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GOlaW(裏口)

読書メモ・TRPGリプレイ4


シェヘラザード・テイルズ2  ~イブリスの炎~
 監修・友野詳
 著:三田誠/グループSNE  ジャイブ


 
 アラビアン・ダーク・ファンタジーという名の通り、『千夜一夜物語』と古典的な『地獄観』が組み合わされた和製TRPG。
 連撃などのオリジナルな戦闘ルールも魅力的だ。


 サディスティックな描写に免疫が無い人は、絶対読むべからず!
 『獄』の描写は、生々しい地獄そのもの。そこを治める敵『邪霊(シャイターン)』も、他のファンタジーにはめったに無いほど禍々しい。

 その一方で、時に絶望に晒されつつも闘う主人公達一人一人がすごく魅力的です。
 前回以上に掘り下げられた過去や描写(演技)が、壮絶な世界にも関わらず、読者をぐいぐいひっぱります。
 このあたりGMとプレイヤーとの、馴れ合いではない信頼関係がしっかりと出来上がっているんですね。
 読み物としても最高です。ぜひ。

 付属のソロプレイも良くできているので、試しに遊んでみてはいかがでしょうか。



弓と笛と放浪者たち―ゲヘナ・リプレイ〈3〉アザゼル・テンプテーション
 監修・友野詳
 著:秋口ぎぐる/グループSNE  ジャイブ


 前作までの『ダークでシビアでシリアスで、強烈な異世界の匂い』はどこへ消えた(涙)。
 今回は『緊張感の無い放浪者による、組織トラブル・バスターズ』って感じになっています。

 前のパーティの『暗黒の中の、小さな正義の孤独』に惹かれた人間としてはちょっと寂しいですね。上級者レベルまでリプレイで見ていたかったです。
 でも今回の方が、一般にはとっつきやすいのは間違いありません。

 前回のようなグロ描写もなく、年齢制限掛かりそうなぐらいに外道の敵がいません。主人公達も緊張感がありません。
 そのおかげでのんびりさくさく読むことができます。
 アザゼルやタラヌシ、実在のイスラムの神話に出てくる名称なども物語の背景に深みを与えています。世界の変化を予期させる展開にもなっていて、続きが楽しみです。
 緩やかなリプレイが好きな人にはオススメかな。



罠と幻と放浪者たち―ゲヘナ・リプレイ〈4〉アザゼル・テンプテーション
 監修・友野詳
 著:秋口ぎぐる/グループSNE  ジャイブ


 警告。
 自分は潔癖だと思う方。『アブノーマル・エロ』に免疫が無い方は読むべからず(きっぱり)。

 いや…凄かった。
 邪霊に魅入られ、腐敗と廃退に突き進んだ人間ってこういうところまで突き進んじゃうものなんですね(汗)。
 第一話、第二話の敵の廃退ぶりは、絶句ものです。
 こんなリプレイを良く出版する気になりましたね、ジャイブさん。
(ジャイブは初代シリーズとか、『女神転生RPG』とか、結構危険な描写のあるリプレイ出しちゃうからすごい)

 第二話のテロ事件のスケールも凄いし、お気楽(無責任)パーティも更に無責任さに拍車がかかり(←悪い意味ではなく)。
 今回追加された幻鏡術の名前がまたかっこいいんですよね。世界観に密着した術なので、その意味でも魅力的です。

 次のゲヘナリプレイが楽しみです。



王女と獄と放浪者たち―ゲヘナ・リプレイ〈5〉アザゼル・テンプテーション
 監修・友野詳
 著:秋口ぎぐる/グループSNE  ジャイブ


 警告。
 前作以上の『アブノーマル・エロ』ネタが炸裂しております。ご注意を。
 また、人道的に問題がある作戦を主人公・敵・味方が取りますので、それもご注意ください。
 …ジャイブさん、今回も良くこれを出版しましたよね(遠い目)。

 そういった外道やアブノーマルを、“あくまでフィクションである”と割り切れる方にしか勧めることはできません。

 しかし、妙に生々しい“現実でのトラブル”に例えてみたり、『キャラの立たせ方』について話し合ったり、その辺りは面白かったですね。

>「F.E.A.R.さんみたいな格好いいセッションは難しいなぁ(遠い目)。」
>「そこ、また固有名詞を出さない!」
 この下りには笑いました。
 前シリーズのパルヴィーン達なら出来たでしょうが、この面子じゃ無理ですよね(苦笑)。

 ラストのボス戦はすごかったです。増援はあれど、ちゃんと自力でとんでもない敵を倒しているんですからすごいです。

 アザゼルのシリーズも終わり、いよいよ次は新シリーズ。
 どうなるか、楽しみです。



瓦礫の都市の煌(キラキラ)少女
―ゲヘナ・アナスタシス・リプレイ〈1〉

 監修・友野詳
 著:田中公侍/グループSNE  ジャイブ


 …まずはスタンダードなPCと展開に戻ったことに安堵(…前回がスチャラカすぎたとも言う)。

 やっぱり世界が地獄にあるからこそ、PCたちにまともな感性が無いと読んでいて引き立ちません。
 パルヴィーンほどの真っ直ぐさはありませんが、ラシーダの誠意と愛情はそれに代わりそうです。

 他のキャラクターたちもしっかりと立っており、物語にも積極的に絡む(そして絡めるような設定を用意するGMも)のも好感が持てます。

 物語そのものも面白いです。
 世界の秘密に迫りつつも、それを壊すことなく。ゲームの特色を積極的に取り入れて盛り上げています。
 公式のリプレイとしては最高の出来ではないでしょうか。

 ジェスの運命が気になります。ぜひぜひ、このPCたちで続けて欲しいです。




雨呼ぶ街と煌(キラキラ)少女
―ゲヘナ・アナスタシス・リプレイ〈2〉

 監修・友野詳
 著:田中公侍/グループSNE  ジャイブ

 第四話で少し影の薄かったラシーダがクローズアップされましたね。
 小説版の設定も落とし込まれ、より深く物語を楽しむことができるようになりました。
 パーティそのものが健全であること、そして戦略性の高さもすごくいい。
 背景では邪悪が闊歩しているからこそ、主人公達が輝いて見えます。

 今回は第五話・六話のケネスの男っぷりがいいんですよ。
 好きな女性をただ甘やかすのではなく、上手に叱咤激励し、その誇りを大切に守りながら奮い立たせる姿は素敵です。
 裏にシニカルな物言いも目立つようになりましたが、今回はそれが上手くキャラ立てに影響しているように感じます。

 今回は主人公達の活躍も凄いです。GMの思惑を掻い潜っていく第六話には舌を撒きます。
 すっごくかっこいいです。

 …『ゲヘナ』はやっぱりこうじゃないとね!



黒鏡の獄の煌(キラキラ)少女
―ゲヘナ・アナスタシス・リプレイ〈3〉

 監修・友野詳
 著:田中公侍/グループSNE  ジャイブ


 やっぱりゲヘナはこうなくっちゃ!

 どうしようもなく暗い世界、主人公たちの属する社会は利害でしか動けない。
 人を思うが故に悲劇が生まれ、純粋な思いはひたすら歪み続ける。
 命はもてあそばれる。

 そんなどうしようもない世界で、邪霊の力を持ちながらも、けっしてその声を聞かないラシーダ。
 そして彼女の想いと戦術で一つになるメンバー。

 彼女達がその裡に光を持つからこそ、この物語をより強く輝かせていました。

 アルの『契約』、メリナの『想い』、そしてケナンの『覚悟』と、プレイヤーたちもまた、見事に物語を盛り上げていました。
 一人一人が主人公、というのは間違いないでしょう。

 最後の敵もまた、何よりもゲヘナの世界を体現する相手。
 GMの用意した物語もまた、秀逸でした。

 最近のグループSNEリプレイの中でも、秀逸の一冊です。



血の妖石(いし)は宿命(さだめ)の道標
Replay:ゲヘナ~アナスタシス~
著:友野詳 グループSNE JIVE

 いよいよ、友野さんがGMを務めるリプレイが登場です。
 ゲヘナらしい暗さと、友野さんらしいスケールの大きさが相まって、すっごく面白いです。

 キャラクターの性格も、ダークながら奇をてらわない、スタンダード。
 それをちゃんと魅せていく手腕は、さすがプロです。
 一巻の序盤でほぼ完全にキャラを立ててしまうあたり、見事です。

 最近のSNEリプレイである悪癖(悪い意味での体育会系臭)もなく、読みやすく物語に浸れます。
 高レベル戦闘の醍醐味もあり、そのスケールに浸れます。



時の渦動(うず)は運命の扉
Replay:ゲヘナ~アナスタシス~
著:友野詳 グループSNE JIVE

 運命を捻じ曲げられ、4人は巡り合います。
 『渦巻』と『書庫』、その二つの印象的な部隊の中で、彼らは自分達の『本当の過去』と向き合い、探り始めるのです。

 過去というキーワードが、キャラクターを掘り下げるのにプラスに働いていますね。
 彼らの不安がちゃんと伝わってくるあたり、グループSNEの皆さんはうまいです。

 個人的に気に入ってるのは『書庫』。
 本好きとしてはやはりゾクリとする部分あり、グループSNEの先生方の自虐ネタあり、なかなか印象的でした。



銀糸の迷宮(みち)は運命の賭
Replay:ゲヘナ~アナスタシス~
著:友野詳 グループSNE JIVE

 運命の改変、それがいよいよ本人たちにも目に見える形で迫り始めます。
 タウリアの人生、イルクの両親の生死――それらさえ、揺らぎ始めるのです。

 PCであるフィールーとイルクにも更に重たい運命が科せられ、ガラームとシシの因縁にもより深い絆と傷が生まれていきます。
 情報は与えられ、次の巻では決断を迫られます!

 今回のキーワードは『賭け』と『女』。その闇の一面を、存分に楽しめます。



逆撃の獄は宿命(さだめ)の終局(おわり)
Replay:ゲヘナ~アナスタシス~
著:友野詳 グループSNE JIVE


 ゲヘナ式タイムパラドックス物語、いよいよ最終巻です!
 友野さんの『この舌が憎い』という意味が、良く分かる展開です。

 いい意味で、友野節が光っていました。……ヒロインがなかなか出てこないからかも(おひ)。
 友野さんの複雑なプロットやダークさ。PCが活き活き動くさま。最後に伏線が全て回収されて綺麗に収まったのも、高ポイントです。

 余談ながら、このリプレイで初期シリーズのタイトル『シェヘラザード』の意味を知りました。



イラストレーターセッション
常夏の島に刃が踊る

Replay:ゲヘナ~アナスタシス~
監修:友野詳 著:河野裕/グループSNE JIVE

 『フラグショートカット』集団が送る大冒険活劇です。
 いや、用意した仕掛けをことごとくぶっ飛ばして真相に近づかれてしまうGMの悲哀が非常に印象的(笑)。
 PC5人のキャラクターがゲヘナらしく全員が魅力的、その距離感もすごく心地よいです。やっぱりPL間に変な上下関係が無いからかな。(一時期、グループSNEのリプレイには悪い意味でPLの関係がリプレイにまで悪影響を及ぼしていました)
 舞台となるバハーミン島の設定も魅力的ですし、物語自身もすごく良かったな。
 良い意味で友野さんらしさが出ている良作です。お勧め。



ミラージュオーシャン・ログブック
Replay:ゲヘナ~アナスタシス~
監修:友野詳 著:河野裕/グループSNE JIVE

 ゲヘナには珍しい、陽光を感じさせるリプレイです。
 『シンドバッドの冒険』が代表する、アラビア海洋ファンタジーらしさが全開。
 邪霊の存在を感じさせないためにおどろおどろしさはありません。その分、不思議だけが先行していてすごく読みやすいです。

 キャラクターもゲヘナらしい歪みが無く、アラビアンファンタジーとしてとても読みやすいです。



ミラージュオーシャン・ログブック2
Replay:ゲヘナ~アナスタシス~
監修:友野詳 著:河野裕/グループSNE JIVE

 駆け足の展開になってしまいましたが、MOLG後半戦です。
 ……著者の入院さえなければ、シャーファの両親話などを盛り込んで、もう少し長く楽しめたのかな。
 それを残念に思うほど、明るいゲヘナもとても魅力的でした。

 父親のハバルはこれまでのゲヘナとはまた違う仇役でした。
 ……まぁ、あれだけ社会非適合者だったりしたら、悪人であろうとなかろうと殴っておかないと、ね(汗)。

 その父親の血を色濃く継ぐアーディルの葛藤も見どころの一つかもしれませんね。
 プレイヤーさん自身はすごく頭の切れる人のようなので(謎解きでの活躍ぶり参照)、その成長等もしっかり見応えがありました。
 ラスト、GM自身にすら分からない勝敗の行方も、どうぞ見届けてください!



アルシャードガイア リプレイ
 明日(みらい)へのプロファイル

矢野俊策/F.E.A.R ファミ通文庫 エンターブレイン

『ファンタジー世界』のRPGシステムをそのまま現代社会に移築し、
『虚無からの使者・奈落』と『奇跡の行使者・クエスター』
との戦いを取り上げたRPG


 『ヒロインは対象的な二人』ということで『プリキュア』を連想する辺り、自分の脳は腐ってる(自滅)。
 矢野さんだから捻ってくるかな、と思っていたんですけどね。今回は非常にスタンダードなお話です。

 やっぱり『錆色シャード』と『地球のホログラフ・シャード』の対比が最高ですね(笑)。
 女性二人も、同性から見て嫌味の無いキャラクターになっていたのが良かったです。

 飛びぬけていいとまでは思いませんでしたが、好感の持てる作品です。



アルシャードガイア リプレイ
神の贈り物

稲葉義明/F.E.A.R. ファミ通文庫 エンターブレイン

 前回の『明日へのプロファイル』とは違い、今回は高レベルキャラクターによるリプレイです。
 前回の“自覚すらないPCによる日常の裏側を覗くような物語”とは、まったく対照的です。

 高い能力を持つ者達から見た世界は、同じ世界観でありながら全く異なる様相を示します。
 クエスターを支えるはずの企業同士の思惑、複雑な世界の構造、クエスター同士のバトル…。
 社会や世界の裏側を覗き見ながら、シビアでトリッキーな展開が続きます。
(巻末には『高レベルセッションガイド』があります。やりたくなること必須です)


 けれど、主題は前回と同じく『クエスターの資格』。
 挫折と悟りを経て、一人の生意気だったクエスターが成長する物語でもあるんです。その経緯には、意表を突かれたりもしながら、手に汗を握ります。

 他のPC達もまた、魅力的かつドラマを秘めたキャラクターばかり。過去にはどんな物語を経験してきたのか、それもすごく気になっちゃうぐらい。ぐいぐいと飲みこまれちゃいます。

 『現代物×魔法』の組み合わせが大好きな自分にとっては、陰陽師が大活躍なのも嬉しいばかりです。

 とにかく、タイムパラドックスネタが好きな人なら、是非!



アルシャードガイア リプレイ
神薙ぐ御剣

菊池たけし/F.E.A.R. ファミ通文庫

 前二作とは打って変わり、ギャグいっぱいの作品です。
 主軸こそ痛々しくも王道の話ではありますが、それをギャグで一気に読ませちゃいます。

 『毒をもって毒を制す』が脳裏を過るような、そんな凄まじいプレイヤーばかりのリプレイとなっています。
 小暮さんと井上さんのやり取りは、一度読むと忘れらえないでしょう。
 そこに矢薙さんが加わることで、混沌へと突っ走ります。

 深く考えず、一気に読んじゃうのが正解でしょうね。

 …最後に、「茉莉、強く生きろよ」。



アルシャードガイア リプレイ
 希望(ゆめ)へのコンタクト

矢野俊策/F.E.A.R ファミ通文庫 エンターブレイン

 宮沢一家物語、第三章(をひっ)。

 女運の悪さと妙にせせこましい偉業とを併せ持つ竜一郎と、どこまでもまっすぐな茉莉。
 そこに自称良識人の変人兄貴・虎吾郎が加わって、物語はドタバタ感を一気に強めていきます。

 矢野さんのハードな戦闘バランスとギミックが加わって、疾走感と絆の温かさを併せ持つ、笑えて読後感爽やかな作品になっています。

 第一話の命がけでかけがえのない一夏のゆめ。
 第二話のダンジョン・アタック。
 どちらも楽しめること請け合いです。

 余談:虎吾郎のイメージが、私の中で阿部寛さんであることは秘密です。


アルシャードガイア リプレイ
君といるセカイ

著:藤井忍/F.E.A.R. ファミ通文庫

 熟練&濃ゆいプレイヤー陣VS.新鋭女性GM対決!
 いや、ほんとにGMを舐めてはいけない。ギャグや萌えが最初に目を引きますが、その裏には非常に練りこまれた仕掛けや設定が秘められています。

 高飛車三下の夷神、ナスシストおねぇの塞翁寺、二重ロックな岩戸、クエスター家のリョージと、非常に濃いPC達とそれを引き立てるヒロイン。
 彼らがシナリオに放り込まれることで起こる、すばらしい化学変化が見所。

 PvsP(プレイヤー同士の対決)の導入から始まる、ミライと6つのセカイを巡る物語をどうぞ見逃さないで!
 これはお勧めです!



アルシャードffリプレイ
時計仕掛けの破壊神

田中信二/F.E.A.R. エンターブレイン

 アルシャードffのキャンペーン・リプレイ。
 「かわいそうな田中」さんことかわたなさんがプレイヤーでなく、GMを勤めるリプレイは珍しいかもしれませんね。
 
 へたれな記憶喪失のエクス、普段はほんわかな可愛らしいツンデレのエリー、暴走マシンだけど渋くて決めるグラーフ、殺意の高いエージェントのサツキ。
 それぞれのキャラクターの魅力を引き出す演技力の高さ、内輪のぐだぐだっぷりも含めた実際のプレイ光景、ハードで意外性もある展開。
 いろいろ盛りだくさんで、読まれる人それぞれに自分の楽しみを見つけられるリプレイだと思います。
 自分としては「記憶」ネタと、それに伴うレゾンテールへの葛藤や、それを盛り上げるエピソードに大満足の一冊でした。



アルシャードffリプレイ
虹の彼方から


伊藤和幸・三輪清宗/F.E.A.R. エンターブレイン

 強烈な新登場キャラクターの個性が大爆発するリプレイが二本。うん、これはお勧めです。

『砂漠の異教神』
 サイバーで妖精のミハエル君をはじめ、魅力的なキャラクターがいっぱいのリプレイです。
 GMをはじめ、誰もストーリーがどうなるのか分からない中を、4人の個性が一気にひっぱります。


『虹の彼方から』
 ミハエル、そしてガイアの宮沢茉莉の二人を主人公に迎え、二人の邂逅を描いた作品です。
 トライデント・プロジェクトのプレストーリーとしても読みごたえがあるかもしれません。

 クロスオーバーとしての魅力もさることながら、初登場の二人のキャラクターの濃さが素晴らしいです。
 茉莉の日常が壊れていく悲鳴と、ミハエルのとことんシリアスな展開と、主役二人の青春物としてもあり。
 濃い脇役達のキャラクターに笑いつつ、感嘆するのもあり。
 過去と未来の作品をつなぐ、素敵な一冊です。ぜひ、過去の作品を読み終えてから読んでくださいね。


アルシャードリプレイ
悠久の地平

鈴吹太郎・中村知博/F.E.A.R. エンターブレイン


 旧版である『アルシャード』、その黎明期の単発リプレイを2本、そしてシナリオを1本復刻させたものです。
 2011年現在、『アルシャードff』『アルシャードガイア』で進められている企画、『アルシャード・トライデント』に登場する主要キャラクターである『グラーフ・ジュペー』と『グローリアス』の初登場や軌跡をたどる上で外せないリプレイが納められています。


『悠久の地平』
 『アルシャード』の始まりを告げた一番最初のリプレイです。
 スタンダードな『ボーイ・ミーツ・ガール』の物語に散りばめられたアルシャードという世界観。
 神が滅び、その後の『神話』を人が紡ぐ。その時空さえ超える壮大さを感じられるリプレイになっています。

 主軸のギミックも壮大ですが、プレイヤーたちが繰り広げるアドリブが更に物語とキャラクターを掘り下げていくのも見ものです。
 そのアドリブは、この後の世界の物語にも深く関わっていったんですね。それも今から読む人間には興味深いところです。


『腐食都市』
 『アルシャード』世界では外せない舞台の一つが『積層都市』。 
 世界を汚染する原因とも言える『リアクター』という動力源によって成り立つ超巨大な塔の形状をした街です。

 その一つ、アルファイ=ヤコブで研究される、人体実験済みクローンといえる『エイリアス』。
 『エイリアス』と『積層都市』、それを『帝国』の生みだした罪業を巡って、ほろ苦くも大人の物語が繰り広げられます。
 メカニックと魔法、剣術の融合したカッコよさをどうぞ楽しんでください。



アルシャードffリプレイ
オーディンの槍


菊池たけし/F.E.A.R. ファミ通文庫 エンターブレイン

 アルシャードを菊池さんテイストで遊ぶと……という短編です。
 純一さんの危険なロールや、田中天さんのぶっちぎりの暴走ロールなど、癖の強いメンバーとアルシャードの科学変化を楽しんでください。

『オーディンの槍』
 何故かラブコメで始まる大冒険は、プレイヤーの暴走でどんどん困難に!?
 恋の行く末と、暴走空賊の駄目ロールとを楽しんで。

『スルトの剣』
 アルシャード×ナイトウィザードのコラボ作品。
 相変わらずクレバーなのに不幸な柊に同情しつつ、ぶっ壊れたヴァルキリーに吹き出す作品。
 とはいえ、戦闘に仕込まれたギミックがカッコいいなと思います。


アルシャードクロスオーバー リプレイ
襲来! コスモマケドニア!!

田中天/F.E.A.R. ファミ通文庫

 アルシャード、ffとガイアのクロスオーバー企画、『アルシャードトライデント』。
 その第一弾はなんと田中天がGMを務めます。

 田中天独特の、台無し感たっぷりの有名キャラクターのオンパレード。
 ですがPCの中にデザイナーもいることで、物語は壮大な世界観と、それを揺るがせる展開を一気に楽しむこともできます。
 あまりに酷い(褒め言葉)敵のオンパレードを笑い飛ばし、時に壮大さに息を呑み、ゲストキャラクターの多数登場に懐かしさを覚え、一気に読んで楽しんでください。


アルシャードクロスオーバー リプレイ
爆誕! ゴッドウォーリアーズ!!

田中天/F.E.A.R. ファミ通文庫

 今回も前回同様に弾けてネタに走る部分はとんでもない田中天MS。
 でもその途中で光る、壮大な設定。時に切ない、時に熱くなる展開。
 これまで紡がれたアルシャードの物語の全てを巻き込みつつ、宮沢茉莉という少女の物語のクライマックスと言える展開が待っています。

 神代の時代から繰り返される『親殺し』の試練を、シャードからのクエストを、少女はどう乗り越えるのか。
そして明かされるラグナロクの秘密、それを乗り越える為に彼らは戦います。


アルシャードffリプレイ
天使がくれた世界滅亡

緑谷明澄/F.E.A.R. ファミ通文庫 エンターブレイン

 緩やかに破滅に向かう黄昏の世界、ミッドガルド。
 そしてその破滅が、目の前に現れます。

 立ち向かうのは、生真面目だけど恋愛は不燃焼の監察軍人ミハエル。ニヒルで熱いグラーフ。
 殺意と乙女心に溢れる騎士シルダ、イモトヨウコそのままのアプフェル。

 魅力的なメンバーで繰り広げられる、ほのかな恋愛、大河ロマン、SFに神話と、あらゆる魅力がガッツリ詰まって楽しめる一冊です。ぜひ。


アルシャードffリプレイ
魔女が望んだ未来消滅

緑谷明澄/F.E.A.R. ファミ通文庫 エンターブレイン

 『天使がくれた――』の続編にあたる今回は、田中天さんがプレイヤー参戦。なんと、ミッドガルドを代表するNPC・シェルリィを演じます。

 ミハエルとシルダ、王道の素敵なカップルが紡ぐ恋物語。アプフェルを襲う試練と成長。グラーフ船長の思わぬ出逢いや、シェルリィのカッコよさ。
 ミッドガルドの秘められた、ラグナロクのシステムを解き明かし、魔女の暗躍を止める、大地をまたにかけた大冒険を楽しんでください。



アルシャードガイア リプレイ
美少女★女神と黄金の林檎

藤井忍/F.E.A.R. ファミ通文庫

 『アルシャードトライデント』シリーズ二柱目は、藤井さんのガイア。
 とにかく大惨事で終わった『コスモマケドニア』のラストを受け、悪球を更なる悪球で返すリプレイ。
 神々のワード(化身)達の物語に、何故か魔術恐怖症の変人・宮沢虎吾郎が加わって、笑いとヒロイックに満ちた物語になっています。

 ただひたすらに真っ直ぐな愛と美の戦女神の化身・美衣と、彼女を巡る物語を一気に楽しんでください。



アルシャードガイア リプレイ
美少女★女神と伝説の愛天使

藤井忍/F.E.A.R. ファミ通文庫

 対・虎吾郎最終兵器、始動の巻です。
 あの虎吾郎に惚れるという猛者、羽生ジュリアの参戦により、PC同士の会話はカオスに。
 一応、虎吾郎も成長して超常現象を受け入れるように。でも変人ぶりは健在です。

 そして主人公二人の仲もいい感じに進みます。カタストロフを前に真摯な思いをぶつけ合う姿は一見の価値あり。

『神話越え』――そのテーマの下、愛と美の女神と天使がオリュンポスに立ち向かいます。お楽しみに。



アルシャードガイア リプレイ
本当のRPG

齋藤幸一+田中信二/F.E.A.R. ファミ通文庫

 コミック×TRPGのコラボ――訳の分からないようなコンセプトの一編と、“あの”羽生ジュリア爆誕の一編のセットです。
 『TRPG』というゲームをテーマにした二編を通して読むと、TRPGがしたくて堪らなくなるはずです。

 『Quick Start』――TRPG部の少女たちを扱う漫画とアルシャードガイアを使った、入れ子構造の物語。
 メタフィクション好きにはたまらない一編です。

 もう一つの一編は、羽生ジュリアと彼女に負けず劣らず個性的なPCだらけのネタセッション。
 細かい部分はネタばらしになっちゃいますので、紹介もほどほどに。ぜひ楽しい時間をお過ごしください。



アルシャードクロスオーバー リプレイ
創生! 真ラグナロク!!

田中天/F.E.A.R. ファミ通文庫

 とうとう、『アルシャードガイア』『ff』の両方の終焉を飾るリプレイが出版されました。

 ……見事の一言。

 まぁ天さんらしいグダグダな演出はあるんですが、決めるべきところはきちんと占めるのが彼の力量でしょうね。
 このゲームを遊んできた全てのプレイヤーを裏切らぬよう、終焉に希望を込めて。
 これまでの戦いの終焉に相応しい巨大な敵を用意して。
 最大の戦いが巻き起こります。

 シリーズで最重要キャラとなる茉莉、その深い知り合いであるミハエルの二人の活躍はもちろん。
 今回一緒になったシオン、エリー(『時計仕掛けの機械神』のエリーです!)の二人にもがっつりと見せ場があります。

“色んな苦悩や煩悶は、二巻で乗り越えたからもう必要ない”
 そんなGMの言葉を胸に、一気に100レベル戦闘を、終焉を、神話を超えて駆け抜けます!



アルシャードセイヴァーRPG リプレイ1
ブレイヴ・ニュー・ワールド

田中天/F.E.A.R. ファミ通文庫
前作『アルシャードガイア』『アルシャードff』のRPGシステムを版上げ。
 世界観はそのままに、ルール周りを整理して遊びやすくしています。


 アルシャードRPG第二版、セイヴァーのルールと共にリプレイも始動です!
 ルール周りが整理された他は、世界観もそのまま。それは前作の『トライデントシリーズ』を受けての結果ですよね。

 分かりやすいツンデレ中華少女、桜花(インファ)や、ちょっと意地悪な狸(注:きつねです)、時にぼんくら化する美形騎士など、多種多様なキャラが動くところがいいですね。そして、主人公は戦闘に入ると台無し寸前の魔法少女処刑人です。
 カオスと新しい神話、二つが両立するのを楽しんでください。

 今回、GMもシリーズの開幕としてストレートな物語を持ってきています。
 これからどんな風に物語が加速するのか、楽しみです。



アルシャードセイヴァーRPG リプレイ2
キラー・イン・ザ・レイン

田中天/F.E.A.R. ファミ通文庫

 今回の注目は、前回登場のNPC・真儀イスカのPC昇格。前回のイメージを崩さないロールに、しのぶのイメージに合わせる能力も魅力的ですね。
 そして一方のキュアギロチン、今回も健在です(笑)。今回は同級生への尋問(違います)スキルまで披露し、殺伐魔法ヒロインとして大活躍です。
 へっぽこでフラグ立てに余念のないアリオ、ちょろいツンデレヒロインの桜花、狸様なグラと、他の三人も安定したロールで一気に読ませますね。

 今回のゲストは全員とっても魅力的です。だからこそシナリオのトリックが非常に生きてきます。
 まずは読んで、楽しんでみてくださいね!



アルシャードセイヴァーRPG リプレイ3
スタンド・バイ・ミー

田中天/F.E.A.R. ファミ通文庫

 キュアギロチン、首狩り天使にクラスアップ。へっぽこ騎士、更にへたれ。ちょろインは女子力更に増大中。
 そんな最終巻です(笑)。

 基本は実プレイにおけるサクセションの例示です。
 田中天GMのトンデモネタを、アリオさんの中二病が乗っかって、姫が大惨事なことになりますが(笑)。その他は世界観に乗っ取ったお話になりますね。
 アリオの故郷であるミッドガルドを引き合いに、ミッドガルドとブルースフィア・瑠璃谷との関係性をクローズアップです。
 一気に読んで楽しんでください。



アルシャードセイヴァーRPG リプレイ
月明かりのキヲク

田中信二/F.E.A.R. ファミ通文庫

 ブラコン・シスコンの二人を主人公に、痛天使じゅりあ、餃子命のダンピールの四人組によるリプレイ。こんな4人ですので、物語も一気に青春コメディ路線に。
 でも第一話に籠められたギミックは全員を一度は真っ青にします。……あれはうん、やられたら怖い(汗)。
 そんなシリアスなギミック相手に右往左往したり、痛さに爆笑したり、萌え転がってるPLを生温かく見守ったり。楽しいリプレイです、一気に読んで楽しんでください。



アルシャードセイヴァーRPG リプレイ ミッドガルド
モーニングムーン

遠藤卓司/F.E.A.R. ファミ通文庫

 ドイツ風サイバーパンクなファンタジーに、和風が出逢う。それだけで個人的には満足。

 リプレイ初登場のヤシマ、そのお姫様をゲストヒロインに、真帝国の首都で繰り広げられる大活劇です。
 ひたすら真っ直ぐな主人公ナギや、渋い侍に、通常運転の井上さんのPC、元シルダのPLが扱うティア。
 典型的な狂信者の敵や、奈落との戦いなど、ミッドガルドらしい要素や初登場の要素などを散りばめた王道のリプレイになっています。



月明かりのキヲクアルシャードセイヴァーRPG リプレイ ミッドガルド
旋風少女と熱砂の罠

遠藤卓司/F.E.A.R. ファミ通文庫

 ミッドガルド篇第二弾は、砂漠を舞台に今回も王道を行く展開。
 第二話での超有名な映画ネタの他、砂漠戦艦など派手な仕掛けも目を惹きます。その中でちゃんと決めるプレイヤーが良いですよね。
 個人的にはゾルダードのミカドが、プレイヤーのダメなところもプロのカッコよさも両方出ていて好きですね。
 気軽に楽しんでください。



アルシャードセイヴァーRPG リプレイ
ふたりの魔王

たのあきら/F.E.A.R. ファミ通文庫

 純粋にリプレイとしても読みごたえあり。更にアルシャードの導入リプレイとして書かれただけあり、その役目はばっちり果たしている一冊です。
 散りばめられた仕掛けや、クイックスタートのキャラクターに息を吹き込んでいくプレイヤーの演技を楽しむのもあり。物語としても必見ですよ。
 それと同時に仕掛けを使う時の注意点、世界観やルールの補足などのゲーム的な説明もばっちり書かれていて、プレイヤーとしてもゲームマスターとしても参考になります。
 アルシャードに興味をもったら、まずはこの一冊から読んでみてください!



アルシャードセイヴァーRPG リプレイ
黄金剣と救世主


 高レベルPC、そして上級ルール導入の一冊です。
 サクセション、セイヴァーの二つを導入するだけの、ハードで大規模な展開が起こります。
 レジェンド・鬼塚勇吾の心の影でもある、シャドウガイアの暗躍。レリクスに選ばれた少女・歩音の宿命。レジェンドたる少年の決断。
 勇吾と歩音の青春と宿命に、魅せられてください。

 それから、後書の後もちゃんとチェックしてくださいね!



シルバーレインRPGリプレイ
 蒼き破鏡の使者

 監修:上村大
 著:安道やすみち、友野詳
 発行:トミーウォーカー
 発売:エンターブレイン

 ロールカードを使うことで生まれる大惨事を遊ぶゲーム、それが『シルバーレインRPG』なのかも。
 そんな大惨事たっぷりのリプレイ二本が詰まった一冊です。

 1つ目はゲームの紹介にぴったりな単発セッション。
 こちらはPBWの有名な事件のきっかけになっています。なのでPBWのプレイヤーは一読の価値あり、です。

 そしてもう一つは『蒼き破鏡の使者』。
 ファンガス共生者の代表である明生芙美をPCに加え、土蜘蛛の少女を巡る冒険を描いています。
 ルールブックやサプリメントをフルセットで導入しているので、同じように遊ぶ参考にもなります。
 個人的にファンガス大好きなのですっごく楽しかった!
 死んだはずの『あいつ』の再登場もあり、こちらもPBWを知っていると楽しめること間違いなしです。



サイキックハーツRPGリプレイ1
灼滅者に涙はいらない

著:丹藤武敏/F.E.A.R. 富士見ファンタジア文庫 富士見書房

 
 PBW『サイキックハーツ』の世界観をTRPGに移植。
 人が皆、『ダークネス』という精神寄生体を宿した現代世界。
 『ダークネス』の力だけを引き出す灼滅者となり、『ダークネス』に乗っ取られた存在達と戦え!



 富士見書房とトミーウォーカー、そしてFEARとのコラボが売りの作品。
 これから怒涛のメディアミックスを期待したいところ。

 とはいえ、PBWの方に思い入れが無いと、単品では弱いと思います。
 PLの演技、GMのギミックなどは面白いので、二巻以降に期待ですね。



サイキックハーツRPGリプレイ2
灼滅者に刃は輝く

著:丹藤武敏/F.E.A.R. 富士見ファンタジア文庫 富士見書房

 PBW連動のお祭り企画、PBWのキャラクターのゲスト出演ラッシュ。
 本当にたくさんのキャラが、それぞれの個性を生かす出演をしています。なのでPBW参加者ならぜひ手に取ってみる価値があるかと。
 本編のストーリーも、ご当地怪人や、特殊なブレイズゲートでの罠など、とてもユニークな展開が続きます。
 世界観への導入となる一巻から、更にその世界を推し進めて自由になった二巻。ぜひ気軽に楽しんでくださいね。



アリアンロッド×アルシャード コラボ・リプレイ
ブルースフィア・デイドリーム


鈴吹太郎・菊池たけし/F.E.A.R. ファミ通文庫

 殺意様・ピアニィ。全滅支部長・薬王寺結希。へっぽこエリート・リニア。そして上様の葬名煉。
 人気キャラや懐かしキャラ、大惨事キャラなど取り揃えた大クロスオーバー、第一弾です。

 二つの会社の命運を賭けた大冒険に、とっても必死な上様に大爆笑。失敗したら自分の社員にこってり怒られますよね(笑)。
 そしてご当地怪人によって誤解を招きまくるサイキックハーツの世界観……あれ、誤解ではない?
 DXやNWなど、知っているネタが来るたびに笑ったり、楽しんだり。
 勢いで一気に読んでしまうのがお勧めです。



アリアンロッド×アルシャード コラボ・リプレイ
アルディオン・ナイトメア


 勢いで読んでしまおうコラボ作品、第二弾。
 柊とカーロスが良識人な分、シェルリィとリヴァイアたん(の中の人達)が暴走しても安心して読めるのが楽しいです。ヴィオレットの出番まで作っちゃってどーする、と(笑)。
 ……柊とアンゼロッドの掛け合いが一番、腹筋を使うのですけれど(笑)。柊って中の人がクレバーで、キャラクターが良識人なのにね。

 今回も知ってる元ネタに噴いたりしつつ、楽しんでください。




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