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元・経営コンサルタントの投資日記

バイアンドホームワークと米国株投資

長期保有なのです。というと決まってバイアンドホールドは危険だ、と言われてしまいます。
一考の余地があります。

当面は取得簿価が2009年の底値ですので、これを割れることは今後100年はないはず(100年に一回の危機で買ったんだから、半分ジョークですが)。
さらに、もし、割れてしまったら、ナンピン買いをするまでです。
なぜならその企業のファンダメンタルズが良好な 「はず」 だからです。

したがって、買った時の企業の本源的価値が下がった場合は売るしかありませんが、それが同じであった時(あるいは増加している場合)は、売る必要はない、と思っています。

たとえば、私はフィリップモリスを39.1ドル平均で持っています。
マルボロに天地異変が生じたり、タバコが世界的に排斥運動がおこって、法律で禁煙令が出たり(禁酒令が過去に失敗しているので可能性が低いが)、大きくシェアを崩した場合は話は別ですが、今の業界地位を守っている間に株価が何らかの異変で30ドル程度に落ちたら、お金さえあれば速攻で買い増しに行きます(EPSが3ドル以上はあるので30ドルを下回ることはまずないだろう)。

これを投資の本ではナンピン買いといって賛否両論があるみたいです。私はナンピン買いには肯定的です。

事業競争力や業界環境によっぽどの変化がないこと、自分の個別銘柄の投資ストーリーに変化がない限り、売る必要がないと思っています。と腹が据わっていられる銘柄に投資しています。

また、そう言えるだけの企業に対する知識や正確な情報をインプットする必要があると思います(と言いつつ一喜一憂もする)。

そのためにもホームワークとジム・クレイマーが称する作業を行う必要性があります。


私がやっていることは

四半期業績資料(決算短信、パワーポイント資料、Eraning report 等)の読み込み、テレフォンカンファレンスのトランスリプトの読み込み
気になる企業はBSもきちんとチェック。BSはひどい業績の企業でない限りそれほどチェックしない。
日々の銘柄関連ニュースの中で、これはと思うものをチェック。
時々業界に関する本があればそれを読む(医療系は私には必須)
HPをじっくり読みこむ(米国社でも日本支社がある)
アニュアルレポートを読む
ダウジョーンズの日本語訳記事に目を通す(すでに英文で読んでいることが半分以上だが改めて邦訳を目にする)
どうしても不可解なことがあった場合、直接会社のIR担当者に電話する(気休め程度ですが)。
新聞で取り上げられると、日経テレコン(大和証券なら無料で見れる)の記事を取っておく

一言でいえば、今の株価はなぜその値なのか、ということを自分なりに納得できるようにしている、と言えます。

テレカンのトランスリプトはSeeking Alphaという投資家向けサイトで無料でダウンロードができます(基本的には大手企業のみですが、かなり充実している)。

英語力について。テレカンは50~70%程度しか理解できません。肝心な点を聞き逃す可能性があります。リーディングは慣れです。大学入試レベルの英語力+株式市場用語+業界用語・知識(リウマチがどうのとか英語で説明される前に、日本語でリウマチの知識がないと理解ができない等)があればそれでOKです。

3から4年ぐらい、1日1時間程度英文を読んでいた私は、今は80%以上は記事を理解できています。それでも電子辞書は必要です。ブルームバーグやロイター、AP通信の記事は平易なはずです。
大丈夫、最後はダウジョーンズのやや変な日本語訳記事でキャッチアップできます。

一日1時間程度と土日のいずれかにじっくり半日程度費やしています。結構苦にならない性分です。

なぜ米国株式なのか?
長期的な円高ドル安による目減り懸念、米国経済の凋落などリスクは盛りだくさんです。いや、リスクをあおる人は沢山います。
しかし、バフェットも、クレイマーも、リンチも私が参考にした投資家はみなアメリカ人。

日本株式にも投資していますが、これは正直、投資していて米国の方が面白い、ということにつきます。

その企業の理解が世界経済の理解につながったり、少なくともその業界をグローバルレベルで理解することにつながります(もっともそういった企業に投資しているという側面もありますが)。
また、やっぱり(比較するとどうしても)株主オリエンティッドな経営姿勢が挙げられます。

投資家としては株価を維持するために手段を選ばず(当然常識の範囲内ですが)、施策を打ってくれるというのは頼もしい限りです(ジョンソンアンドジョンソンが最近リストラを発表しましたが、武田やエーザイではあり得ない)。

米国市場が世界経済の情報発信になっているのは仕方ないですし、もう国を挙げて株式市場をショー化しているようにも感じます。朝の7時や8時に決算発表する企業なんて日本にありますか?

決算締め日の2週間後には、GEやジョンソンエンドジョンソン、インテルといった多国籍企業がきちっと決算説明できるのですよ(Non-Gaapですが)。日本はホンダで翌月末頃が精いっぱいです。

決算が早い企業は私の転職歴、デューデリジェンス経験上、管理体制が非常に行き届いていると言えると思います。よく、月次決算が翌月15日ごろじゃないと組めないという企業がありますが、だいたい管理はダメですね。

決算の早い企業には好感が持てます(粉飾していない前提)。日頃から経理処理が厳格なのでしょう。決算となるとサッと結果が出てくるのでしょう。
株式投資関連の情報があふれている。それでも人々は完全に効率的に動いているわけではない。

よく米国経営者は短期的で日本は長期的だ。最後は長期的なものが勝つ。という論調をマスコミは言います。ウサギとカメやアリとキリギリスと話を知っている我々は、その理論に納得しがちです。
しかし、今米国の個別企業のホームワークを通じて、全くそんなことを感じません。必要な投資はガンガンやっています。


それ以上に長期的な企業価値を考えると、ノンコアな事業を捨てて得意事業に絞り込めない身動きのとれない様な日本企業にはがっかりです。
長期的経営と言いながら、今頃海外展開を急いでいる企業が多い。1980年代後半から国際化が大きく叫ばれ、その時に本格的に出ていた企業とそうでない企業の差がついているとも言えますが、少子高齢化なんてその当時から分かっていたことなのですから、今頃あたふたしている企業が本当に長期的視点で物事を考えていたのか大いに疑問が残る。

日本企業はニッチ分野で高いシェアを誇る中堅企業や海外でも十分に通用する一部の企業には惹かれます。頑張ってほしいものです。私も最後には円にしないといけないので。


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