テーマ:京都。(6076)
カテゴリ:美術館・展覧会・ギャラリー
京都文化博物館で開催中の、川端康成と東山魁夷展を鑑賞しました。
ノーベル文学賞作家・川端康成と日本画家・東山魁夷の間で交わされた手紙や、魁夷作品、康成の美術所蔵コレクション等の展示がありました。 東山魁夷の絵を見ると、いつも心の中の雑念やわだかまりがすっと取れるような気がします。 美しい色調、豊かな自然の深遠を謳歌する絵に、時を忘れ、惹き込まれるにじっと見入ってしまいます。 色彩の変化や構図のバランスが絶妙で、静寂の中に凛とした強さがあります。また、柔らかな曲線が描く日本の原風景や四季折々の姿は、観る人の心をしっかり捉えて離しません。 京洛四季のコーナーも設けてあり、魁夷が四季折々の京を描いた絵画に多くの人々が集っていました。京洛の四季では、なんといっても「花明かり」が素晴らしかった。円山公園の枝垂桜を描いたこの作品は、「一期一会」という言葉の重みを感じます。 「年暮る」も、しんしんと音もなく降る雪に包まれる京の街を描き印象的だった。移り変わり消えゆくものへの愛惜が込められた秀作。 「樹根」は老木に宿る生命力の力強さを感じました。絵の具にラメ素材が入っているのか、見る角度により絵がきらきら輝きます。 二人の手紙は保存状態が良く、汚れも痛みも殆どない状態で展示されていました。二人が、お互いの手紙を大切に保管されていたことの証ですね。 魁夷の筆は流れるような見事な筆の運びで、その時々の素直な思いを綴っていました。川端康成は力強く、墨の濃淡のはっきりした筆跡です。年下の画家魁夷を思いやるような文章を残し、文面には二人の美意識の高さが滲み出ていました。 康成の入院中、お見舞いに魁夷が描いて送った絵画や、二人の合作であるニ曲屏風なども展示。美術収集好きな康成が、胆石で東大病院入院中に、外出して骨董店で見つけ、すぐ買い求めそのまま病院に連れて帰ったという聖徳太子像もありました。柔和な曲線が美しくて、病室で毎日その姿を眺めていたというエピソードは微笑ましく思えました。 絵画と文学、表現する世界は違っても、心で通じるものが多かった二人の交流を覗けて、とても面白かったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 13, 2008 06:32:06 PM
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