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2006/12/15
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 母に守られた命がある。
 母にすがり付かれた命がある。
 母に忌まわしがられた命がある。


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 今回は『母と子、子同士の絆』が主軸でしたね。
 大竹親子と、都古親子がシンメトリーのようで、両方を際立たせていました。

 そして、今回は<ありがとう>の歌詞を彷彿とさせるシーンの連続でした。
 歌詞カードを持ってる方は是非、それを見ながら歌を全部聴いてみてください。

 物語における『台詞』はTPOを選ぶ。そう久美沙織さんは『新人賞の取り方教えます』(徳間書房)でおっしゃってました。
 その意味では、
「ありがとう」
のたった一言に全てが集約されていたのですね。

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 テルの涙。

 テルは純粋すぎるが故に、心を許した人間の感情に共感しすぎてしまうのかもしれません。
 テルの涙も、都古が見せた感情に共感し、それがぶり返してしまったが故に込み上げたのだと思います。

>「たまに…変なときに突然泣くことがあるんです」
 それは、“テルはずっと昔から、都古の悲しみに共感し続けてきた”ことを指しています。

 『共感』とは『受容』と同じく、カウンセリングの技術。
 テルは都古にとって、最高のカウンセラーでもあったのでしょう。

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 りな。

 ずっと、ずっと母のカウンセラーであったりな。
 でも他人の苦しみや言葉や考えを受け止め続けるだけで、彼女自身の言葉も中身も吐き出すことができなかったのですね。

 吐き出す先を失った『思い』が、きっかけを失い、形を変えて、『無目的な衝動』になって溢れてしまった。
 それを止めるには、『本当の理由』を何らかの形で昇華するしかないのに。

 結局、その『思い』に気づいたのは、兄であり、堀田先生でした。
 兄は自分の中の同じ『思い』故に。堀田は、専門業だからこそ。


 りなは、『衝動』を一人で乗り越えることはできませんでした。 
 なぜなら、一人で自分の心にもぐるのは、とても辛く、怖く、体力を消耗することだからです。

 だからこそ堀田のカウンセリングが必要だったんです。
 正規のカウンセリングに基づき、二人でりなの心を探り、痛みを分かち合い、『思い』の正体に言葉という形を与え、そして向き合い方を模索する。
 主導権も、答えを導き出すのも、あくまでりな自身。
 『思い』と改めて向き合う『苦しさ』に泣きながらも、そうすることで『苦しさ』を昇華する。
 そうすることで、母への反発を少しずつ緩和していったのですね。

 以前、このドラマの感想で
『本当は、身内こそが最良のカウンセラーになるべき。しかし、身内がカウンセリングをしてくれない現代は、不幸だ』
と述べました。
 りなもまた身内ではなく、専門職に頼らざるを得なかったのですね。
 それは哀しいことだと思いました。

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 秀治。

 兄はきっと真樹よりもずっと、“テルを施設に預け”たがっていたのかもしれません。
 ずっとずっとテルのことを負い目に思い、大人にすら責められ、しかしそのことを母親には言えなかった秀治。
 妹よりも年が近い分、テルのことをいろいろと言われ続けてきたのでしょう。

 河原と違う理由で、兄もまた世間の目を気にせざるを得なかったのですね。

 そして兄がどんなに苦しんでいても、負い目を感じていても。
 これまでテルは、それを理解したそぶりを見せなかった……完全に理解することも、そぶりをすることも、できなかったのでしょう。
 テルへの好意に、兄は疲れ、空しさすら感じていたのかもしれません。しかしそれを、無理矢理に理性で封じていたのでしょうね。
 そのことが降り積もり、兄もまた鬱屈したものを抱え込んでしまったのですね。

 その鬱屈の矛先が、『テルを施設に預ける』という約束に向かったのではないでしょうか。


 『競争の意味が分かっていない』
 その言葉もまた、兄にとってはトラウマの一つだったのでしょうね。
 だからこそ、『出たい』というテルの言葉は、兄の地雷を踏み、兄を激情させたのでしょう。


 だけど。
 確かに第三話で母は言っていました。
「分かっているようで、分かっていなかったり。分かっていないようで、分かっていたり」


 そして、テルは言いました。
「お兄ちゃんが手を引いてくれた」
「ありがとう」

 兄から与えられた行為の、その一つ一つの意味をちゃんとテルは分かっていました。
 その一つ一つを、感謝とともに記憶していました。


 それを理解した瞬間、秀治の中で、『テルとの過去』が意味を変えたのです。
 
 負い目であったはずの過去が、記憶が、写真のネガのように、その意味を反転させたのです。


 まるで、奇跡のような一瞬。


 兄がこっそりと忌み嫌っていたであろう『競争』の記憶も、弟との大切な絆になり。
 秀治の中の『忘れ去るべき過去』という心のゴミ箱から、『支えてあげるべき事柄』という心机の上へと拾い上げられたのでしょう。


 その時点で『テルを施設に預ける』という決断も、その理由の大部分を失ったと、私は感じました。

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 里江。

 人間一人の人生を抱え込むなんて、あまりに重過ぎることです。
 その重さに、きっと里江は耐え切れなかったんでしょうね。

 だからこそ、弟や妹の気持ちにも気づけずに、無意識に甘えてしまったのだと思います。


 でも、今は状況が違います。
 少しだけだけど、テルは自立してます。
 そんな状況だからこそ、他の二人の子供達にも視線を向けてあげるべきなのでしょう。

 二人と絆を結びなおすことで、里江ももっと歩き出せるようになるでしょうから。

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 都古。

 以前、第七話で『親から愛されること』の大切さを語りました。
 そして、もしも愛されなかったときの例が、都古なんです。

 …一歩間違えたら、『僕と彼女と彼女の生きる道』の小柳凛も、同じように育っていたかもしれませんね。


 彼女は一年間、『河原の妻』として生きてきました。
 その中に都古という『個人の人格』はありませんでした。それを彼女に確信させたのは、『河原の嘘を知った一件』でした。

 確信は孤独を際立たせ、たまらなくなった都古は『個人の人格』を曝け出して泣き出します。
 それはテルという『都古という人格』に気づいてくれた相手がいたからです。

 でも、テルからはやんわりと言います。
 都古自身の、『結婚という約束』という言葉を。
 自分の言葉に逆襲され、テルからも一種の拒絶を感じてしまった都古。きっとそれは、『都古という人格』にとっての最後の
 眠れなくなったのは、その日からでしょうか。

 そして、外の形だけを装っている間に、『都古という人格』である中身は器を失い、ジャガイモのように零れてしまったのですね。
 一度零れた中身は、とうとう外側を捨てて、どこまでも当てもなく転がっていってしまいました。
 

 『存在意義』を失った彼女は、どこにいても自分を見出せず、へこみ続ける一方でした。
 友人からの『うちに来る?』という申し出も、受け止めることはできませんでした。
 …友人の好意を受け止めるべき『都古という人格』が、はっきりとしなくなっていなかったからです。


 都古が母親に電話をこれまで掛けなかった理由は、“嫌いだから”とは、ちょっと違うでしょう。
 “再び『自分の存在への拒絶』を受ける恐怖”から、ではないでしょうか。


 だけど彷徨うこともできず、河原との新居にすら入れなくなった都古は、最後に母に縋ります。
 居場所を求め、賭けのように母親に連絡するのです。

 賭けは裏切られました。
 母もまた、『河原の妻』という形を求めたのです。
 『都古という人格』は、母親から再び拒絶されました。




 とうとう、都古は存在意義を求め、自分の人生を遡り始めます。
 その途中の『動物園』で、テルに出会うんです。

 テルは都古に驚きつつも、何も責めず、何も問わずに、“そこにいることを許しました”。

 『いてもいい』。それは『存在意義の肯定』。
 あるがままに、『都古という人格』を肯定するテル。
 その傍こそ、都古の居場所になったんです。


 本当は、親が与えるべき『存在意義』。それを都古はテルから受け取っていたのです。
 彼女にとっての、『本当の家族』とも言える存在だったのですね。

 …それに気づいたら、都古はもう大丈夫。

 家族はいつか、新しい家族を作る為にバラバラになってしまうけれど。
 それまでに培った『存在意義』さえしっかりと抱きとめていたなら、自分の道を歩き出せるはずです。

 きっと、『うち来る?』の言葉にも、甘えられる気持ちになってるでしょうか。

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 この作品、『僕道』シリーズの最終であると同時に、『草なぎ君のお仕事の総集編』にもなりつつありますね(苦笑)。

 例えば自転車だったり(走ってる最中におでこが出ると、昔の自転車大疾走シーンを彷彿とさせる。例『TEAM』第三話、映画『メッセンジャー』など)。
 例えば動物解説だったり(昔、NHKの『世界ふしぎ大自然』のナレーションを担当していた)。

 特に、“最後の滑らか過ぎる読み上げ”シーンには、思わず吹きました(待て)。
 あんなに滑らかに読まれたら、思わず思い出しちゃいますよ。

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 そして、明日は最終回。

 レースの先に、テルは何を見出すのか。
 色んなものを噛み締めながら、見たいと思います。

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 愛し方も、愛され方も違う人々が交わって。
 その先に、道が生まれる。





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Last updated  2006/12/15 09:56:46 AM
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