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カテゴリ:2007年04月読書
[1] 読書日記
<一九六九年は我々にとって記念すべき年である。 哲学者たり、理学者たり、詩人、刺客、音楽家たる我が「読書クラブ」から、 “王子”が生まれたのだ。 これは偽王子であって、後々、学園に不幸をもたらす事件になったが、 我々としてはまずまずの満足である> との書き出しから始まる第一章「烏丸紅子恋愛事件」を皮切りに、5編の連作短編が 収められた、 桜庭一樹 「青年のための読書クラブ」(新潮社) を読了。 本の装丁は、いかにも「青年のための読書クラブ」というタイトルの響きをそのまま表現 したかのようで、古めかしく、美しい。 物語は、東京山の手のお嬢様学校・聖マリアナ学園の、あらゆる年代で起こった読書倶楽 部絡みの5つの事件を、その当事者たる読書倶楽部の面々が、自分たちの視点からその事件 を記録、記述したもので、寓話的。 それぞれの物語(事件)はどれも、華美で、饒舌な文体をもって単純化、戯画化されてお り、いかにも文学少女たちの書き残した手記であるよう。 年代と共に、その時代に合わせた文体が取り入れられており、年を経ることで文章がくだ けてくるのも面白い。 <ポニーテールにバルーンスカートを穿いて、 薄化粧でおしゃれして待ち合わせの場所に現れた。 学園にいるときとは別人の如き女っぷりであった。 くわえ煙草で、ハイヒールを輝かせてディスコクラブに入っていき、 馴染みの不良少年にしなだれかかった> <ここにいると、アポロが月に飛び出す音も、安田講堂で戦う声も、 すべてが聞こえる気がした。 新宿の花園神社に誘われて顔を出すと、 白塗りの男たちが暗黒神話の真っ最中だった> (→参照:唐十郎) ただ戯画化され過ぎている為に、各時代の空気的なものが、イメージままの(ステロタイ プ的な)60年代の学園紛争やアングラ、ジャズ喫茶であり、80年代バブル期の様相で、執筆 者(文章を綴っているの)が主に当時の女子校生という設定なのに、同時代的なリアリティ には欠けている。 連作短編集としての配列・構成は綺麗で、各編合わせて一本の長編として読める。 というか、一本の長編だけども連作短編集としても読める、と言った方が正しいか。 著者引用文献 エドモン・ロスタン 「シラノ・ド・ベルジュラック」(岩波文庫) シェイクスピア 「マクベス」(新潮文庫) ホーソン 「緋文字(ひもんじ)」(岩波文庫) バロネス・オルツィ 「紅はこべ」(創元推理文庫) 外部リンク 桜庭一樹『青年のための読書クラブ』|新潮社 桜庭一樹オフィシャルサイト Scheherzade - Entrance お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年07月12日 13時28分36秒
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