519126 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

GOlaW(裏口)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007/03/15
XML
 大儀という大きな物。
 時流という、大きなもの。
 それらは全て、小さなものの集合体であり、それが生み出すものでしかない。

 その『小さなもの』の大切さを、彼は見失った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 メディア・リテラシー。
 それはインターネットが普及し、ゴシップが容易に流布する現在だからこそ知られ始めた言葉です。
 人々にその概念すらない1960年代の日本では、今以上に『新聞』は強烈な力を持ちます。
 その『新聞』さえも操るのが、大介の背後にいるのです。

 鉄平の敵は、父大介ではなく、『彼を凶行に追いやった時流』そのものであるのです。
 大介とて『時流』さえ違えれば、こんな凶行には出ていないのですから。
 鉄平はその事実に気づいていません。気づかぬが故に、その背後の力によって追い詰められていくのです。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 鉄平が気づいていないことのは、まだあります。
 彼は『父が自分の会社を、私怨で潰した』という一面しか見えていません。
 しかし、真実はもっと複雑に入り組んでいるのです。

 大介こそが、帝国製鉄と手を結び、銑鉄供給を止めたこと。
 大介こそが、突貫工事に追いやったのだと。

 そのことこそが、問題の本質です。
 しかし鉄平はそのことを知りません。たとえ気づいていたとしても、それを世間に公表する術を持っていないのです。
 この時点で、既に彼は裁判で負けているのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「家族一人一人のことを考えてあげて下さい」

 今回驚いたのは、寧子の一言でした。
 ずっと流されるまま、誰かに逆らうことなく過ごしてきた彼女。
 しかし、守るべき鉄平出て行き、守るべき秘密も暴かれてしまった今、彼女には怖いものはありません。
 初めて見せた、彼女の強い思い。そして正論。

 そう、大介が知るべきなのは『個人』というもの。
 彼にとって、本当に大切な言葉だったのではないでしょうか。
 『大儀』が示す『財閥に連なる家族』とは、そういった『個人』の集まりです。『個人』の大切さを知らぬ人間が、その『集合体』の大切さを知っているはずが無いのです。


 『悲劇とは、本当に大切なことを、全てが終わってから知ること』。
 寧子がもっと早く、その言葉を夫に伝えていたら、何かが変わったのかもしれません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「私財まで投げ打って、事故で亡くなった従業員や入院中の被害者救済に奔走しています」
 銀平の言葉に、ふと戸惑いました。
 だからといって、『鉄平が事故の責任者』ということが許されるわけでないのに。

 少し厳しい言い方かもしれませんが、確かに事故の責任の一端は鉄平です。
 突貫工事をすれば、事故が起こる危険性は十分ありました。それでも『やる』と決めたのは鉄平なのです。
 会社の存続と、突貫工事の危険性を天秤に掛けたのは彼です。
 そのまま会社が潰れるのを受け入れていれば、事故は起こらなかったでしょう。

 無論、そのことに対して責任をとり、私財まで投入して救済していることはえらいかもしれない。
 でもそれは同情されるべきことなのでしょうか。
 それは責任の取り方の一つであり、同情などを受けるべきでないでしょう。


 ただ、銀平が『そんな兄を助けることができない』悔しさを感じているなら、それは分からないでもないです。
 でもそのことで、銭高に『父を裏切れ』と促すのは違うと思いました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 過去と未来。
 過去と未来は現在を生きる限り等価だと、私は思います。


 作業着を抱いた夜、同時に銭高が抱いたのは、二つの恐怖だったでしょう。 
 一つは『自分のこれまで実感してきた存在価値』という過去を消失する恐怖。
 一つは『自分がこれから食べていける保障』という未来を消失する恐怖。

 その両方が等価であるからこそ、彼は怯え、泣くのです。


 私は、もし銭高が法廷に来なくても、責めることができませんでした。
 彼は、人質に取られた家族を守る義務があるからです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『あの人がいたから』
 鉄平の言葉は、あまりに意外だったでしょうね。
 銭高を無視するように、勝手に社員に高炉建設を発表したり。銀行再編や万博の時期に、無茶ばかりを言っていたり。
 銭高にしてみれば、そんな鉄平から少々ないがしろにされている感じもあったでしょうから。

 だから、『自分の本当の気持ちを知って、裏切りさえも許容して、居場所を用意してくれる』ことは、意外だったはずです。
 意外だからこそ、より嬉しかったはずです。


 銭高にとって、過去と未来は等価でしょう。
 そして最後に選んだのは、『未来とともにある、切り捨てられるかもしれぬ恐怖』ではなく『過去とともにある、信頼』だったのですね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 今回の土地巡り。

『神戸地方裁判所』
 こちらは現物がそのまま残っています。
 運がよっぽど良ければ、裁判所に出入りする橋元徹弁護士(『行列ができる弁護士事務所』)が目撃できる…かも?

『大阪帝塚山』
 こちらも関西有数の高級住宅地として知られています。
 そのうちの数件は、芦屋六麓荘に負けない豪邸だったりします。

『兵庫県西宮市』
 アニメ映画『ホタルの墓』(満池谷墓地)や、小説『細雪』(苦楽園夙川)にも出てくる場所ですね。
 それらの作品を読まれた上でなら、訪れるのもいいかもしれません。
 ここは住宅街として開発された市で、それなりにハイソな雰囲気の場所です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 久利生公平と鉄平が同じ役者さんなのは、なんだか不思議な感じです(笑)。
 今回の経験は映画『HERO』にも生かされるかな。それが楽しみです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 残りは一話。しっかりと見届けたいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 手元の切り札は『明細票』と『銭高』の二枚。
 その二枚のキングを手に、鉄平は立つ。

 なれど彼は知らなかった。
 父の元には、『大蔵省』の他、エースが幾枚も揃っていることを──。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007/03/15 08:26:09 PM
[その他、芝居(ドラマ・映画・舞台)] カテゴリの最新記事


PR

Free Space

 こちらはSMAP、ケディ・ティン、チェヨン(ジニー・リー)ファンの管理人によるHP、
GOLAWの裏口になります。
 よろしければ正面玄関にも足をお運びください。

 なにかあれば、Web Crapでお知らせください。(ブログコメント欄は閉じています)

 西遊記関連の記事一覧
その他のドラマ記事一覧



このブログおよびHPの画像は全て素材サイト様のものです。無断使用禁止。

Calendar

Category

Recent Posts

Freepage List


© Rakuten Group, Inc.