすら持って突破を試みる。



　とにかくこの選手は、従来の日本の小兵で捌きに徹するスクラムハーフとは桁が違う。とにかくキープしてよく走り、局面を打開する。ボールを持って走る距離は、この試合ではウイングの菅野選手以上だったかもしれない。





　この試合の帝京は、ラインアウトがゆるゆるで、立て続けにミスを犯していたのだが、相手のミスに早稲田は乗じることが出来ない。今年の課題は、そうしたしたたかさ、あざとさ、抜け目なさの問題というところか。


　前半終わってみれば、22対19という僅差。おそらく近年帝京がここまで肉薄したことはなかったはず。
　

　後半開始前、ロッカールームでのミーティングを終えた、コーチ、スタッフがスタンドに戻る。居残ったOBに、「相当フラストレーションが溜まってた」「駄目だ。全然声が出ていない」「視線が定まってないな」とロッカールームの厳しい様子が伝えられる。

　早稲田、このまま終わるのか。という嫌な予感が頭をよぎる。いかんいかん。筆者の予想では50対20だ。後半ゼロに押さえれば、20分過ぎには足が止まるのがいつもの帝京だ。と言い聞かせる。

　しかし、始まってみれば前半よりもタックルが良くなり、ディフェンスが強固になる。

　後半2分に菅野、12分に今村、15分に今村、少し置いて28分に矢富、34分に五郎丸が立て続けにトライを決める。前半コンバーションを3本外した五郎丸選手も、後半エンドが風上に変るとキックが安定、5連続でゴールを成功させる。

　ロスタイム、早稲田はスクラムトライを狙いにいくが、かなわず陣地を大きく押し戻され、曽我部がタッチを切ったところで試合終了。



　前半だけ見れば、帝京が健闘した競り合った試合、後半だけ見れば早稲田が圧倒的な力の差を見せ付けた試合という、なんともちぐはぐな展開だが、帝京が80分フルで戦えるチームなら早稲田を十分脅かすだろうし、あの重量級フォワードはかつての明治を思い出させる突進振りで、十分肝を冷やした。


　試合終了して安堵の表情の中竹監督。メインは相当冷えてきたので、ウィンドブレーカーを最後は羽織っていました。

　

　おまけは、なぜかにこやかな日比野先生。しっかりカメラ目線をくれました。



　もひとつおまけは、第一試合の北海道バーバリアンズ対タマリバクラブ。後半ロスタイム、21対24で3点ビハインドのタマリバ桑江選手がスペースを見つけて突破、逆転のトライを決めたところ。優勝がスルリと零れ落ちたバーバリアンの選手達、腰が抜けたようにへたり込んでしまいました。